廃線上をトロッコ自転車で走る、ガッタンゴーをやってきた
少し前になる、僕の人生の何割かに影響を与えている「からぱた」氏が何やら神岡方面へ向かっているなと思ったら、こんなブログをしたためていた。そう、旧神岡鉄道の軌道を利用してトロッコ自転車を走らせる、ガッタンゴーである。
彼のブログはだいたいバズを生むので、満席にならないうちに11月の連休中日に予約を入れて、早速やりに行くことにした。
選べる個性的な2コース
ガッタンゴーは神岡の街の中を走る「まちなかコース」と迫力満点の渓谷を走る「渓谷コース」がある。最初はまちなかコースがおすすめとされている。渓谷コースはアップダウンがあったりして体力的にもタフだからということらしい。
東京から神岡までのみちのり
神岡は岐阜県の飛騨高山の右上、富山県との県境に近い街である。岐阜県だけどほぼ富山。アクセスは中央道で長野県の松本まで行き、そこから国道158号で平湯温泉まで向かい、国道471号をまっすぐ行くと着く。距離にして300km。渋滞を考慮しない移動時間は4時間半に及ぶ。穂高に縁ある人は「沢渡からすぐ」とか思いがちだが、どう頑張ってもそこから90分かかる。僕は右目に疲労がたまると間欠性外斜視になって車の運転ができなくなってしまうため、日帰りは不可能。そこで、かねてより興味のあった平湯温泉で一泊することにした。
平湯温泉は上高地へ入るための駐車場が整備された岐阜側の玄関口だ(長野側は沢渡温泉)。
平湯温泉から神岡までは約1時間。東京から電車で行く方法をGoogle先生に聞いてみたら、上越新幹線で富山まで行ってそこからバスらしい。やっぱり富山だ。しかし富山経由でいけるなら、富山で1泊して海鮮にまみれることもできる。
ガッタンゴーの運営体制
ガッタンゴーは神岡鉄道の軌道を利用して行われているアクティビティだ。しかし、神岡鉄道はすでに解散しているため、運営している組織は別となる。調べてみるとNPO法人の神岡・町づくりネットワークというところがやっているそうだ。
安全確保は最低限で、基本的には利用者がそのリスクを負う仕組みになっている。そのため、ブリーフィングは簡潔だし、走っている最中に写真などを撮りまくることもできる。唯一、スタートと折り返し地点以外での降車は緊急時以外禁止されている。自転車と体は安全帯とランヤードによって接続されていて、意図的にこれを外すためには降車しないとできないようになっている。
安全対策は最低限だが、必要にして十分とられているとも言える。当然、見えない部分、保線作業や機器のメンテナンス等にも気遣いがなされているのだろうなと想像することができる。
渓谷コースの概要
渓谷コースは神岡鉄道の漆山駅跡から神岡方面へ行き20分、帰り15分で行うようになっている。行き帰りで時間が違うのは坂の関係だ。
コース全体が渓谷沿いなので、トンネルあり鉄橋あり森林ありと目まぐるしく変わる風景が飽きさせない。そしてもちろん、遺構とも呼べる様々な在りし日の神岡鉄道の設備にも注目したい。
受付から乗車まで
予約時間の10分前には受付を済ませるようにとある。駐車場は駅前に2箇所用意されており、駅に設けられた受付の小屋で名前を伝えて料金を支払い、受付を済ませる。このときにブリーフィングの時間を知らされるので、駅に併設されているテントへ集合する。
テント内の座席には安全帯とヘルメットが置かれており、一人1セット、これらを装着する。ヘルメットは自前の自転車用などのものを持ち込んでかまわないようだ。
ブリーフィングは最低限。やってはいけないことと注意点だけが告げられる。「とまるな、おりるな、ぶつかるな」がやってはいけないこと。注意点は車間距離は20m以上あけることと、折返し部でのやり取りだけである。
乗り物自体バランスを取る必要がないため、手を離して乗っても構わない。そのため撮影もやり放題だけど、落としたりすると「まず見つかりません」というので、スマホなどはストラップを、アクションカメラはマウントを活用したほうがいい。
出発!
ここからは文章よりも写真で見たほうが早い。
からぱた氏が言うようにお尻でレールの継ぎ目を感じることができるというのもあるのだけど、さらに言えば、レールの継ぎ目はそれぞれで微妙に音やフィーリングが異なることさえもわかる。車輪とレールがこすれるノイズ、大きな負荷がかかったときに聞こえる「キィンキィン」という金属音がここでも聞ける。
さらに、ちょっとしたカーブでかかるなんとも言えないGや、電車用に設定されたバンク角がガッタンゴーでは遠心力が足りないのでやや不安なバランスになることや、苔むした第三種踏切、信号類、土砂が堆積して今にも鉄橋を飲み込みそうになっている渓谷(上の写真)、トンネル、鉄橋、トンネルという絶景の往復ビンタ(更にその上の写真)。電動アシストのおかげで上り坂はそれほど苦労なくいけるので、景色を存分に堪能できる。
ただひたすらに感動していると、あっという間に走り終えてしまった。おかわりしたい。
あそんだあとは
ガッタンゴー受付では地元レストランなどで使えるクーポンが貰える。これを利用して食事に出かけるのももちろんいいし、すぐ近くにある道の駅、宙(スカイ)ドーム神岡の売店ではスーパーカミオカンデグッズやここでしか買えない限定のお酒、名物の漬物である「飯どろぼう」、もちろんさるぼぼも買うことができる。僕は社用に金運アップ間違いなしのゴールデンさるぼぼを購入した。
ガッタンゴー本年の営業は終了。来年は3月21日から。
ガッタンゴーは本年の営業を終了している。僕はギリギリのタイミングで滑り込んだわけだ。来年は3月21日からの営業を予定しているということで、次はまちなかコースを走ってみたいなと思っている。
予約はネットで可能なので、興味ある人はガッタンゴーのFacebookをフォローして予約開始を待とう。
とにかく行ってみてほしい
ガッタンゴーは言葉や写真で説明するよりも行ってみてほしいアクティビティだ。行けばわかるし、行けば感じられる。1車両5000円なので、最大3名運用だから、一人1600円くらいで楽しめる。鉄道好きは普段見られないアングルや距離感で様々な設備などを楽しめばいいし、そうでない人は普通じゃない視界からの大自然を満喫すればいい。
神岡はガッタンゴー以外にも町並みを散策するツアーや神岡祭、スカイドームのリニューアルは3月27日だったかに終わるらしいので、いろいろまとめて体験するのだいいだろう。
苦労していく価値ある体験を是非皆さんも。