【発達障害】親が知っておきたい「障害年金】
「わが子の将来に必要になるかも障害年金について」
〜まだ早いと思わず今から出来ること、知っておくこと~
【ポイント】
・将来子供が自立するにあたり、必要となるかもしれない、「障害年金」という選択肢を知る。
1. 障害年金とは?
1)障害によって生活の安定が損なわれないように、
日常生活を送る上で困難がある人に支払われる
公的年金の総称です。
2)国民年金法、厚生年金保険法等に基づき日本年金
機構が運営業務を行っています。
【ポイント】
・障害のある方が申請し、受け取ることが出来る年金制度
・制度は日本年金機構が運営
2. 障害年金の種類
1) 障害基礎年金
①障害が原因となった病気やけがについて、初めて医師
または歯科医師の診療を受けた日(初診日)に、すでに
国民年金に加入していた人が受給することが出来る障害
年金です。
②国民年金に加入前、20歳未満で障害を受け、その状態が
続いている人にも支給されます。
→仕組みとしては、20歳になった段階で国民年金に加入
したという状態を作って、障害年金申請となるようです。
(年金事務所の人が教えてくれました)
2) 障害厚生年金
①初診日にすでに厚生年金に加入していた人に支給され、
障害基礎年金に上乗せするものとして給付される報酬
比例の年金です。
②皆さんのお子さんが20歳になって申請する場合は、
殆どの場合が
障害基礎年金を申請
することになります。
【ポイント】
・障害年金には、基礎年金と厚生年金の2種類がある。
・発達障害を持つお子さんが20歳になって申請する時は基礎年金。
3. 年金の受給要件
1)初診日が特定できること(初診日要件)
①障害の原因となった病気やけがで初めて医師の診療を
受けた日のこと。
→病気やけがにおいての初診日で、
その病院での初診日
ではないので注意。
②知的障害に関しては先天的な障害とされているので、
初診日の証明は必要ありません。
③アスペルガー症候群や自閉症スぺクラム等にもこの
例外は拡がりつつあるが、
まだ発達障害全般には保障されていない
ようです。
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2)年金制度に加入している期間に初診日があること
(制度加入要件)
①初診日に国民年金や厚生年金保険など、年金制度に加入
している必要があります。
②初診日に住所が日本国内にあったならば、初診日に20歳
未満、あるいは60歳以上65歳未満でも国民年金に加入
していたのと同じ扱いになります。
③20歳未満は国民年金に加入できないことから、20歳に
達した時に障害等級に該当していれば
加入要件は必要はありません。
④20歳未満で障害を受け、その状態が続いている人も
年金制度の対象
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3)定められた期間に保険料が納付されている事
(保険料納付要件)
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4)一定の障害の状態である事
①障害等級に該当している必要があり、障害等級とは、
障害の状態を分けたもので、
重いものから1級、2級、3級と
されている。
②障害基礎年金では
1~2級であれば該当
になります(国民年金法施行令)
③障害厚生年金では1~3級及び3級より軽度の障害
状態で該当になります(厚生年金保険方施行令)
④障害厚生年金には障害手当金があるが、
障害基礎年金には障害手当金はありません。
※障害手当金:初診日に厚生年金に加入している場合で、
初診日からその障害が治った(症状固定)と
判断された日の5年以内に請求。
つまり障害厚生年金3級には該当しないが障害がある場合、
一時金として、障害厚生年金3級相当の2年分が支給されます。
【ポイント】
・障害年金を受給するには、初診日を証明する必要がある。
・20歳になって申請する場合、知的障害や発達障害(一部)がある場合は、初診日証明はなし。
・障害基礎年金の該当等級は1~2級。3級だと年金支給該当にならない。
4.障害認定基準
1)発達障害の場合
①障害の認定方法
→発達障害については、たとえ知能指数が高くても
社会行動やコミュニケーション能力の障害により
対人関係や意思疎通を円滑に行うことができない
ために日常生活に著しい制限を受けることに着目
して認定を行います。
※発達障害とその他認定の対象となる精神疾患が
併存しているときは、併合(加重)認定の
取扱いは行わず、諸症状を総合的に判断して認定。
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②初診日の取り扱い
→発達障害は通常低年齢で発症する疾患ですが、知的
障害を伴わない者が発達障害の症状により、初めて
受診した日が20歳以降であった場合は、当該受診日を
初診日とすることとされています。
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③各等級に相当すると認められるもの
・障害の程度 1級
→障害の状態 発達障害があり、社会性やコミュニ
ケーション能力が欠如しており、かつ、著しく
不適応な行動がみられるため、日常生活への適応が
困難で常時援助を必要とするもの
・障害の程度 2級
→発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が
乏しく、かつ、不適応な行動がみられるため、日常
生活への適応にあたって援助が必要なもの
・障害の程度 3級
→発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が
不十分で、かつ、社会行動に問題がみられるため、
労働に著しい制限を受けるもの
※わかりにくいですが、1級は常時介助が必要、2級は
出来ることもあるが、出来ないことの多く援助が多く
必要、3級は社会活動、労働時に援助が必要とも
捉えることができます。
ですので、
3級は基礎年金から対象外
となってしまうようです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ④就労している場合の取り扱い
→勤労支援施設や小規模作業所などに参加する者に限らず、
雇用契約により一般就労をしている者であっても、援助や
配慮のもとで労働に従事していることをもって、直ちに
日常生活能力が向上したものと捉えず、現に労働に従事
している者については、その療養状況を考慮するとともに、
仕事の種類、内容、従事している期間、就労状況、仕事
場で受けている援助の内容、他の従業員との意志疎通の
状況等を十分確認したうえで日常生活能力を判断されます。
⇩
建前上はこうなっていますが、実際は
都道府県で対応が変わっています。
都内では就労していても上記の基準で支給されることも
ありますが、埼玉県などでは就労していたら、
ほぼ基礎年金申請は通りません。
通ることもありますが、埼玉県のリハビリセンター
職員や医師の間でも公言されるくらい、埼玉県は就労
いていると年金は通らないと認知されています。
これは
弟の申請時の実体験として、
複数の関係者から、実際言われましたし、年金は通り
ませんでした。
ですので障害年金を申請する際は
よくよく住む場所は考えたほうがいいです。
弟もそこから2年後、就労先を辞め、住居を埼玉県から
東京都に転居し申請をして、ようやく年金申請が下りました。
【ポイント】
1.障害基礎年金の受けるには、発達障害の場合、2級に該当するような状況かわかっておく。
2.都道府県で審査の基準の違いは実際にある。
3.就労している場合は、住む場所にはよくよく注意が必要。
5. 請求手続きの流れ
1) 障害基礎年金の場合
①区役所の国民年金係に相談
⇩
②申立書、診断書等が渡されますので、診断書はかかりつけの
医師に年金申請用として渡します。
(診断書作成費用がかかります)
※ここでポイント
診断書を書いて貰う際には、先に病歴・就労状況申立書を
記入し、それを渡して
見て貰いながら診断書を書いて貰う。
→診断書と病歴・就労状況申立書と内容が合っていない場合、
審査で弾かれることがあります。
⇩
③全ての書類が整ったら、国民年金係に申請。
(必要書類)
・年金手帳、基礎年金番号通知書
・診断書
・病歴・就労状況申立書
・受診状況等証明書
(診断書作成病院と初診の病院が異なる場合に必要)
・印鑑
・住民票
・預金通帳(本人名義)
・障害者手帳(取得している場合)
・所得状況届(20歳前に初診のある方)
・戸籍謄本
・その他
⇩
④ 区から日本年金機構に裁定請求書の送付(申請書等)が
され、審査に入ります。
→約2~3か月かかります。
⇩
⑤日本年金機構より、年金支給または不支給の決定通知が
来ます。
⇩
⑥申請した日にさかのぼり、
年6回(2月、4月、6月、8月、10月、12月)
で 年金支給されます。
【ポイント】
1.主治医に診断書を書いてもらう時は、先に病歴・就労状況等申立書を作成し渡しておこう。
2.申請から支給決定までは、2~3ヶ月かかる。
3.年6回(2ヶ月分ずつ)支給される。
6. 受給金額
障害基礎年金の場合(その年度の経済状況で変動がある)
1)1級障害の場合
①全部支給:975,125円(年間)→月額:81,260円
②一部支給:487,563円(年間)
2)2級障害の場合
①全部支給:780,100円(年間)→月額:65,008円
②一部支給:390,050円(年間)
【ポイント】
1.発達障害の方の場合は、2級相当になることが多く、約78万円が年間支給される。
7. 働いていたら障害年金はもらえない?
1)働いて、給与をもらっていたらもらえないわけではなく、
所得制限がある。
【平成30年度 所得制限】
・本人所得が
3,604,000円以下は全部支給
・3,604,000円を超え、
4,621,000円以下は一部支給
【ポイント】
1.働いていても障害年金支給は受けられる。
2.所得制限がある。
8. 障害者手帳の等級と支給は基準が違うの?
1) 障害者手帳と障害者年金は管轄も異なり、支給の基準も
異なります。
2) 障害者手帳は持っていないが、障害者年金は受給している
方もいます。(精神障害の方に多いようです)
【ポイント】
1.障害者手帳を取得していなくても、障害年金をもらえる。
9. まとめ
1)今から出来ることとして、最初に障害について相談し、
受診した病院、医師を記録しておく。
2)特に治療や医療機関での相談の必要性を感じなくても、
将来の年金に備え、どこかのタイミングで病院にかかって
おき、病院のカルテ記録を継続させておく。
→カルテは5年程度で消去されるようで、特に初診の病院
から診断書をもらうのにカルテが消えていると、
遡りに苦労します。
3) 生育歴を細かく記録して残しておく。3年~5年単位で
必要。
4) 子供のできないこと、困ることを記載しないといけない
ため、障害年金を通すためとは言え、
申立書に記入していく作業はつらい
ものです。
5) 医師の診断書と申立書の内容が
合致していないと、通らない
ことがあります。
申請前に医師の診断書の内容を確認し、
申立書と内容を合致
させましょう。(できれば事前に申立書を渡す)
6) 病院によっては、ソーシャルワーカーが作成を手伝ってくれる
病院もあります。
調べるのは大変ですが、病院選びの基準の一つとして考えても
いいと思います。
7) 有料になりますが、年金申請を手伝ってくれる社労士も増えて
います。
20歳時の申請ではほとんどの場合が通ると思いますが、何らかの
理由で通らなかった場合は、障害年金申請を専門にしている社労
士に相談するのもひとつです。
8) 将来お子さんが働いているか、いないかは別として、障害年金は
将来自分たちの元を巣立つときに生きていく
上で必ず必要になってくるお金です。
年々障害年金の支給額も下がっていますが、わが子にとって
必要な制度として、知識を身につけ、
準備をしておきましょう。