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精神障害者による、映画妖怪ウォッチ空飛ぶクジラとダブル世界の大冒険だニャン!(漫画版)感想文!!

子供の頃、ファンブックで一部読んだ時は妖怪の
発する言葉が不自然で価値のない話だと
思っていましたが、

自分自身も精神疾患を発病して、障害者として
生活するようになり独自の視点で見ることが出来る
ようになったので、好き勝手感想を書きます。

とにかく、どのキャラも言葉に棘があって
刺激的な話でした。

※この記事はネタバレを含みます。
ネタバレを一切配慮しません。


カナミは誇大型自己愛性パーソナリティ障害?

まずは物語の鍵を握る少女、「カナミ」について。

彼女は誇大型自己愛性パーソナリティ障害を所持
していると読み取りました。

根拠は2つ。

1つ目はカナミの
妖怪は利用するものであり、利用価値のない役立たない
妖怪はそばに居ても意味がない
という持論。

これは自己愛性パーソナリティ障害の
・目標を達成するために他者を利用する。
・共感性に欠けている。

という特徴に当てはまります。

正直、僕はカナミ側の人間なので健常者が
自己愛性パーソナリティ障害をどう捉えるかは
想像がつきませんが、

ジバニャンは
こんなヤツ、改心させる必要なし!!
ウィスパーは
悲しいですね。アナタは人に
助けられたことがないんですか?

と冷ややかな目で見ているので、相当
原点からズレた非人道的な考え方
なのでしょう。

僕は過敏型自己愛で、周りに誰も自己愛を指摘して
くれる人がいないので、自分の異常性に気付ける
貴重な機会となりました。

2つ目はカナミの
「残念…、ははっ…。他人から見たらその程度よね」
「小さい時から休みもなく血と汗を流して手に入れた
技術、名誉、栄光を一瞬で失った気持ちー」
「アナタに…、わかる?
わかるわけない!!」
という発言。

これは自己愛性パーソナリティ障害の
・特権意識をもっている。
・自分の重要性や才能について、誇大な、
根拠のない感覚を抱いている(誇大性)。
・途方もない業績、影響力、権力、知能、美しさ、
または素晴らしい恋という空想にとらわれている。

という特徴に合致します。

これらの点からカナミは自己愛性パーソナリティ障害を
持つ登場人物であると推測しました。

劇中、エンマ大王が
人間の”心の闇”がいつしか妖怪を生み出し、
その闇に自分自身が飲み込まれ、妖怪化する
ことがある…。

と言っていますが、これが自己愛性を示唆した
隠喩的表現だと捉えています。

アニメのノリで行くような軽い感じの物語が
展開されると思いこんでいたので、

精神障害者が題材になっているとは
思いもしませんでした。

カナミの周囲の人々は…

カナミが自身の過去を回想する場面で、
興味深い描写がありました。

それは
わたしのカゲに隠れていた子たちに
わたしの夢を奪われていく気持ちー。

というセリフ。

あくまで仮説に過ぎませんが、
自己愛性パーソナリティ障害は2種類のタイプが
存在します。

周囲から認められて育ち、自分は特別だという
気持ちが独り歩きしているのが「誇大型」、

成功している人と比較され続け、自分には能力がある
と思いながらも結果が出せず苦しむ「過敏型」

の2種類です。

ここではカナミにだけ焦点が当てられてカナミの
心をケータ達が救う、みたいな王道の物語構成に
なっていますが、

僕はカナミの影に位置する人にこそ、
本当の”心の闇”が含まれていて、

それらは過敏型自己愛性パーソナリティ障害を
持っているように感じました。

カナミのバレエクラブに同じく所属していた
子どもたちも小さい時から休みなく練習し続け、

それでカナミが毎回一番になって、
親から失望されたりしていたら…

影側の人のほうが可哀想なのではないでしょうか。

もちろん、自分自身が過敏型自己愛なので
自分の都合の良い論理を無意識的に構築している
部分はあると思いますが。

USAピョンは境界性パーソナリティ障害?

次の精神障害者はUSAピョンです。

USAピョンが境界性パーソナリティ障害と
言える理由は2つ。

1つ目は感情の起伏が激しく、
最低と最高を行き来すること。

USAピョンは些細なイラッとする発言をされる
だけで耐えきれなくなり、「ベーダーモード」
状態になり、

人や妖怪に光線銃を乱射します。

イナホが毎回当たってないから許されているだけで、
実際犯罪レベルの恐ろしい行為です。

そして今回の物語で判明したのが
USAピョンは人一倍感傷的でもある
ということ。

後ほど記述しますが)
イナホがASD的な人格に豹変した際に、

「困るダニ!!今までのミーとの思い出が
なくなったみたいで!!」
「もし、ずっとあんなイナホだったらミーは

もういっしょにいれないダニ!!」

というセリフを発しました。

少しそっけない態度を取られただけで
相手に気持ちを全否定されたかのように
捉えるところが境界性らしいです。

見た目は可愛いのにウスラカゲ族なのは、
この点が影響しているのでしょうか…。

2つ目はUSAピョンが自分から
人々に「お試し行動」を取っていること。

これは映画の物語からはズレて、妖怪ウォッチ3
のストーリー冒頭部分に移りますが、

USAピョンはイナホを尾行して
宇宙ウォッチを買わせて、

自分をそのウォッチで見つけさせる、
という異色の出会い方を果たしました。

ウィスパーやジバニャンはケータがたまたま
ガチャを引いたり、交差点で出会った妖怪
ですが、

妖怪側からアプローチを取ろうとするのは
闇が深いです。

恐らく、生前USAピョンは実験動物として
研究施設に隔離されていたので、

ヒューリー博士のような、自分を理解してくれる
存在
を探し求めていたのでは無いでしょうか。

何度も他の人々にもお試し行動をして、
ついにイナホと出会ったと言えるでしょう。

リアル世界のツチノコは燃え尽き型ギバー?

次はリアル世界のツチノコの特徴に
ついてです。

本作ではコアラニャンの鼻を押すことで
アニメ世界とリアル世界を行き来するシステムが
組まれていますが、

リアル世界のツチノコは興味深い特性を所持していて、
幸運を与えすぎるとひからび無力になる。
という特徴があります。

これはギバーの皮肉です。

世の中で最も成功しやすいのがギバー、
世の中で最も失敗しやすいのもギバーという
有名な表現がありますが、

ツチノコはだれ彼構わず自分のメリットを鑑みず
人に尽くし続けていたために、
燃え尽き型ギバー」になっていたのです。

人に与える時は必ず自分自身の得も考慮して
時間を無駄にしないようにするべきでしょう。

ウィスパーの人格が歪む

妖怪ウォッチ1のウィスパーは有能、
2以降のウィスパーはアニメ版準拠で
無能という形でしたが、

漫画版では性格が悪くなり、かつ無能
という状態に変貌を遂げていました。

リアル世界、アニメ世界問わず
ネガティブ思考です。

例えばケータ君の冗談交じりのツッコミ対して、
いやいやいや、ソレ言い出したらこの体がリアルって
ないから!!こんな骨格ねーから!!いるんですよねぇー、
上辺だけの矛盾にツッコむ低能なヤツ…。ワタクシは
そーゆーヤツにことをクレーマーと読んでますがね…。

と返答しています。

また、コアラニャンには
生まれたてで名前ないそうです」と
ノンデリ発言、

ブロック塀をつたってヨロヨロ歩くカナミには
感じ悪いですね、人が心配してるのに‥.
とストレートに思ったことを言っていました。

漫画版は小西紀行オリジナルのストーリーが
どれも展開されていて、

映画の内容も彼色に染められているので、
普段とは違った生々しい妖怪の動きが
見られて面白いです。

ジバニャンが奇行を取る

ジバニャンは性格は悪くなっていませんが、
非常識な犯罪行為を劇中で行おうとして
いました。

それは、コアラニャンが気絶している際に
彼を土に埋めて事態を収束させようと
したこと。 

後にジバニャンはコアラニャンの過去を知って
彼を庇うのですが、

あまりにも強引で倫理観を無視したやり口には
強い衝撃を受けました。

イナホがASD化

リアル世界におけるイナホはセラピアーズ以外の
物事に興味を失って、USAピョンの気持ちを
配慮せず思ったことを直接伝え、フィギィアの
ポージングやアングルに過度にこだわる
ASD的な性格になっていました。

あくまでASD的というだけで、感覚過敏や
同じ行動の繰り返しは描写されていなかったので、

ASD化したと断定することは出来ません。

USAピョンは悲しがっていましたが、僕は
自分を客観的に見た場合の姿を確認することが
出来たので嬉しかったです。

自分の弱さに向き合う大切さ

ケータが世界を壊そうとするカナミに向けて
発したメッセージで
興味深いものがあります。

それは
心の底から笑えるようになるには、
弱い自分と戦うしかないんだ!!

というセリフ。

自己愛を持つカナミに対して言ったセリフなので、
自分にも効きました。

しかし、そんな理想的な言葉を言われた
ぐらいでは、自己愛は自身の性格と一体化
しているので、病理を覆すことは出来ません。

猫きよも「彼女自身が心を改めない限り、
闇はわき続ける」

自己愛を克服する方法はとにかく自分の弱さに
向き合う時間を長期的に持つことです。

しぶとく痛みを伴う言葉も受け止めて自己愛の
自分を受け入れるしかないのです。

健全な自己肯定感を育む上で自己受容が一番
長期戦で重要なステップなので、

僕も負けずに向き合います。

漫画の終わりには数年後カナミが
再び活躍する様子が描かれ、
だいじょうぶ、キミならできるよ

という作者からのメッセージで
締めくくられているので、少し鳥肌が立ちました。

コアラニャンの忠誠心を尊敬

コアラニャンは、

ウィスパーがケータ君を攻撃したことに
怒りを覚え、カナミにロケットランチャーを
打った時は自分が盾になったり、

ブシニャンが刀でカナミを成敗しようとした時も
必死にブシニャンの手を押さえつけていました。

僕は自分の貴重な時間を犠牲にしてまで
他人を変えようと努力することは
無意味だと思っているので、

コアラニャンの強い忠誠心を
尊敬したいです。

全体を通しての感想

今回、本書を読んで変わったことは2つあります。

1つ目は漫画への醜い偏見が薄れたということ。

小さい頃の僕は、図書館に連れて行って貰えると
いつもドラえもんの漫画大全集しか読んで
いないほど漫画に没頭していました。

しかし、近年は意識の高いビジネス本ばかりを
読み進める中で
漫画は教育的価値が無い、
時間を無駄にする低レベルな娯楽

という誤った認知に。

漫画も自分が汲み取ろうとしていなかっただけで、
分析しようと思えば自分色の意見を述べられると
理解したので、

自分の目的に合う漫画なら、コンフォートゾーン
から出て購読するのもアリだと思いました。

2つ目は岡田尊司やこころ診療所チャンネルの
提唱する自己愛の対処法が確信に変わったこと。

僕は自己愛性パーソナリティ障害の治し方を
知るために、パーソナリティ障害研究をする
岡田尊司の本を読んだり、

YouTube上でこころ診療所チャンネルの
動画を繰り返し視聴していました。

そこで挙げられていたのは、
本人が向き合い、弱みと戦い続けること」。

カナミが自己愛を克服するハッピーエンドの物語を
受けて、自己受容するのは間違った努力ではないと
改めて分かりました。

しかし、実際の自己愛は自分のくだらないプライドに負けて開き直り、治療が振り出しに戻ったり、

自分を痛めつけすぎて鬱病になったり、他の精神疾患を併発することもあります。

敵度な自己肯定(3行ポジティブ日記を書く)を保ちながら、自己愛を克服したいです。

Todoは今までと同じ自己内省と
3行ポジティブ日記を継続すること。

期待を遥かに超える感動的な話でした。

総括

今回は「漫画版 映画妖怪ウォッチ空飛ぶクジラとダブル世界の大冒険だニャン!」の感想文を
書いてみました。

次は文庫版の映画妖怪ウォッチ空飛ぶクジラとダブル世界の大冒険だニャン!を読んでみたいです。

ここまで記事を読んでくれてありがとう
ございました!

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