取材される側の心構え 2
取材の依頼が来たとき、記者からは「こちらの質問に答えてくださるだけで結構ですから」と言われることがあると思います。
その言葉を鵜呑みにして、「そうなんだ、質問に答えるだけでいいんだ」「そのときに考えればいいや」と思ってはいませんか。
もちろん、普段から誰に何を質問されても会社のことや事業のこと、自分の仕事について的確に答えられる、という方はそれでいいと思います。
しかし、私もそうですが、ほとんどの方は、自分の仕事の内容について、あるいは現状の問題について、聞かれてすぐに、相手がわかるように的確に答えられないのではないでしょうか。
取材の段になって、現状を把握していなかったことや、問題意識に欠けていたことで「しまった、確認しておけばよかった」と後悔したことはありませんか。
なので、取材を受ける場合は、頭の中を整理するためにも、資料と心の準備が必要なのです。
私の場合、企業の経営戦略や事業戦略、担当者の仕事に対する姿勢やノウハウを取材させていただくことが大半です。ですから、ある程度は、取材で質問される内容は想定できると思いますが、変化球も結構投げます。
なぜなら、予定調和の取材では、面白い発言や他の記者が知らない実態まで聞き出せないからです。
記者というのは、スクープのような派手な記事を狙っていない人でも、他紙とは違う内容や切り口の記事を書くことに腐心し、そのために情報収集に奔走します。だから、アポをとって取材に伺う場合も、できるだけ多くの情報を聞き出そうとします。
「しつこいなぁ」とか「そんなことまで言えないよ」と内心思われることも多々あると思いますが、その時は「確認してから連絡します」とか「これは絶対オフレコだよ」とか「それは非公表なので」と、はっきり伝えることです。曖昧にしておくと、誤報や誤解のもとになったり、社外秘の数字が公表されたり、と後で困ることになりかねません。
私の場合は、新聞はもちろん、雑誌やウェブでも、書いた原稿を事前に取材先にお見せすることはありません。
そのためにも、取材の時点で、書かれていいこと、書いて欲しいことと困ることを明確にしておくこと。さらに言えば、不意に質問されても的確に対応できるよう、普段から記者の目で社内や仕事に関する情報を収集しておくのも、ひとつの手かもしれませんね。
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