地域CL2021岩手ラウンド1日目レポート
地域CL岩手会場1日目は、おこしやす京都ACがコバルトーレ女川に、クリアソン新宿がFCバレイン下関にそれぞれ勝利した。勝ち点3で並んだ2チームは、得失点差でクリアソンが首位に立っている。
コバルトーレ女川0-1おこしやす京都
寸評:試合開始直後から強めの雨が降り始めた中行われた一戦は、前半お京都が何度もチャンスを作ったが決めきれず。GK野坂の攻守が飛び出た女川も前半終了間際、2度の決定機を作ったが相手GK真田のセーブにあった。
雨が止んだ後半は序盤女川が攻める展開に。すかさずお京都はイブラヒムを投入。流れを引き戻しにかかる。すると69分、イブラヒムのシュートを野坂が弾く。このこぼれ球を貫名が決めてお京都が先制。ここから交代カードを巧みに使いながら試合を掌握したお京都は、真田を中心に集中した守りで追いすがる女川をシャットアウト。寒空の下で白星スタートを切った。
おこしやす京都:瀧原直彬監督
「前半チャンスを多く作りながら中々決まらないところもありましたけど、プレーとしては選手が狙いを持ってチームがやろうとしてることを出してくれました。しっかり結果につながる入りだったと考えています。地決という特別な大会で、特に初戦というのは天候もあり堅い試合にはなりましたけども、選手が最後まで力出し切ってくれて勝ち点3を初戦で取れたのは良かったと考えています」
Q.試合前のプランは?
「まずは1試合1試合、目の前(の試合)120%で(戦い)、1試合勝って120%(の)準備する。これは自分がコーチ時代もそうですし監督としてやってる今もうちのチームとして変わらないことです。とにかく120%力を出し切るところはプランとして考えています」
Q.青戸選手とイブラヒム選手の交代について
「青戸はターゲットとして得点を取るタイプ。相手がそこに慣れてくる時間帯から違ったタイプのイブラヒム(を出す)というのはかなり脅威的になると考えています。そういった意図も含めて交代しました」
Q.今後の意気込み
「今から次の準備に120%取り組むので、明日の試合も選手が120%出せるような準備をして。あと勝ち点6取って予選ラウンド突破したいと考えています」
Q.雨の影響は?
「相手の女川さんは縦に速いプレーが特徴的で、イレギュラーは起きる可能性が高いというところは想定していました。そこまで影響があったとは考えていません。(後半は)選手交代も含めてうちは層が厚い。疲労感は考えながらも、どんどん送り出せる選手はいるので、そこまで(雨や濡れた影響は)考えていませんでした。クラブとしても(試合会場が)盛岡になったときに、寒さへの対策を取り組んできたので、選手自身も意識してプレーの準備をしてきたと考えています」
Q.おこしやすは今年天皇杯でJ1のサンフレッチェ広島に勝ちました。強い期待やプレッシャーを受けてはいませんか?
「広島さんに勝てたことはクラブとしても選手としても自信につながりました。しかし、この地域CLは違った大会です。各地域のチャンピオンチームが出てきてますので、目の前の一歩一歩を積み重ねて自分たちに目を向けてやっていけたらと考えています」
Q.女川対策は?
「女川さんは縦に速く背後への動きが強みだと考えていました。まずは出どころ、ディフェンスラインへのプレッシャーというところをテーマに置きました。セカンドボールやルーズボールも多くなるので、セカンドボールをいかに自分たちが回収して試合の流れを作るかをポイントに置きました」
Q.真田選手の評価は?
「素晴らしい結果です。チームを救ってくれたと思っています。リーグ戦から信頼してますし、ビッグセーブでチームを救ってくれてますので、引き続きプレーしてくれたらと思ってます」
Q.関西リーグはリーグ戦を完遂できましたが東北リーグはリーグ戦途中で打ち切りとなりました。そういった状況の中で女川の印象は?
「2017年に地域CL決勝ラウンドで女川さんに負けました。その時から印象は変わってません。チームとして1人1人がチームのためにハードワークされるチームだと思います。声のかけ合い方もポジティブで、チームでまとまっていて、そういうチーム作りは素晴らしいと感じました。今日はちょっとだけ自分の中でリベンジだと思って挑んだんですけど、最後まで気が抜けない、素晴らしい(チームだ)なと感じました」
おこしやす京都:真田幸太選手
「ずっと前半から押してる時間帯が続いてて決定機もありましたが、絶対ピンチはやってくるだろうと思ってました。そこをしっかり抑えられて勝てて良かったです。みんな生き生きとしてやってたというか、ノリに乗ってやってて。最後決め切るところだけかなというのは後ろから見てて感じました」
Q.雨も寒さもありましたが?
「環境は変われどやることは変わりません。そこは自分でベースとしてる部分をやれたと思います」
Q.この先の連戦について
「やれることはしっかり全部やって。まだ1勝しただけ。昇格に向けてあと2試合残ってて、決勝ラウンドもある。1試合1試合良い準備をして戦っていければと思います」
Q.相手のGKにも好セーブがありました。何か影響はありましたか?
「良いセーブしたな、ナイスキーパーだなと率直に思いました。でも相手の影響は関係ないです。自分の中でやることをやって、自分の中での良いプレーをハッキリさせて良いプレーをするだけだと思います。相手に自分が影響されることはなかったです」
Q.真田選手は湘南ベルマーレから期限付き移籍で来ています。湘南とおこしやすはチームカラーが似ていると思いますがトレーニングなどはどう感じますか?
「類は違いますが強度が高い部分では一緒です。自分が湘南で経験したことを伝えつつ、強度の高い試合をできればと思っています」
おこしやす京都:貫名航世選手
「シュート自体はイージーな感じだったと思いますが、そこまでしっかり詰めてて良かったと思います。チーム全体でやろうとしてることはできたと思います。中盤(の選手)としてはもう少しゲームをコントロールしなきゃいけない場面もありましたが、チームの方向性がしっかり定まってますので、そんなに難しくはなかったです」
Q.ここから3連戦ですが?
「3連戦というのは中々経験はないんですけれども、自分の個人的な体の調子は1戦目より2戦目の方が動けそうな感じはあります。そこまで心配してないです。最後の3戦目がどうなるか大事だと思います。無観客試合が続く中で、前所属の八戸のサポーターさんも遠いところから応援してくれてます。こういう形で地決という舞台で結果を残すことができて良かったです。ここから2試合残ってるので、2試合とも勝ち切って良い報告ができるように頑張りたいです」
Q.今日の天候は選手としても怪我のリスクが高い難しい状況だったと思いますが?
「前半始まる前や後半始まる前は相当体も冷えてました。少し体の動かなさは感じましたが、個人的には東北の八戸でプレーしてたのでそれほど苦ではありませんでした。そんなに難しさは感じなかったです」
Q.八戸でのプレーは生きてますか?
「東北の寒さに慣れてる部分はあります。あまり寒さを感じないというか、個人的には慣れ親しんだ土地でやってる感じです」
Q.セカンドボールの奪い合いについて
「自分の仕事としてはセカンドボールを拾うこと。そこの1歩目の反応の速さ、出足の鋭さを意識してます。今日は特に相方の(林)祥太さんとの距離感が良かった。僕が拾えずに流れてしまっても距離感が近かったことで祥太さんが拾えた。お互いの連動する動きができてたと思います。3日間続けられると思います」
クリアソン新宿4-1バレイン下関
寸評:地域CL初出場チーム同士の一戦は再び降り始めた雨の中で行われた。序盤から攻め立てるクリアソンは相手ゴールを揺らせない時間が続いたものの、32分にCKから米原が決めて先制。その3分後には大谷のクロスを受けた伊藤が決めて追加点をあげる。
雨が降ったり晴れ間が出たりと目まぐるしい空模様となった後半は、HTに2枚替えを行ったバレインが流れを引き寄せる。すると62分、投入直後の霜出が決めて遂にバレインがネットを揺らした。これで勢いを増したバレインと目の覚めたクリアソンが互いに攻め合う中、84分にGKのこぼした球を樋口が押し込み貴重な3点目をクリアソンが掴み取る。試合終了間際にも4点目を挙げたクリアソンが白星発進。多彩な攻めで食らいついたバレインは終盤に力尽きる結果となった。
クリアソン新宿:成山一郎監督
「初めての大会だったので、みんなでまとまってやろう、と(伝えてました)。チームだけじゃなく、応援してくださってる方たちと一緒にまとまって初戦を迎えられました。しかも勝てて、すごくつながりを感じられる試合ができました」
Q.関東リーグで11連勝フィニッシュでしたが?
「関東リーグは強いチームが沢山あって、ライバルチームの皆さんに鍛えてもらったところが大きかった。11連勝と言われてますけど、僕らは死に物狂いで毎試合やってます。振り返ったらそういう風(11連勝)になってた。11連勝を経て鍛えてもらった、そして出場権を得た。大会が違うので違う準備をしてきました」
Q.3連戦ありますが?
「初出場で、まだまだチャレンジャー精神でやっていこうということで。この1試合目にみんなで照準向けて準備してきました」
Q.意気込みを
「今日勝てたのはチームだけではなく応援していただいてる皆さんのおかげです。コロナ禍で新宿という地で中々大変だったんですけども、それでも僕たちのことを信じて期待して応援してくださってる皆さんと一緒に、その人たちの気持ちと一緒にこの大会に臨んでます。引き続き一緒に戦ってもらいながら、僕たちは一生懸命やりながら皆さんに何かをお届けすることができたらと思います。明日も一生懸命やります。引き続き応援よろしくお願いします」
Q.初出場ですがチームの硬さは?
「ありました。硬い選手もいれば硬くない選手もいて。硬くない選手たち、具体的にはメンバー外の選手たちが大きな声で盛り上げてくれて、アップも手伝ってくれました。そういう風にチームは試合に向かってました」
Q.後半相手に攻められましたが?
「相手チームがメンバーを変えて、だいぶ思い切ってやってくるようになったなと感じました。具体的な指示は行わず、変わった選手がどんな選手なのか見る時間でした。この後の変化を見ている時間でした。点取られて選手たちもヤバいなとなりましたし、私たちも交代選手を出しながら変化していこう、と。そこで上手く(1失点で)乗り切れたと思います。ピッチの中で選手たちが修正してくれました。それができるチームだと信じてます。サッカーは選手のものですから」
Q.ちょうど3年前のこの時期に関東リーグ昇格を決めました。その時とくらべてチームのあり方がより強調されていたように感じましたが?
「私たちは理念を明確に掲げてます。そこはメンバーが変わってもブレずに体現しています。そこに共感してる人たちが集まってくれてます。中々ブレにくいと思います。観客はいらっしゃらないですけども、リーグ戦が終わってからこの大会までに応援してくださってる方との交流会を3〜4回ほど開催しました。対面で声をかけてもらったり、その時のみんなの集合写真を大きなパネルにしてベンチの横に置かせてもらったりしてます。昨日も会社の仲間がZOOMで僕らのミーティングと繋がってくれました。今日はいないですが、そういった人たちの力や応援を感じてます。その人たちの思いを背負いながら、その人たちと一緒に1試合戦ってる気持ちで明日以降も頑張っていこうと思います」
クリアソン新宿:伊藤大介選手
「初戦だったのでみんな気合入ってました。(得点は)前に僕が2〜3本外してたので、なんとかゴールに押し込むみたいな形でしたけど、追加点が取れて良かったです。チームみんなでこの3連戦を楽しむというか味わい尽くして、チームみんなの力で臨もうと挑んでます。僕らはブレずにやり続ける。1人1人思いを持ったプレーヤーが集まってますし、結果どうこうではなくピッチの上でどう表現できるかというところをチーム全体で表現していきたいと思います」
Q.今後の意気込みを。
「先を見るのではなく1つ1つ目の前の試合を消化していくのみだと思います。クリアソンは1人1人が戦い、チーム全体で戦ってる。良い雰囲気で残り2試合戦っていきたいと思います」
Q.チームメイトの関係性はプロの時と違う感覚ですか?
「1人のサッカー選手としてはプロの時と変わりませんが、チームのつながりや1人1人のつながり、その人のために頑張る、そういった思いはプロの時以上です。そういう思いが1人1人にあって、それを表現する。特別僕も元Jリーガーだからとか、そういうのは取っ払ってチームでやってます」
クリアソン新宿:米原祐選手
「初戦ということもあって堅い展開を予想してました。その通りになった立ち上がりは一進一退の攻防を繰り返して。チャンスを決め切るところは両者行かずに痺れる展開が続いていました。その中で、自分たちの強みであるセットプレーで必ずチャンスは来るとチームメイトと話していました。そこ(セットプレー)で自分が決めることができて良かったと思います」
Q.かつてプレーしたいわぎんスタジアムでの開催でしたが?
「運命だなーと思って(笑)。3つ会場がある中で岩手に決まった瞬間は鳥肌が立ったというか、すごく嬉しい気持ちになりました。(まだ明日明後日と試合があって)信じられない感覚ですけど、チームのメンバーも口を揃えて目の前の試合を全力でやり切る、それが終わったら明日の試合のことを考えようという風に言ってます。今日終わってからみんなで明日の試合について考えていきたいと思います」
Q.後半から押し込まれましたが?
「後ろの選手たちで常にコミュニケーションを取りながら、難しい時間帯は必ず来ると話していました。その時間帯でも後ろが崩れなければ次のチャンスにつながると信じていたので、失点してしまいましたが試合通じて意識して声を出してやり続けたと思います」
Q.追いつかれなかったことに関しては?
「難しい状況は出てくると話していたので、そこで事前に仲間で共有できていたところが失点の後も崩れずに追加点を取る活力になったと思います」
Q.井筒選手や小林祐三選手との連携は?
「経験ある選手が隣にいてくれるのは僕自身心強いです。自分の長所を生かしてくれるような声かけをしてくださったり、常に姿勢を見せ続けてくれる存在です。僕も自分のプレーに集中してやることができてます。良い関係を築けてると思います」
Q.意気込みを
「無観客試合ということで中々皆さんの表情だったり同じ感動を共有しづらい状況ですが、皆さんの声援は確実に僕たちに届いてます。皆さんとつながって戦っていると実感しているので、明日も引き続き応援してくださる方々の期待に応えられるように、感動を届けられるように頑張って戦っていきたいと思います」
取材・文:湯郷五月