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地域CL2021決勝ラウンド最終日レポート

FC徳島1-2クリアソン新宿

寸評:勝てば2位以内が確定するクリアソンは、立ち上がりから前への圧力を強め攻め立てていく。持ち前のパスワークで応戦する徳島は、19分に秋月のゴラッソで先制。負けられないクリアソンは左右のWBを入れ替え押し込むが、GK荻野の攻守に阻まれネットを揺らせなかった。
 1000人を超える大観衆の前で負けられないクリアソンは、ハーフタイムで森村を投入。すると直後の48分、井筒のロングボールに抜け出した大谷が決めて同点に追いついた。勢いを増すクリアソンは66分、森村のクロスを瀬川が押し込み勝ち越し。多くのファンに支えられたクリアソンは、集中した守りで徳島を抑え込みタイムアップの笛を聞く。この瞬間、JFLチームとの入替戦進出が決まった。


クリアソン新宿:成山一郎監督
「何事か成し遂げようとした時には思い通りにいかないことがあると、強く教訓になりました。選手たちは難しい展開だったんですけど、僕以上に落ち着いていて頼もしかった。最後きっちりと結果で表現できた。応援来てくださった皆様と最後喜びあえて、すごく嬉しい試合になりました」

Q.左右のWBを入れ替えたのは?
「徳島さんが(うちを)よく分析されていた。両WBを上手く封じ込められていた。場所を変えれば何か変化あると思って変えました」

Q.ハーフタイムでの交代は?
「池谷がスペースにガンガン上がっていた。1試合目2試合目と元気いっぱいやってくれて今日は疲れていた。それと、相手に先に点を取られてスペースがなくなってしまったので、スペースがない中で技術の生きる森村を投入しました」

Q.2勝1分という結果について
「大会通じてまだ至らないところがいっぱいあると突きつけられたと思います」

Q.至らない点とは?
「入替戦は引き分けだと上がれない。1試合目からシュートの形やシーンは作れてると感じてますが、得点力に反映しきれてないというのが1つ課題です」

Q.沢山のお客さんが入ってましたね
「本当に応援ありがとうございました。コロナ禍で皆さんキツい中、それでも我々を信じて期待して応援してくださってる方がこれだけいらっしゃる。その人たちに力をもらいましたし、その力をピッチで表現して皆さんに少しでもお届けすることができた。お互いに与え合いながら進んでいきたいと思います。引き続き応援お願いします」

Q.今大会での勝因は?
「ピッチに立って結果を出した選手の後ろに、毎回練習で凌ぎ削り合うメンバー外の仲間がいた。彼らが文句1つ言わずに練習から集中力高くやってくれてる。短期決戦なのでメンバーほとんど変えることはなかったんですけど、中日の練習も含めて一生懸命やってくれた。すごく刺激を受けてました。今日も出場選手たちが集中できるようにチームの準備をやってくれました。出てないメンバーの支えがありました。更にエントリー枠から外れてる選手が5名います。その5名が、自分たちでやり続けることで何か刺激を与えられるんじゃないか、と。腐らずにチームのためにやり続けてくれた。それが第一の勝因だったと思います」


クリアソン新宿:岡本達也選手
「最初やられて、ただあの瞬間に大丈夫だって誰1人下向くことなかった。今年1年間苦しい試合を乗り越えてきて、あの瞬間全員大丈夫だって思いました。あの(ビハインドの)状態をみんなで楽しめたのが良かったと思います。(地域CLは)すごい良い大会ですね。レギュレーションはキツいですけど。キツい時とか苦しい時に何ができるかがサッカーの面白いところで差が出るところ。このキツいレギュレーションの中を一緒に戦ってる他のチームのメンバーともシンパシーを感じてて。この大会を仲間として一緒に作ってる感覚でやれてる。すごくサッカーの本質や素晴らしさを改めて教えてもらえました。楽しませてもらいました」

Q.カテゴリーを駆け上がってますが?
「1つ1つ積み上げてきました。今は色んなメディアさんに取り上げていただいたり注目してもらえてますが、都リーグの時はみんな世界一(を目指す)とか鼻で笑ってました。ただ今も昔もクリアソンが大切にしてること、仲間のために走る、声を出す、最後まで諦めず戦い抜く、そういう本質は変わらないし、より強固になってる。そういったものを大事にしながら1つ1つカテゴリーを上げていきたい。クリアソンが大切にしてきたことはサッカーの本質だし、サッカー界以外の人たちにもスポーツを通して伝えられることが沢山あると思ってます。僕たちが1つずつカテゴリーを上げていくことで、僕らが大事にしてることが1人でも多くの人たちに届いていったら素敵です。それによってお客さんも対戦相手も人生がちょっとでも豊かになっていくような、何をこぼせるか広げていけるかを大切にしながら昇格していきたいと思います」

Q.働きながらサッカーをやるのが強みだそうですが?
「そうですね。強みになると思ってます。理由は2つあります。1つは、ビジネスを本気でやることでサッカーでは学べない力をつけられます。言語化する力、抽象的なものを体系化して仲間とコミュニケーションをとる。そういう力、ビジネスで学んだことをサッカーに生かせる。もう1つは、人間って苦しいことや難しい状況の中で進化できると思ってます。サッカーだけやるよりも、同じ強度でサッカーやりながらビジネスもやるってめちゃくちゃしんどい。常識的には無理だって言われるんですけど、自分を鍛える場が2つある。弱い自分に負けそうになりながらそれを超える体験をしてます。サッカーだけで鍛えられてる自分という人間が、2つの場で鍛えられてるってめちゃくちゃ負荷が高い。でも、そういう人間が集まってるからこそ、苦しい状況でも逃げずに声かけあって前向きにチームでやり続けられる。そういう強さにつながってると思ってます。今の世の中は何かをやるために何かを諦めなければならないor(オア)の発想が多い。and(アンド)の考え方がもっとあっても良いと思う。キツいけど、それ(and)をやることでそれ(or)以上のものを得られる。そういう道もあるんだと子供たちに思ってもらいたい。そういうスポーツ界にしていけたら良いと思ってます。綺麗事を突き詰め続けて常識にしていけたらと思ってます」


クリアソン新宿:瀬川和樹選手
「(決勝ラウンドは)予選ラウンドが過酷な3日間だったので、すごく楽なレギュレーションでした。気持ちの整理をしながら迎えられるので、楽しくできました。(沢山のお客さんが来場して)興奮しました。Jリーグにいた時もスタンドに沢山の人がいる環境でやっていた中で、地域リーグですけど沢山の方が来てくれるのはすごく嬉しいです。ああいう人たちに感動や感情を揺さぶるようなサッカーを見せたかった。勝てて嬉しかったです」

Q.得点について
「途中でサイドを変えた中で、僕は左利きなので右に行くと中に中に行く。クロスが上がってくると思ったので、中に入って合わせるというところで。相手もボールウォッチャーになってたので、相手の位置を見ながらここに来ると思って走り込んで。森村選手から良いボールが来て、後は体ごと押し込むだけでした」

Q.連戦の中でも運動量を保ててますが?
「1日あれば疲労は0になります。交代浴は自宅や、1次ラウンドはホテルでやってました。氷で水風呂を作ってやってて。でも、それで回復しますけど痛いところや違和感、筋肉痛は確実にあります。でも、心は全く疲労してなかった。心の部分で、心が元気だと体も自ずと動くというのは自分の経験としてありました。心だけは疲れないようにやってましたし、実際に予選ラウンドも、リーグ戦も含めて、ずっと楽しかったです」

Q.入替戦に向けて
「勝たないといけない状況ですが、入替戦だから特別なことをやるということはないです。クリアソンらしく元気に、ノリと勢いで挑めれば結果は自ずとついてきます。僕個人で言うと、走る、人のために動く、クロス上げる。そういうところをやり続ければ、結果はついてくると思います」


FC.ISE-SHIMA 0-0おこしやす京都

寸評:勝つしか道のないお京都は、立ち上がりから積極的に攻勢に出る。伊勢志摩は前から来るお京都相手に勇気を持って繋いでいく姿勢を見せたが、前半はお京都ペースで折り返した。
 後半も怒涛の攻めを見せるお京都は、次々と決定機を作るが枠を捉えられない。72分には原一樹を入れ、前の迫力を増す。しかし、GK増田の好セーブもあり、どうしてもネットを揺らすことができない。アディショナルタイムには尾本も入れてパワープレー。怒涛の攻めを見せるも、ついぞゴールは割れず。無情にもタイムアップの笛が響いた。
 これによりクリアソンの優勝が決定。また、伊勢志摩は今大会全6試合でクリーンシートを達成。持ち前の堅い守りを軸に、JFL16位との入替戦に挑む。


おこしやす京都AC:瀧原直彬監督
「まずはコロナ禍の中、このような素晴らしい大会を開催していただいたこと、色んな関係者の方々に感謝申し上げます。チームをこれまでずっと支えてくださった株主様、スポンサー様、ファンサポーターの皆様には、大変悔しい結果となり申し訳なく思います。選手は力を出し切ってくれました。自分の力不足です」

Q.試合内容は素晴らしかったと思いますが?
「自分たちは勝ち点3を取るしかないというところで、それをポジティブに捉えて勝つだけだということはチームで共有しました。立ち上がりからとにかく相手のゴールに向かって、守備も攻撃も攻撃的にいこうというところで、選手自身が全力で表現してくれました。ゲームとしては選手がしっかり力を出し切ってくれたゲームでした。あと1歩、あと1点というところは僕の力不足です」

Q.2年間での積み上げは?
「結果としては(2年前の地域CLと)同じ結果になってしまいましたが、選手が力を出すために準備する部分はクラブ全体でもやってきました。そういったところは積み上がったと考えてます。ただ、やはり結果なので……。本当に申し訳ないです」

Q.ファンサポーターへのメッセージを
「1年間応援ありがとうございました。今年こそはと挑みましたが結果を残せずに申し訳ない気持ちでいっぱいです。選手は力を出し切ってくれました。声をかけてあげていただけたらと思います。チーム自体はまだまだ昇格を目指して1歩ずつ進んでいきますので、引き続きご支援ご声援のほどよろしくお願いします」


FC.ISE-SHIMA:小倉隆史監督
「(地域CLに)挑むにあたってどこまでできるのかというところで、厳しい戦いが続くと思ってました。1次ラウンド以上に決勝ラウンドは苦しい試合が続きました。それでも粘り強く戦って6試合連続クリーンシート。本当に選手の頑張りだと思います。(ファンサポーターの姿は)すごい選手たちの後押しになりました。まだもう1試合あります。なんとか皆さんに良い報告ができるように、ひとまず休んで、次しっかり勝てるように頑張りたいと思います。応援していただけたらと思います」

Q.攻撃面については?
「課題は残りましたね。そこを精度上げたり、形をもっと作っていくことが必要だと思います。勝ち切るためには決定機含めて得点は必要になってくる。そこは課題として今後取り組んでいきたいと思います」

Q.守備以外に良かった点は?
「攻守のバランスのところで守備の堅さは必要。その裏返しになるのが、攻撃を重んじすぎるとリスク(ということ)。そのバランスのところでは今までよりもバランス良くやれてたかな、と。課題もありますが、そのバランスは良かったと思います」

Q.地域CLという大会をどうご覧になりましたか?
「中々タフですね。ここを勝ち抜いていくのは中々厳しいな、と実際やってみて感じます。2位を死守できましたけど、おこしやす戦もギリギリで紙一重。改めて厳しい大会だと感じてます」

Q.東海リーグは途中までしかできませんでしたが、リーグ戦を完遂したチームのチャンピオンとの差は?
「公式戦の場が選手にとって一番の成長の場なので、(それが少ないのは)厳しいと思ってました。ただその中でやらなければならないこと、やってきたことが負けなかったことにはつながったのかな、と。各地域ごとのリスクもありますが、関東と関西は無観客で全試合やって、クラスター発生してない。(東海リーグも)できるんじゃないか、と。やらないというより、できることからやってほしいと思います。大変なことはわかってます。でも、戦いの場を外されるというのは……。競技する場があって選手は練習、研鑽してるので。そこはやっていただけたらなと強く思います」


FC.ISE-SHIMA:谷口力斗選手
「最後まで楽しめました。最後に勝って決めたい気持ちはあったんですけど、なんとか最低条件の引き分けということで。チームとしては6試合クリーンシート。最低条件、チームとしてできたと思います。次につながる1戦だったと思います。僕自身中盤やらせてもらってて、後ろの選手がしっかり頑張ってくれて。僕らもセカンドボールを拾えてる時間帯は自分たちのペースだったんですけど、相手が再三良いところにボールをあげてそれを凌いでという試合で。そういう攻防は中々できなかった状況なので、楽しく最後まで90分間できて結果出して次につなげられました。良かったです」

Q.自信を持って守備をしていたように見えましたが?
「引き分けでも良いという考えもあって、失点しないというところで。自分たちの陣地のところはセーフティに、相手の背後を狙う。相手のコートに入ってそこから前へ、3人目4人目、1つ多くというところを意識した。中々形は作れなくて皆さんにお見せできなかったんですけど、なんとか引き分けられたので良かったと思います」

Q.気持ちでも負けてなかったと思いますが?
「相手が背の高い選手や速い選手を入れてくる中で、逆に引いてしまうと相手のポジティブな部分が出てしまう。自分たちはしっかり押し上げて、自分たちのコートになるべく行かさないようにしてました。京都さんは結構良いボールを入れてきて、僕たちは分析通り入ってくるということで、弾いてすぐに追い出すところを意識して臨みました。結果として出たので良かったと思います」

Q.運動量も落ちませんでした
「練習から走ることやオンオフの切り替え、ラインの押し上げという部分で、全員がやってる。チームとして相手に走り負けない、ライン押し上げる。そういうところをやって。後は、日々色んな人にケアしてもらったり。そういう部分が一番大きいと思います。また次にしっかり準備して対策して勝てるようにしていきたいと思います」

Q.応援してくださる方にメッセージを
「観客席にジュニアの子が来てくれてましたし、ライブ配信で見てくれてる人もいる。本当にありがとうございます。帰ってから僕も一緒に成長できるように頑張りますので、また応援よろしくお願いします」

取材・文:湯郷五月

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