見出し画像

森と人をつなぐ「脈」になる (株)myaku代表がメンター2人から教えてもらったこと

約6ヶ月間の起業支援プログラムである、HATSUチャレンジャー制度(令和4年度)に採択された山本万優さん。チャレンジャー期間終了後、「森と人をつなぐ脈になる」をミッションに、天然ヒノキの端材を活用したオリジナルブランドの立ち上げや森林にまつわる事業開発支援を行う株式会社myakuを設立。

今回は山本さんと、HATSU鎌倉のメンターである松本純さん(松本公認会計士事務所 公認会計士/合同会社SANTI 代表 )と里勇輝さん(エスペランサ税理士事務所 税理士/医療経営士)と一緒に、山本さんの起業までのあゆみについて伺いました。


自分にないものを一番持っているメンターの方々

--起業当初メンターのお二人には、どのような相談をしましたか?

山本さん

山本さん:
プログラムに参加した2年前は、会社員を辞めたばかりでした。会社員時代は、コミュニケーション力やリーダーシップ力、プロジェクトマネジメント力を学べましたが、税金や経営について触れる機会はほとんどありませんでした。

だからこそ、お二人は自分にない能力を持っていたので、起業当初とってもお世話になりました。

里さん

里さん:
山本さんのサービスは、実際にモノを作って売るという原価がかかるサービスなので、税金や消費税が密接に関わってきます。そのため、原価計算はとても重要です。

且つ、経営者たるものは、やはり簿記の知識は必須だと思います。HATSUの起業家の皆さんにも簿記の知識をつけてほしいと思い、2年間毎週簿記勉強会を開催しました。

山本さん:
簿記勉強会では、主に原価計算について学びました。
実際にモノを作った時の内訳の何%が消費税で、原価で、利益で、という至極当たり前のことを、いざ自分でやるとなるとわからないことばかり。

勉強会を通して自分のビジネスに当てはめていきました。おかげで、モノを売るスタートラインに立てたと思います。
これが、販売した後に勉強していたら大変でした(笑)

山本さんが作っている天然ヒノキキャンドル

経営者同士としての関係性

--山本さんは、どんな起業家でしたか?

松本さん:
起業家として、しつこさって重要なことだと思います。毎回壁打ちでは明確な課題を持ってこられて、きちんと改善のサイクルを回していかれる。納得するまでやり切る、足元がしっかりされている起業家さんだと感じます。

また、経営とは、商品力・管理力・営業力 この3つの力が鍵ですが、山本さんは営業にコミットする力があり、何を作っても売るんだろうなと思いました。

私も鎌倉のクラフトジェラート店 GELATERIA SANTiの代表をしていますが、モノを売る大変さを実感しています。物がありふれている世の中で、それをきちんとお届けする、ということは並大抵の努力ではありません。

松本さん

山本さん:
松本さんは、会計の先輩であるだけでなく、ものづくりの先輩という側面もあり、会計の相談も然りですが色々な相談をしました。

正直、1つの商品をお届けするものづくりの大変さに直面してメンタル的にもしんどい時がありました。そんな時に松本さんにすぐに連絡して正直に話したところ、松本さんも同じような経験をされていて、ものづくりで売上を上げることに対するギャップや衝撃は自分だけではないのだと、安心したのを覚えています。

目的に合わせた起業スタイルを選択できる

--皆さんが思う、HATSU鎌倉の特徴とは?

チャレンジャープログラムの様子

山本さん:
参加している方それぞれ目指している方向によって起業スタイルは違うと思いますが、その人が何をやりたいのか、どう在りたいのかにHATSU鎌倉は寄り添ってくれるので、自分に合った起業の道を選んでいけると思います。

適切なプロの専門家(メンター)が関わっているというのも魅力です。
下からでも上からでもない、メンターとの関係性や距離感があるなと思います。フラットで対等なコミュニケーションを取れるので、相談することに対してプレッシャーがありません。

里さん:
鎌倉という地域の特性もあるかもしれませんね。専門家だから相談するというよりかは、鎌倉にいる経営者同士として話ができる距離感、というのが地域の起業支援拠点としてのユニークさだと思います。

松本さん:
純粋に、起業家さんが地域や社会に貢献するために育ってくれたらいいなと思って接しています。

実は僕もチャレンジャー1期生なんですよね。その後、メンターになりました。みなさんそれぞれのビジョンに従った計画を作り、それに似合った法人格を大事にしている。メンターもメンター同士でつながっていて、一緒に事業を立ち上げたりしていますね。

起業という旅を楽しむために

--山本さんから、メンターお二人に何かリクエストがあればぜひ。

SHINみなとみらいにて

山本さん:
困ったことがあったら、日々DMしていますが(笑)起業から約1年が経過して、当時受講した起業家養成講座の内容がようやくわかってきた気がします。

1年目は法律を破らないように様々な書類を出せたらOKで、自分らしさを出すというのは皆無でしたが、受託と商品の利益率の比率は妥当なのかなど、事業拡大のポイントの勘所を掴み始めています。

また、自分はどうしたいのか?今の信念を大切にしたいのか?
誰のペインに答えたいのか?ということをより深く考えるようになりました。

今後、資金調達や資本計画をどう作っていくか、相談したいと思っています。そういう風に相談の内容が変化していくことが、ビジネスとしての成長につながるのかなと思います。

里さん:
1、2年目は自分のビジネスを見出していき、がむしゃらに利益を出していくことを目指しますが、3、4年目で自分でできるようになってきたフェーズで悩むことは変わってきます。

山本さんは卒業生ですが、メンターだけでなく先輩起業家とのコミュニケーションもありますし、またHATSUに戻ってきていただいて、ふるさととして使っていただけたら嬉しいです。

松本さん:
3年経営すると、1年目に見ていた世界と全く別物になります。迷っている3年間がもったいないので、もし起業を悩まれている方がいるのであればぜひ挑戦してほしいです。その場でずっと悩んでいる時間は取り返しがつきません。

起業する時は1人でとても不安ですが、HATSU鎌倉には応援してくれる仲間や地域があります。ぜひ起業という旅を楽しんでください。

起業は、行く場所が先に決まることが多いですが、誰といくのかというのを決めてから、起業という道を歩むのも、HATSU鎌倉ではアリだと思いますよ。

最後に

いかがでしたか?
HATSU鎌倉の卒業生を、ぜひ応援よろしくお願いいたします🎉



皆さんのご紹介🔽

里 勇輝
税理士/医療経営士

宮崎県出身。筑波大学大学院修士課程修了。一橋大学大学院法学研究所博士課程在学中。専攻は経営法(事業承継)。
相続・事業承継を専門とする都内税理士法人での13年間の修行を終え独立し、エスペランサ税理士事務所を設立。中小企業の事業承継やM&A、企業オーナーや資産家の相続税・所得税対策や資産運用などの幅広い業務に従事。また、医療法人、財団法人、学校法人などの特殊法人のコンサルティングも得意としている。現在はセカンドオピニオンをベースとした相談顧問務を展開している。
https://esperanca.pro/ 

松本 純
松本公認会計士事務所 公認会計士
合同会社SANTI 代表

2007年横浜国立大学経営学部卒業。同年PwCあらた有限責任監査法人入所。SEC上場企業の会計・内部統制監査を中心に従事。2012年PwCアドバイザリー出向、戦略コンサルタントとして東証一部上場企業の国内事業立て直しと海外展開の戦略立案支援を担当。2013年から2015年まで休職し、夫婦で世界50か国をバックパッキング。2016年よりベンチャー企業に就職、翌年取締役就任。2017年から鎌倉市御成町にて自身が理想とする循環型社会の一つのモデルとしてGELATERIA SANTiを開業(2019年のgelato world tourで日本2位になりました)。
2020年3月社会起業家のサポートをライフワークとし公認会計士事務所開業。NPO法人七条保育所監事。

山本万優
株式会社myaku 代表取締役

京都出身、祖父が林業を営んでおり山に囲まれて育つ。立命館大学卒業後、 全日本空輸株式会社で客室乗務員として国内外を飛び回り、その後リクルート株式会社に転職。教育事業や新規事業を経験し、一般社団法人Earth Companyにて気候変動教育事業の立ち上げに参画。日本の森林に関わるソーシャルビジネスを立ち上げるべく、2023年に起業。