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「このコースに参加して本当によかった、これは神回だ・・」丸の内プラチナ大学「物語思考デザインコース」Day6~宇都宮秀男さんの投稿 2025.02.17
丸の内プラチナ大学物語思考コースDay6で
「智慧の車座」というものを初めて体験してみた。
その講義が終わった時の感想は・・・・
「このコースに参加して本当によかった、これは神回だ・・」
ということだった。お世辞でもなんでもない。
正直、前回のDay5でライフレコードを描くという講座が予想以上に面白くて、前回でわりと十分満足感があった。
Day6で「前回の続きをやります」と言われても、正直、ピンときていなかった。
まるで美味しい肉のメインディッシュを食べたあとに、
「続いて魚のメインディッシュも用意しております」と言われているような気分だった。
だが、Day5はDay6の大きな「前振り」だった。
メインディッシュだと思ってたものは前菜で、
本当のメインディッシュは、今回、最高の形で用意された。
まず、前回Day5でやったことを振りかえってみよう。
Day5ではライフレコード(人生曲線)を書いた。
一般的なライフレコードと違ったのは、
主観的な視点を赤で書くのに対し、
客観的な視点を青で書くというものだった。
これを書いてみて、ものすごく浮き彫りになったことがある。
「周りからはすごく評価されていたけど、
実は自分の気持ちはかなり落ち込んでいた」
という時期が参加者の多くに見受けられた。
あるいは
「周囲の評価や期待に応えようとして頑張ってるけど、
自分の気持ちが追いついていない」
ということも多いことがわかった。
そういう時は青線と赤線の動きが反比例する。
そこにこそ隠された自分の本質や思考の癖みたいなものが見えるような気がした。
光が強いほど影もまた濃くなるように、周囲からの評価や賛辞が多いときほど、精神的にかなり参ってしまっている時期が僕にもあった。
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20代半ば、大手人材会社に入社し、
入社4年目にして社員3,600人が選ぶ年間MVPに選ばれた時のことだ。
会社からは賞品としてハワイ旅行がプレゼントされ、
マウイ島のリッツ・カールトンに招待された。
職場にはハーマンミラーのアーロン・チェアが支給され、
先輩や部長よりも立派な椅子に座って仕事をすることになった。
よかったのは最初の1日だけだ。
高い営業ノルマを追いながら、
12人のメンバーのマネジメントを任されるも、
うまくフォローできず、退職者が続出した。
メンバーの目が死んでいるのを見るのがつらく、その一方で、
MVPへの賞賛がいろんなところからやってくる現実が耐えられなかった。
僕は当時、精神的にノイローゼのような気分になっていたと思う。
逃げるように転職活動をしつつも、結局、別の部署に異動した。
その後、独立・起業して、趣味だった映像制作の会社を自分でやっている。
もう13期目を迎えたが、時折、自分が同じようにマネジメントの壁にぶつかるとき、ふと考えることがあった。
「あの時、本当は、あのまま踏ん張っていたら、
今とは違う世界があったのか」
「異動を選んだのは、自分が前に進みたかったからか、
逃げたかったからか」
今回のDay6で、「自分のライフレコードから自分が再編集したい箇所を1つ取り上げてみる」と言われ時、正直、これを取り上げるか悩んだ。
古傷にはった絆創膏をもう一度剥がして、傷跡を見つめ直すことに躊躇いがあった。
僕らの班は参加者4人全員が初対面という状態のなかで、
いきなり自分の深い闇をさらけだすことに戸惑いがあったが、
みんな、まるで我がごとのように真剣に、そして親身に聞いてくれた。
そして、いろいろ質問を受けて答えた後、
僕が後ろを振り返って、みんなが僕について語るというコーナーがあった。
これこそが、まさに「智慧の車座」の一番の醍醐味で、
後ろをむいた状態で、みんなが僕についての感想を語ってくれた。
「入社4年目でそもそも12人のメンバーを見ていたこと自体がすごい」
「そんなのできなくて当たり前だよ」
「すごく責任感の強い人だったのではないかな」
正直に白状すると、僕は泣きそうになっていた。涙が溢れた。
誰かに共感してもえるというだけで、こんなにも気持ちが浄化されるのかと思った。
そして自分を厳しく責める出来事として捉えていたことが、
他者から別の視点をもらえたことで、ふっと心が軽くなるような感じがした。
そして、ファシリテーターとして僕らの班に参加していた服部直子さんにこう言われた。
「もう十分若いうちに活躍して会社に貢献したんだから、
今は好きなことで起業してよかったと思う」
その言葉にすごく救われた。
人生の大先輩に、人生を肯定してもらえたことが本当に嬉しかった。
自分1人では再編集できなかったことが、
他者と交わり交流することで、人生を再編集できるということが大きな発見だった。
他の人たちもみんな僕同様に、後ろをむいてみんなの話を聞く時、
泣くのを我慢して堪えていたと言っていた。
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講義が終わった後も、僕ら4人はしばらく話を続けた。
初対面とは思えぬほど密な時間を共有したおかげで、
もっとこの4人でいろいろ語りたいとさえ思った。
お互いの一番暗い影の部分をシェアすることで
こんなにも周りが明るくなるのかと大きな発見だった。
「今」という現実を肯定しながら、
選んだ人生を一歩ずつ頑張っていこうと思えた。