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米中世界覇権戦争を理解しよう

 皆さんこんにちは、ハトヤブと申します。皆さんいかがお過ごしでしょうか?
 2025年1月20日に二期目として返り咲いたトランプ大統領はすでに知られているように対中強硬派の布陣を形成しています。例えば国務長官に指名されたマルコ・ルビオ氏は中国の人権問題に取り組み、香港の民主化活動を支援したとして中国から入国禁止措置を受けています。また安全保障担当の大統領補佐官に指名されたマイク・ウォルツ氏も中国をアメリカの脅威と見なす強硬派と言われています。

図1.左写真の右の人物がマルコ・ルビオ氏、右写真の人物がマイク・ウォルツ氏いずれもNHKニュース(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241114/k10014638001000.html)(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241113/k10014636811000.html)より引用

 日本の識者の一部はその背景をトランプ氏の「予測不能な」保護主義のせいだと考えていらっしゃる人も多いことでしょう。確かに米中貿易戦争を始めたのは彼ですが、それはトランプ氏個人の暴走などではなく、アメリカそのものの対中姿勢の転換が背景になっているのです。
 今回は米中覇権戦争についてその根幹からわかりやすく解説していきましょう。


歴史の転換点

 今から7年前の2018年10月、第一次トランプ政権で副大統領を務めるマイク・ペンス氏がハドソン研究所で演説を行い、中国の強硬で恣意的な対外政策と同国内での抑圧政策を批判しました。彼は中国があらゆる方法でアメリカの世論や経済界に干渉を試み、トランプ政権の対中政策を自国の都合のいい方向へ修正させようとしていると非難しました。

There can be no doubt: China is meddling in America’s democracy. As President Trump said just last week, we have, in his words, “found that China has been attempting to interfere in our upcoming [midterm] election[s].”
(和訳:中国が米国の民主主義に干渉していることは間違いありません。トランプ大統領が先週述べたように、我々は大統領の言葉を借りれば、「中国が今度の[中間]選挙に介入しようとしていることがわかった」ということです。)

(出典:アメリカ合衆国ホワイトハウスHP スピーチ記録「Remarks by Vice President Pence on the Administration’s Policy Toward China」https://trumpwhitehouse.archives.gov/briefings-statements/remarks-vice-president-pence-administrations-policy-toward-china/より)

 また2020年7月、当時のアメリカ国務長官のマイク・ポンペオ氏が訪問先のカリフォニア州にて演説を行い、中国の習近平国家主席と彼が指導下に置く中国共産党政権を痛烈に批判し、従来の関与策からの転換を宣言しました。彼は中国が自分たちの自由を侵食していると指摘し、各国が協力してこれに対処する必要があると強調し、次のように訴えました。

If the free world doesn’t change – doesn’t change, communist China will surely change us. There can’t be a return to the past practices because they’re comfortable or because they’re convenient.
(和訳:もし自由世界が変わらなければ、共産主義の中国が私たちを変えることは間違いない。快適だからとか、便利だからとか、過去の慣行に戻ることはできません)

(出典:アメリカ合衆国国務省HP スピーチ記録「Communist China and the Free World’s Future」https://2017-2021.state.gov/communist-china-and-the-free-worlds-future/より)

 この両氏の演説から始まった対中強硬路線は、政権交代後のバイデン政権にも引き継がれることになりました。ファーウェイをはじめとした中国企業に対する半導体規制は強化されましたし、外交でも「自由で開かれたインド太平洋」を土台した戦略を実行し、日米とインド、オーストラリアからなるクアッドや英米オーストラリアの安全保障協力AUKUSの成立へ結びついております。
 今となっては誰も信じないでしょうが、ジョー・バイデン氏は親中の政治家でした。2013年冬に中国が尖閣上空に一方的に防空識別圏を設定した時、当時副大統領だった彼は中国に撤回を求める安倍首相の提案を却下し、野党党首との会談で「習近平に面倒はかけられない」と話していたのです。それが今では「台湾を守る」とはっきりと明言していますからね。

バイデン米大統領はタイム誌(電子版)が4日に公開したインタビューで、中国が台湾に侵攻した場合の米国の対応について「軍事力の使用を排除しない」と述べ、米軍が台湾の防衛に加わる可能性を改めて示した。バイデン氏は台湾を巡り、米国の「一つの中国」政策は不変だとしつつ、習近平政権による軍事侵攻を警戒し、台湾防衛の意思についてたびたび発言している。

(出典:バイデン氏が米軍による台湾防衛の可能性に再言及 「軍事力の使用を排除せず」,産経新聞電子版,2024.6.5.,https://www.sankei.com/article/20240605-V5CJ6Z2QBNPOXD2HO6YTVWSZ2E/)

 このようにアメリカは政権交代を跨いで対中強硬路線を貫いております。まさにペンス氏とポンペオ氏の演説が歴史の転換点となっているのです。

チャイメリカの死

 ではなぜアメリカ対中姿勢が変わったのか考えてみましょう。単に「独裁国家だから」とか「人権侵害国だから」という理由だけではありません。
 意外に思うかもしれませんが長年アメリカは中国の「味方」であり続けました。第二次世界大戦では我が国日本と戦う中国(中華民国)を支援していましたし、冷戦時代ではソ連と対決するために中国(中華人民共和国)と手を結び、投資や技術提供を繰り返していました。
 そして冷戦終結後もアメリカの中国関与は続きます。目的は中国を日本に対抗する勢力に育てるためです。一部の日本人識者がアメリカを毛嫌いし、距離を置く主張を繰り広げるのは、こうした背景も少なからず影響しているのです。
 2000年初頭には米中の経済的結びつきが特に強まり、日本の存在感さえ霞むほどであり、歴史学者のモリッツ・シュラリック氏とニーアル・ファーガソン氏によって「チャイメリカ(Chimerica)」という言葉が提唱されました。それをざっくりと説明すると中国が貯蓄をし、アメリカが消費をする経済構造であり、膨らむ貿易赤字を埋めるためにアメリカが中国に融資をしてもらうことで成り立っていました。


図2.チャイメリカ

 しかしファーガソン氏はその構造が持続可能なものではなく、いずれ経済危機が起こると予測しました。そして2008年にそれが現実のものとなります。そうです、サブプライム危機から始まったリーマン・ショックです。ファーガソン氏はこの頃から「チャイメリカの死」が始まり、米中の対立が始まったと語っております。

「チャイメリカ」はその頃から死に向かい始めたのだと思います。米中の関係は緊張し、相互批判が始まりました。その時になって初めて、アメリカは「チャイメリカ」はアメリカではなく中国を利していたことに気付いたのです。金融危機が起こった時、中国の成長率は10%で、アメリカの失業率は10%でした。

(出典:丸山俊一,「中国の成功」が終わりに近づいている理由,東洋経済,2020.11.2., https://toyokeizai.net/articles/-/384531)

 一期目のトランプ氏が「対中貿易赤字」の解消を特に主張していたのを覚えているでしょうか? 彼はいわばアメリカの問題を正直に可視化していたのです。比較的融和的とみられがちなオバマ政権ですら、製造業の国内回帰を推奨しておりました。中国が一方的に儲けてアメリカに負債が蓄積する米中一体の経済体制「チャイメリカ」が終焉を迎えたことが米中覇権戦争のきっかけだったのです。

技術戦争への発展

 続いて米中の対立を激化させた要因は技術戦争でした。特に中国人留学生や研究者による技術の盗用が疑われ、実際に検挙もされています。これは決して「言いがかり」などではなく、中国の国家戦略として水面下で行われてきたことが表面化したものです。その詳細については中国問題グローバル研究所の遠藤誉氏が解説してくれております。それによると中国では在学生を教育部、卒業して博士になった者を国家人事部(後に人力資源と社会保障部)で管理しており、1996年から全世界の中国人博士に呼び掛けて独自の人的ネットワーク「全球人材信息網」を形成しているのだそうです。

 中国人留学生が留学先の大学に在籍している間は、その国の中国大使館(および各地域の領事部)が管轄し、各大学に中国人留学生学友会を設置させ、会長は必ず中国大使館に自分の大学の中国人留学生に関する行動を報告しなければならない。だから中国政府は各国に駐在する中国大使館へのCCメール一本で、全世界の中国人博士の進路先も容易に掌握できるシステムになっている。

(出典:遠藤誉,トランプ、中国に知財制裁――在米中国人留学生の現状から考察,yahooニュースエキスパート,2018.3.26.,https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/ab1fdc3938dcf89777020bcc8b43342a92f24ec6)

 このネットワークがあるからこそ、中国は自国民の留学生や卒業生を把握し、手に入れた技術をお国へ役立てるようにアプローチすることができるのです。なぜこんなことをするのかというと、それは中国の経済成長のためです。国は経済の成長と共に産業構造が改革されていくのですが、一番貧しい農業国から、二次産業の工業国で急成長し、三次産業・ハイテク産業が発達させることで先進国の仲間入りを果たします。


図3.経済成長と産業構造

 米中蜜月の時代、中国は国内に製造拠点を開放し、低賃金で大量の労働力をアメリカをはじめとする外国企業に提供しました。その多くは組み立てなどの単純作業でしたが、流れ込む外資と技術移転を通じて中国は資金力と技術力を高め、経済成長を加速させます。しかしより先端的な技術を提供してくれることは稀なので、自力で研究するかアメリカなどから盗んでくる必要があったのです。それを繰り返した結果、中国は世界第二位の経済大国になり、技術力でもTikTokのような人気アプリを生み出したり、BYDのように世界に通用するEV車を輸出できるようになったのです。
 無論、中国の技術のすべてが盗んだものではありません。中国は教育への投資を重視しており、国内で開発された技術も多く存在しております。ならいいやない、大目に見てやってと思ってしまいそうですが、アメリカにはそう言えない事情があるのです。

 というのも先進国のような高度化した産業は世界市場での寡占力が肝となってくるのです。少し考えればわかりますが毎日のように消費する食品や石油と違って自動車などはそう頻繁に買い替えません。だから国内市場だけではなく、海外でのシェアを多く占めることが経済成長の肝となるのです。
 そういう意味で思い出されるのが1960年代から80年代にかけて起こった日米貿易摩擦です。あれは自動車産業をはじめとした製造業を急成長させた日本にアメリカが脅かされて起こったもので、最終的に日本側が「自主規制」やアメリカ有利の協定を結ぶ形で収束しました。ただアメ車の衰退は止まらず、製造拠点だったデトロイトを含めたアメリカ北西部はラストベルト(赤錆地帯)と呼ばれるようになってしまいました。一方、日本は半導体産業が没落しIT業界はGAFAMの影響下に置かれました。

 こうした経緯があるので、中国の高度産業でのシェア拡大はアメリカ経済への脅威になります。すでに太陽光パネルのシェアは中国が占めており、EV車に必須のリチウムイオン電池も中国製が大半を占めております。さらに造船業でも躍進が著しく、世界のコンテナ船建造の受注の69%を占めるほどになっています。

 2024年、中国は世界のコンテナ船受注の約69%を占めました。2位の韓国は23%にとどまり、日本は6%で3位となりました。世界第5位のコンテナ船海運会社、ドイツのハパック・ロイドは最近、中国の造船所に新しいコンテナ船24隻・40億ドル相当を発注したと発表し、揚子江船業グループと江蘇新時代造船がそれぞれ12隻の受注を獲得しました。

(出典:2024年中国のコンテナ船受注 世界全体の69%占める,AFP通信日本語版,2025.1.8., https://www.afpbb.com/articles/-/3557015)

 もしこのまま車や航空機、ITサービスさえメイドインチャイナで支配されてしまった場合、アメリカの製造業そのものが衰退し合衆国全体がラストベルトのようになってしまうでしょう(日本も他人事ではないのですが)。

軍拡競争敗北寸前

 技術的優位性は軍事力にも深く結びついております。先進国が有する産業に飛行機や船舶を作る重工業がありますが、これらも車以上に国内市場だけではやっていけないのは容易に想像できるでしょう。しかし、重工業にはもう一つのアプローチがあります。それは軍事産業です。軍隊はいざという時のために常に訓練を重ねており、それは機体や装備品に消耗を強います。実戦に至ってはさらに激しく損耗する上、作戦が終了するまで補填しなければなりません。
 勘のいい方はすでにお気づきと思いますが、アメリカの軍産複合体はこうした利害関係が結びついて出来上がったものです。ロッキード・マーチンやボーイングにとって米軍はすぐに商品を消耗してくれて、経済性を気にせずに次々と商品を買ってくれる太っ腹な顧客です。また日本をはじめとした同盟国や親米の国々も高い金を出して買ってくれます。

 しかし現在、アメリカの軍産複合体が中国に圧倒されているのです。

 先述の造船業の躍進に象徴されるように中国は重工業を急速に発達させており、軍事産業においても主要な輸入国から輸出国へ変わろうとしております。特に海軍力においては近年の増強は凄まじく、数の面ではすでにアメリカを上回るようになっております。


図4.Numbers of Certain Types of PLA Navy and U.S. Ships Since 20042004年から2022年に掛けての米中それぞれの艦艇保有数の推移(アメリカ議会調査局レポート「China Naval Modernization- Implications for U.S. Navy Capabilities—Background and Issues for Congress」に掲載された表(Numbers of Certain Types of PLA Navy and U.S. Ships Since 2004)を基に作成

 その背景は言うまでもなく、年々うなぎ登りになっている軍事費の上昇にあります。いつも日本メディアは我が国の防衛費が上昇するたびに「過去最高」と騒いでおりますが、中国に比べればショボいものです。


図5.令和6年版 防衛白書より「中国の公表国防予算の推移」

 中国がこんなにも軍事費増大に力を注ぐのは、日米をけん制したり兵器を近代化するだけではなく、軍事を支える重工業を発展させるためです。世界の工場として製造技術を発達させ、軍拡で軍事力を高めてさらに技術を高度化し、それによってさらに民間製造で躍進する。そのようなサイクルがかの国を海軍大国へ押し上げたのです。

 それに引きかえアメリカの方は図4の通り横ばいです。2018年、一期目のトランプ政権が2050年までに米軍艦艇を355隻に増強する構想を出しましたが、思うように計画が進んでおりません。それはアメリカの造船所が戦後から徐々に減少してしまったからです。

 造船業が国際競争力を失ったことで、1983年から2013年まで約300の造船所が米国から消えた。造船業の雇用人員は1981年の18万6700人から2018年基準で9万4000人に減少した。現在、大型商業船舶を建造できる造船所は米国に4カ所のみ。第二次世界大戦が終わる当時、11の公共海軍造船所と60以上の民間造船所を保有しており、これを通じて驚くべき海軍艦艇生産の記録を立てた昔の米国に比べると、隔世の感がある。

(出典:「世界最強」誇った米国の造船業と海軍が崩れる…韓国にはチャンス,ハンギョレ新聞日本語版,2024.11.27., https://japan.hani.co.kr/arti/international/51730.html)

 ハンギョレ新聞はアメリカの保護主義的な政策によって造船業の国際的競争力が落ちたと指摘しています。アメ車と似ていますね。現在の造船所は専ら米海軍向けの操業が中心で、必要最低限の更新と修繕のみに特化していました。だから急な艦艇増築には対応できなくなっていたのです。
 このように軍艦建造においてはアメリカは中国に敗北しかけております。数がすべてとは言いませんが、物量や生産性の高さは経戦能力を高めることにもつながるので、今後中国による活発な軍事活動は増えていくのは必至といえるでしょう。

地政学的対立

 ここまで読んでくださった人の中には「これって覇権戦争なの?」と思う方々もいらっしゃることでしょう。一部の識者はアメリカ側に問題があるような主張をして、中国の行動を正当なものと擁護する方もいます。では、ここから米中が覇権主義戦争に突入している実態を明らかにするとともに、その背景を明瞭に説明していきたいと思います。
 まず中国を擁護する専門家はこんなことをおっしゃっております。

「中国は覇権主義ではない。ただ一帯一路を守りたいだけですよ」

 実をいうとこれは最も簡潔に中国の事情を説明しているといえます。ただ、某掲示板創設者のような揚げ足取りになりますが「それって覇権主義ですよね?」
 実は一帯一路こそ中国の覇権主義の象徴であり、アメリカとの覇権戦争が勃発した根源なのです。

 それを理解するには「地政学」という概念を心得る必要があります。日本の地政学の権威、奥山真司教授は「国家戦略を考えるうえでベースとなる知の集積」と述べています。しかし、敗戦後日本においては、侵略の思想につながることを理由に永らく禁忌とされてきました。そのため今回はマッキンダー氏やスパイクマン氏のような具体的な理論には触れず、私なりにかみ砕いた理論を軸に解説していきます。

覇権を支える「道」の支配

 まずは「アメリカの時代」「アメリカの世界覇権」と言われますが、アメリカはどうやってこれを築いたのでしょうか? 米ドルを国際基軸通貨にしたから? 最強の軍事力を持っているから?

 米ドルは確かに世界の国々で通用する通貨です。しかし最初からそうだったわけではなく、それ以前は英国ポンドが世界通貨でした。第二次世界大戦後ブレトンウッズ体制によってドルを基軸とした金本位制がスタートしましたが、1971年には廃止されて不安定な変動相場制へ移行します。その後もペトロダラーなど米ドルの存在感は維持されますが、ユーロなど他の国際基軸通貨による決済が増えるなど、必ずしも絶対的とは言えない状況にあります。

 ではアメリカは強大な軍事力で覇権を握っているのでしょうか?アメリカは確かに世界最強の軍事大国です。しかし、すべての国を軍事力で平定したことはありませんし、できません。1955年から始まったベトナム戦争では北ベトナム相手に敗北していますし、2001年から始まったアフガニスタンへの軍事介入も夜逃げのような撤退で終わっております。

 にもかかわらずアメリカを最強たらしめているのは何か?それは世界をつなぐ「道」を支配しているからです。

 古くから文明発展において「道」は大きな役割を持ちます。交易で物資を運ぶのに重宝しますし、戦争においても兵士や武器を運ぶのに重要な役割を果たします。日本でも侍の時代は人や馬が通る交通の要所に関所や城が建設されました。実は現代でも日本で地上戦が勃発した場合、陸上自衛隊が陣を構えるのは城跡があった場所になるそうです。2022年3月から始まったウクライナ戦争でも「道」が重要な役割を果たしました。

 海はどうでしょう?一見すると大海原はどこを通っても良いように見えますが、地理的要因や経済的要請を考慮しなければなりません。そのため交易船が通るうえで最適な「道」が確立されており、それをシーレーンと呼んでいます。


図6.世界の航路(日本船主協会https://www.jsanet.or.jp/introduction/index.htmlより)

 特にシーレーンの中でも海峡や運河のように狭くなっている場所をチョークポイントといい、具体的には地中海と紅海を結ぶスエズ運河、紅海からアラビア海へ抜ける「アフリカの角」と呼ばれるバブ・エル・マンデブ海峡、南シナ海とインド洋を結ぶマラッカ海峡、そして太平洋と大西洋を繋ぐパナマ運河があります。これらの地点は多くの民間船舶が頻繁に通行するため、陸路でいうところの関所のように通行を制限することができます。実際に2013年7月、北朝鮮の輸送船「清川江号」がパナマ運河を通ろうとして麻薬取り締まりの臨検を受け、兵器を密輸していたとして拿捕されました。


図7.米軍基地と同盟国

 上の図7が世界に展開する主要な米軍基地(星マーク)とそれを受け入れる主な同盟国(濃い青)です。シーレーンの一例と重ねてみるとそれを見張るように配置されているのがお分かりになるかと思います。欧州ではNATO加盟国、中東ではイスラエルや主要な産油国、紅海のバブ・エル・マンデブ海峡に面したジブチ、インド洋ではイギリスが所有しているディエゴガルシア島、アジアでは日本や韓国にマラッカ海峡に面したシンガポール、そしてパナマ運河周辺の中米の国やカリブ海諸国に米軍が駐留しております。こういったチョークポイントへの軍事的プレゼンスを維持することで、アメリカは自国や同盟国の海上交通の安全を保障し、世界的影響力と覇権の座を欲しいままにしているわけです。

 一方の中国は確かに人口が多く巨大市場や経済力による影響を広げていますが、それらはグローバルな経済協力なくして成り立ちません。海外からの投資もそうですが、一番大きいのがシーレーンによる資源や製品の輸送です。特に石油需要は1990年代には生産を大きく上回るようになってしまったため、中東からの石油の輸入が中国にとって生命線となっております(日本も同じですが)。そこをアメリカに抑えられていることが中国にとってのリスクであり、覇権戦争へ至る地政学的な背景なのです。

一帯一路構想の真実

 では中国はこのアメリカ覇権にどのように挑んでいるのでしょうか?お分かりの通り、世界のシーレーンはアメリカの支配下にあります。アメリカが中国の「味方」でいる間はそれでも問題ないのですが、アメリカが中国を「脅威」とみなしてしまった場合、安寧は崩れることになります。特にマレー半島とスマトラ島に挟まれたマラッカ海峡は中東とアジアを結ぶ重要なチョークポイントです。ここが塞がれるかもしれないという懸念はマラッカ・ジレンマと呼ばれ、長年中国にとっての懸案事項でした。
 そこで打ち出されたのが、先ほど中国を擁護する専門家が触れた一帯一路構想なのです。習近平政権発足の2013年に提唱された同構想は、21世紀のシルクロードの銘が打たれており、多国間を跨ぐ航路と陸路へのインフラ整備や関係国との経済協力を目指した巨大な経済圏構築計画です。


図8.一帯一路

 図8の海上シルクロードを見ればお分かりのように世界のシーレーンの一部と競合しているのがわかります。一帯一路の真意はシーレーン上の主要国へのインフラ開発投資や経済協力を通して中国の影響力を広げ、アメリカのプレゼンスを相対的に低下させることなのです。一方、陸上のルートはロシアや中央アジアなどの内陸国との連携を強めると共に、万が一シーレーンを封鎖された時の代替にする役割もあります。

 これだけ聞くとまだ平和的なアプローチだけのように見えます。実際、中国政府自身も「平和的台頭」を標榜しております。世界秩序に挑戦しているなんてアメリカの言いがかりに過ぎないとあなたも思うことでしょう。

 しかしそれは表面的なものにすぎません。というのも一帯一路では中国企業による大規模なインフラ開発が行われた一方で、当該国がその運営権を中国に委託する事例が多発しているのです。例としてはパキスタンのグワダール港、スリランカのハンバントタ港、ミャンマーのキャウクピュ港、カンボジアのコーコン港、そしてジブチのドラレ港です。

 具体的には、グワダール港はChina Overseas Port Holdings(COPH) が港湾当局との間で40年リース契約を結んで運用しており、ハンバントータ港についても、COPHが同港湾の70%を所有するとともに港湾当局との間で99年リース契約を結んでいる。キャウクピュ港の場合は、中信資本(CITIC)が同港湾の70%を所有し、港湾当局との間で50年間のリース契約を結んでおり、コー・コン港の場合は、中国企業が出資して設置されたUDGが港湾の70%を所有し、港湾当局と99年間のリース契約を結んでいる。ジブチ港に至っては、中国との安全保障防衛条約に基づき設置されており、中国軍が所有し、中国海軍が運営している。

(出典:塚田 俊三, 一帯一路下で整備された途上国の港湾施設は「中国軍事基地」の隠れ蓑,JBpress,2022.4.12., https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/69647)

 その背景は開発にかかった費用を当該国が返済できない「債務の罠」という問題があります。反中界隈ではまるで失敗の象徴のように揶揄されていますが、中国がそれを利用して長期にわたる「租借地」を手に入れている実態をどう解釈すればいいでしょうか?国際ジャーナリストの塚田 俊三氏によると中国は湾口整備だけでなく、近くに工業団地の整備も提案しており、いざという時の「兵站」として使えるような設備を整えているそうです。

 グワダール港やハンバントータ港、コー・コン港等では、これら港湾施設が整備されると直ぐに、中国側からその後背地にport-parc-cityや工業団地を開発してはどうかとの提案がなされ、途上国が合意すると、これらの面的施設も併せ整備された。途上国にとっては、これらの開発は、地域開発としても有益であるので前向きに対応することが多いが、中国側の真の狙いは、ウォーターフロントにある軍需基地への供給拠点の建設である。

(出典:同上)

 ついでで作られる工業団地、そりゃ債務も膨らむわけです。しかし目的が中国の影響力増加と将来へ向けた軍事拠点の整備だとするならば、こんなやり方でも十分成功していると言えるでしょう。

世界に軍事展開する中国

 おっと「それってあなたの感想ですよね?」という声が聞こえてきそうですが、これは中国の安全保障の専門家によりはっきりと提唱されている戦略です。元自衛隊幹部の矢野 義昭氏はその論文を引用する形で、海外へのインフラ投資や沿岸国の湾港開発の目的と軍事拠点化へのアプローチについて明瞭に説明しております。

 海外投資は、これまでは民間企業が海上安全に対する配慮無しに無統制に行ってきたが、今後は、民間投資は努めて重要な海峡、運河、水域に重点的に投資させる。
 中国の主要な輸出先港湾をもつ国・地区への投資を優先し、重要な交易ルートの代替港湾に重点投資する。
 海外投資の重点対象となるこれらの要域については、徐々に民用から軍事用に転換させ、しだいに中国の海上安全保障のための海外重要基地にしていく。
 短期的には、新たな建設、株式の買い取りや部分購入方式で要点に対する投資を進め、国内企業の純経済的行為を装うが、中期的には、純粋な商業的形式により、その港湾の中国の艦艇に対する補給や小修理を行わせる。
 長期的には、新たに港湾を建設しその筆頭株主となり軍民共用を実現する。
 すなわち、平時には筆頭株主として正常な事業経営を行い、中国の海上安全の突発事件が紛争に至った場合は、管理している港湾を軍民がともに使用できるようにし、中国の海軍艦艇が長期に停泊し、大規模な修理や人員交替、物資の補給に使用するのを許可する。
 ※呂婿等著『我が国海上ルートの安全保障研究』経済科学出版社、2017年、231-232頁 より著者が引用

(出典:矢野 義昭,中国の「一帯一路」、表の意味と裏の意味,JBpress,2018.7.26., https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53631)

 実際に中国軍の国外駐留が実現した例は何といってもジブチ共和国でしょう。先述の通り「アフリカの角」バブ・エル・マンデブ海峡を臨む同国には海賊対策として、旧宗主国のフランスをはじめ、アメリカ、ドイツ、イタリア、スペイン、そして我が国日本も軍事基地を置いているわけですが、そこから西へ10㎞と満たない近場に中国軍基地が建設されたのです。


図9.左が中国のジブチ保障基地、右はアメリカ基地との位置関係

 その背景はジブチとエチオピアを繋ぐ鉄道インフラ整備や自由貿易エリア整備の見返りと言われています。ドラレ港の一部を内包した同基地は0.5平方キロメートル。敷地内には400メートルの専用滑走路があるほか、病院も備わっており、近くには石油備蓄施設まで備わっております。

 もう一つの例がカンボジアです。フン・セン政権指導の元、長年中国と良好な関係を続けてきた同国は多大な経済支援の見返りとして南西部のリアム海軍基地に中国艦艇の停泊を受け入れております。

カンボジア軍関係者らによると、中国艦はローテーションを組んでリアム海軍基地への停泊を一定期間続ける予定だ。中国の影響力拡大に米国は懸念を強めている。
カンボジアと中国は5月30日までの合同軍事演習で初めて海上演習を実施。昨年から寄港していた中国艦は演習参加後に中国に戻り、新たな2隻と入れ替わった。

(出典:中国艦船が新たに2隻入港 カンボジア南西部リアム海軍基地を拠点化か,産経新聞電子版,2024.6.27., https://www.sankei.com/article/20240627-MLVALFEIWJKTNFKITKF2SCLBOE/)

 リアム海軍基地はもともとアメリカの支援によって作られたものですが、中国は無償で拡張工事を請け負い、空母が係留できるほどの埠頭が築かれているといわれています。
 また上記事内でも触れていますが、中国は経済支援対象の国と合同演習を活発に行っており、長年の盟友であるロシアをはじめ、パキスタン、イラン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、そしてアジアではカンボジアの他にタイとも演習を行っております。以下はアメリカ国防総省の中国の軍事動向の年次報告からの引用です。

PRC and Russian militaries maintained consistency with their 2022 exercise program by conducting two strategic bomber patrols, the maritime exercise NORTH COOPERATION, and a combined naval patrol. The PRC and Russia also held the MARITIME SECURITY BELT trilateral naval exercise with Iran, the fourth iteration of the exercise since 2019. Other bilateral PLA exercises in 2023 included the multi-domain GOLDEN DRAGON exercise with Cambodia, the air exercise FALCON SHIELD with the United Arab Emirates in Xinjiang, and the second iteration of BLUE SWORD with Saudi Arabia.
(訳:中華人民共和国とロシアの軍は、2022年の演習プログラムに沿って、2回の戦略爆撃機パトロール、海上演習「ノース・クーパーション」、および合同海上パトロールを実施しました。また、中華人民共和国とロシアはイランとの三国間海上演習「海上安全ベルト」を開催し、2019年以来4回目の実施となりました。2023年の他の二国間人民解放軍演習には、カンボジアとの多領域演習「ゴールデン・ドラゴン」、新疆でのアラブ首長国連邦との空中演習「ファルコン・シールド」、およびサウジアラビアとの「ブルー・ソード」の第2回目が含まれました。)

(出典:U.S. Department of defence, Military and Security Developments Involving the People’s Republic of China, December, 18, 2024 ,p138,https://media.defense.gov/2024/Dec/18/2003615520/-1/-1/0/MILITARY-AND-SECURITY-DEVELOPMENTS-INVOLVING-THE-PEOPLES-REPUBLIC-OF-CHINA-2024.PDF

 下の図10は一帯一路参加国(薄ピンク)と中国と軍事協力したことのある国(薄い赤)を現状わかる範囲で地図上に可視化したものです。ジブチとカンボジアに建設された軍事施設、事実上の租借状態であるパキスタン、スリランカ、ミャンマーの港が、一帯一路を守る拠点として活用できることがわかります。また陸路が通っているロシアやイラン、産油国であるサウジアラビアとの軍事協力も積極的です。

図10.一帯一路参加国と中国と軍事協力する国

 さらにシルクロードとは外れますが、アメリカの裏庭である南米にも食指を伸ばしていることがわかります。特にキューバには中国軍を駐留させる計画があるとされ、アメリカとの緊張が高まることが予想されます。
 あと図の作成中に確認できたことですが、中国と合同演習をしている国はもれなく一帯一路の参加国でもあるということです。経済協力から安全保障協力へ、国際社会への影響力拡大に向けて巧妙にアプローチをする。それが中国の世界戦略であり、アメリカの覇権を揺るがす秘密兵器なのです。

 このように中国は平和的台頭を騙りながら、着実にかつ合法的に軍事的影響力を広げております。共産党独裁という独自性を守る以上、独自の軍事展開によってアメリカのシーレーン支配に対抗するという構図にならざるを得ないのです。このアプローチはいずれ北東アジア、つまり韓国や日本にも及ぶ可能性が高いです。

おわりに

 トランプ大統領といえば、何かと「予測不能」と呼ばれることが多いのですが、こうして大局的に分析してみれば、彼が対中強硬派を登用する理由が理解できると思います。戦後から始まる米中の歴史的な経済関係の変遷、技術戦争、軍拡競争、そして地政学的対立により米中覇権戦争はもはや後戻りのできない状態に至ってしまっています。この対立は単なる二国間の問題に留まらず、世界全体に大きな影響を及ぼすことが予想されます。

 例えば就任前後に彼が主張した数々の過激な暴言。移民の強制送還もそうですが、カナダを51番目の州にするとか、メキシコ湾をアメリカ湾にするとか、はたまたグリーンランドを購入するといった主張は、世界中で物議をかもしております。しかしそれらは中国と覇権戦争を繰り広げるアメリカの国益を念頭に置いたものです。特にグリーンランドでは温暖化による海氷の減少により、資源採掘や北極海を通る新ルートを開拓することができ、地政学的な潜在価値を有するとして大いに注目されております。


図11.新たに開拓される北極海ルート

 メルカトル図法だとわかりにくいのですが、地球儀で確認すれば日本とイギリスの交易路がインド洋・地中海ルートよりも北極海ルートの方が6割5分短縮できるのです。中国はすでにこの価値に気づいてロシアはもちろんグリーンランドへのアプローチを仕掛けております。やり方はもちろん一帯一路と同じやり方です。
 また彼はパナマ運河の運営権を取り戻すとも主張しております。それも言うまでもなく地政学的理由なのは言うまでもありません。図10を見ればわかる通り、パナマは中国の一帯一路構想にばっちり参加しております。そのきっかけは2017年6月にパナマが台湾断交を引き換えに中国と国交を結んだ時です。実はこの時中国の海運を担う国有企業、中国遠洋運輸集団が運河周辺の土地の使用権を購入して物流パークとして開発する計画を立てておりました。

 ロイター通信は3月、同集団や中国交通建設などの中国国有企業が、パナマ運河沿いの約1200ヘクタールを物流パークとして整備する計画に関心を示していると報じている。インフラ施設などの建設だけでなく、40年間の土地の使用権が入札にかけられる見通しという。

(出典:パナマと国交の中国、海運の要衝に布石 国有企業が運河沿い土地権獲得狙う 対米牽制の狙いも,産経新聞電子版,2017.6.13., https://www.sankei.com/article/20170613-XPZUIH57UZJIZMQIIOHQQ6MXP4/)

 一方で日本の識者の一部ではトランプ大統領が「親中」ではないかという憶測が広がっております。就任式に習近平国家主席を招待したり、運用禁止に追い込まれていたTikTokを助けたり、早期の訪中に意欲を示したりとバイデン前大統領と比べても歩み寄りがあるように見えます。しかし以上で述べてきた背景を念頭に置けば決して我が国の親中政権のように「とりあえず歩み寄る」ような外交戦略ではないことは確かです。そもそもトランプ氏は政府としてよりも、大統領として相手の指導者と直接対話することを好むので、一期目の時も習氏やプーチン氏といった国家主義的な思考を持った指導者と「馬が合う」ことが多いです。だから「親中」だと踏んで安倍政権以前のような中国におもねる外交をしていたら(すでにしていますが)、とんでもない竹箆返しを食らうでしょう。

 そして現時点での私の印象ですが、トランプ政権はまずは「自分の足元」から固めなおす戦略で挑んでいるようです。すなわち地理的にアメリカに近い地政学的懸案から優先して対処することが予想されます(ウクライナ戦争終結も24時間から6か月に伸びましたしね)。ただし中国の方は当然待ってはくれないので、台湾問題がらみでの緊張は高まる一方でしょう。

 そこで日本の役割へ期待が高まるのです。石破政権が発足した昨年11月にはすでにアメリカのシンクタンク、ハドソン研究所から「安倍政権に倣い防衛力強化」を提言され、トランプ政権の国防次官への起用が予定されているエルブリッジ・コルビー氏もGDP3%への防衛費増額を求めております。それは同盟国日本に対しての信頼と、アジアの民主主義大国に対しての期待の表れであるとともに、中国の脅威に対して「異常」なほどに融和的な姿勢への不満の表れと言えるでしょう。
 ジャーナリストの古森義久氏はトランプ氏が台湾を見捨てるような孤立主義ではないと指摘しながらも、台湾有事が日米同盟のリスクになると危惧しております。

(前略)台湾有事が現実となったら、米軍は介入する。日本もそれに呼応する必要があるのですが、日本実際の行動をどうするのか、なにか曖昧のままにしている。軍事的にも政策的にもまだ準備していないままで、有事になればどうなるか。期待が大きいだけに、同盟の信頼関係は一瞬にして崩壊してしまいかねない。これはまさに国家的危機です。

(出典:古森義久,トランプ新政権の日本への意味とは その5日本への期待と不満(最終回),Japan Indepth, 2025.1.10., https://japan-indepth.jp/?p=86048)

 今国家観なき石破首相と岩屋外相はひたすら中国にすり寄り、台湾問題について「アメリカの挑発に対抗する」などという空約束をしてしまっております。これを言葉通りに実行する可能性は高くはありませんが、東アジアの安全保障において主導的役割を発揮しない場合、中国による軍事圧力は高まり、台湾に政治危機を起こすことが考えられます。そうなった場合、トランプ大統領は「日本が責任を果たさなかった」と主張し、日米同盟の再考へ向かうかもしれません。
 石破氏や岩屋氏をはじめとした親中親韓派は相も変わらず安倍政権以前の日中関係や日米関係に戻れると思い込んでおりますが、そんなことは不可能です。米中は覇権戦争の最中にあり、日本はその対立において重要な立ち位置にあります。アメリカは安倍レジームの日本を期待し、中国の方は経済協力にとどまらない包括的なパートナーになることを迫ってきます。そんな中「とりあえずどっちの顔も立てときゃいいっしょ?」みたいなふざけた態度をとっていると、米中双方の信頼も国民の信頼さえも失ってしまうでしょう。

(扉絵はMicrosoft Designer [DALL E3]より作成、2025/2/1 図10を修正し差し替え)

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