Chopin Piano Sonata No.2 Movt.4
ショパンの葬送行進曲を含む有名なソナタの第4楽章。両手のユニゾンで、速いし4ページしかないし、あっという間に終わってしまい、ソナタの終楽章としてはいかがなものか、と思わざるを得ない。
Wikipediaには「両手のユニゾンが最初から終末間際まで続き、調性も明確でない」とあるが、確かに最初の部分で減七の和音の連発で眼晦ましをしているものの、ショパンは何度も変ロ短調の明確なカデンツをおいており、曲全体が変ロ短調であることははっきりしている。
4小節目から5小節目の矢印の部分がそうであるし、13小節目にも18小節目にもはっきりした変ロ短調の宣言がある。それ以外の部分はショパンの独創であろうが、あまり露骨に機能和声を感じさせることなく作ってある。青字で書いたような単純な三和音の半音平行移動なども音の高さを上手く配分することで流れを止めずに面白みを出すように工夫されている。17小節目の後半はE7と書いたが、ショパンがE7と感じていたかどうかはわからない。この6つの音符のうち、BとDとEはE7の構成音だが、肝心の導音であるG#がない。ただ、私の耳にはF#は9度音に、C#は13度音に聞こえるのでE7としてみた。
二ページ目はさしもの臨時記号の嵐もおさまり、Dと言うような遠い和音も出てくるものの、Ab7(並行長調の属和音)からDbの四六の和音(並行長調の主和音)に到達してしばらく休憩である。そのあと、またF7→Bbmというカデンツが繰り返されて、元調を強調している。
ということで、見かけによらず「調性も明確でない」というのは言い過ぎではないかと思う。
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