Schubert String Quartet No. 15 Movt.2
わが師匠イチオシのシューベルトの最後の弦楽四重奏曲である。名曲であるのは言うを俟たないが、第二楽章に妙なところがある。
上の譜面の二段目3小節目の終わりにVln1とVaで(G Bb) という音型が出てくる。ここではこの小節自体、Gmであるのでまったく普通なのだが、この(G Bb)がしつこいのである。二段目の5小節目に至っては、C# minor-G# majorの三和音のあとに(G Bb)が鳴る。無茶である。めちゃめちゃ離れている。さらに三段目の最初の小節では、Fの和音のあとに何の断りもなく同じ(G Bb)が出てくる。BbmからFという流れであるから、調性はBb minorであろう。そこでGナチュラルはやはり外れて聞こえる。
これをどう始末するのだろうと思っていると音楽はDを経てF# minorに向かって知らん顔で過ぎていく。そして、五段目の2小節目、同じ手口で(F# A)という音型がでてくる。先の音型の半音下にあたる。そして前回同様にCm G の流れのあと(F# A) 、Am Eの流れのあとで(F# A) である。なんなんですかね。トレモロもあるし、非常に緊張した場面を作り出すという効果は認めますが、やっぱり調子はずれという感はぬぐえない。
しいて言えば一種のペダルというか保続音というか、そういうものなのかとも思いますが、シューベルトも晩年になってかなり大胆なことを書いているなと思います。この後どうなるかを次に示しますが、実はどうもならないで次の楽想につながっていきます。
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