Manuel Ponce "Estrellita" Heifetz version

先日の三毛子のテルミンライブ「旅するテルミン 南アメリカ~帰国編」で取り上げた、メキシコの作曲家、ポンセ作曲の「エストレリータ(小さな星)」であります。

楽譜はimslpに上がっているので最初の部分だけ示します。

この曲は、ハイフェッツによる編曲と演奏で有名になったということで、このハイフェッツの編曲が相当なものなのですよ。

下に示したのは、曲の一部を原曲とハイフェッツ版との比較で示したものです。原曲はピアノがほとんど歌のラインをなぞっているので、大譜表で書き、ハイフェッツ版はヴァイオリン・パートとピアノの伴奏にわけて書いてあります。

実はハイフェッツ版は半音高い嬰ヘ長調なのです(ピアニストに対する嫌がらせとしか思えません(笑))が、比較しにくいし、ダブルシャープの嵐なので半音下げてしめしました。原曲版の音はこちら。ハイフェッツ版の音はこちら

ハイフェッツ版はこのしゃれた小品を言わば後期ロマン派風に解釈したのですね。煩瑣なのでいちいちコードネームをつけませんでしたが、半音階を多用して偶成和音を多数使っています。全部ピアノの音で聞くとほとんど間違っているように聞こえます。(半音下げる時に私が間違った可能性はありますが…)

赤で丸く囲んだヴァイオリンのD♭。伴奏のコードにAをもってきたので寄り添っているのですが、いやらしいですね~(笑)しかもそこへポルタメントであがるんですよ、奥さん。

実はこのあと大仕掛けが出てくるのですが、それは実演をお聞きください。

最後の部分は、ポンセは簡単にFの和音で終わっていますが、ハイフェッツはここを次のようにピアノに弾かせています。音はこちら

最初の低いFの和音に、最初の8分音符はFm7(b5) 次はDmにEbを足した和音(?)3つ目は構成音が下からC# G B F A C#となりA7(b5)と解釈できますでしょうか。最後の和音はクリアなFだと思うのですが、元の譜面は一番下がC#(元の調ではC##)になっていますが、これは#に戻すのを忘れたのだと思いますが…凝っている、というかやっぱりピアニストに対する嫌がらせではないかと(ry

ハイフェッツの演奏がYouTubeで聞けます。1939年のThey Shall Have Music(かれらに音楽を)という映画の一場面とのこと。


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