Michel Legrand "You must believe in spring"
もともとルグランが映画のために書いた曲で、サウンドトラックでは「マクサンスのうた」となっている。ジャズ好きにはビル・エヴァンスの名演の方が馴染み深いだろうと思うが、要はII-Vの繰り返しで、特にこれという工夫はない。
曲全体は(この譜面では)一応C minorということになってるが、前奏はC minor なんだが、歌は突然B minor から始まる。ワンフレーズを三度上の並行長調(D Major)で繰り返し、短くした動機でさらに三度上の短調(F# minor)、長二度下がって短調(E minor)、さらに長二度下がって長調(D Major)。これが、いわばA部分で、これを繰り返すが、二度目はF# minorのあと、短二度下がって、半音違いのF minor に行くのよねー。
そこから前回同様長二度下がるので、当然ながら半音上のEb Majorへ。そのあと並行短調のC minorで、もう一度もどってEb Major へ。その後、前半と同様に、G minor, F minor, Eb Major という二度ずつさがるのをやって、最後並行短調のC minorで終わる。
メロディーが不自然にならないように工夫はしてあるものの、全部おんなじ。サビらしいサビもない。しいて言えば、二度目にF# minorからF minorに行くところがトリックではあるのだが、これ、あえて半音にする意味あっただろうか。
そこで、原曲(オリジナルサウンドトラック)にあたってみた。もともとのは、エヴァンス版とかなり違う。変態的なのは同じなのだが、下記のようになっていた。
(A) Dm7b5 G7 Cm7 AbM7 Fm7 Bb7 EbM7 -
Am7b5 D7 Gm7b5 C7 Fm7 Bb7 EbM7 Db7
ここまでがA部分で、これを繰り返す。
(A') Dm7b5 G7 Cm7 AbM7 Fm7 Bb7 EbM7 -
Am7b5 D7 Gm7b5 C7 Fm7 Bb7 EbM7 Dm7b5
最後だけ、バスをDにおいておいて、次の部分。これも基本的には繰り返しなのだが、半音低い調で始まる。
(B) C#7b5 F#7 Bm GM7 Em7 A7 DM7 -
つぎがトリッキーなところで、半音ずつ三回下がってくるという荒技をかます。
G#m7b5 C#7 Gm7b5 C7 F#m7b5 B7 EM7 D7
で、また繰り返しなのだが今度は最初の調の半音上(直前の部分の全音上)になる。
(C)Ebm7b5 Ab7 C#m7 AM7 F#m7 B7 EM7
Bbm7b5 Eb7 Abm7b5 Db7 F#m7 B7 EM7 D7
その後、最初の調にもどり、(A)(A')と繰り返して、次は半音ずつ三回をやらない。
(B) C#7b5 F#7 Bm GM7 Em7 A7 DM7 -
G#m7b5 C#7 F#m7b5 B7
で、エンディング。
C#m7b5 F#7 Bm
ということは、あんまりもとの調にもどって終わるとかいうことは気にしてないのね。