Schőnberg String Quartet No.1 op. 7

シェーンベルクが十二音技法になる前の作品。一応ニ短調で始まるのですが、到底一筋縄ではいかない。どれが倚音でどれが掛留でどれが和声音なのかわからない。

一応、非和声音と思われる音に赤丸をつけてみましたが…

導音や七度音も解決されずに放っておかれてるみたいだし、普通の意味でのカデンツも成立していない。一応主和音(Dm)ではじまり、ドミナント(A7)を経て主和音の代わりに6度の和音(Bb)に解決しているように見えますが、いろいろな解釈が可能で、調性が多義的になっているとでも申しましょうか、緊張感を湛えた不思議な音楽です。音はこちら

始まって3分の1くらいのところで妙にロマンティックなパッセージがあるのですが、これも細かく見ていくとやっぱり一筋縄ではいきません。最初の部分の調性は間違いなくBb minorですが、だんだん後の方になるとあいまいになっていきます。しかし、この部分はバスがBbで動かないので、調性は揺るぎが比較的少ない。4分の6になってこんどは急にD Majorですが、これもEbの長3和音を伴い、ナポリっぽいですかね。

コードネームは一応振ってみましたが、無理があるので、上の段に和音の骨組みだけ示してみました。和音の当てはまらない部分はスケールを書いてみましたが、あまり意味ないですね。むしろここは小節の後半まるごとBbmへのドミナントなのかもしれません。音はこちら


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