Tchaikovsky Piano Concerto No.2 Movt. 1
あの印象的な第一番にくらべて、演奏機会の圧倒的に少ない、気の毒な曲である。CDも出ているが、第一番が数え切れないのに対し、ごくわずかである。
作曲の経緯などはWikipedia に詳しいので省略するとして、第一楽章の最初のテーマだが、私は長年勘違いしていた。お恥ずかしい限りだが、小節頭からの開始だと思っていた。正しくは4分の4拍子、一拍分のアウフタクトから始まる。
堂々たるものだが、むしろ第3楽章の頭の方が似合うような気もする。スコアを見ているとやっぱりなにか「薄い」感じは否めない。オーケストラ主役でピアノがアルペジオを奏でるところも第一番の重厚さにくらべると、ピアノパートが「ぱらっ」としていて、薄い気がする。
第二楽章冒頭はヴァイオリンとチェロが長いソロを演奏するので、まるでヴァイオリンとチェロのダブルコンチェルトみたいである。チャイコフスキーとしては意欲的な試みだったのではなかろうか。後半はピアノ・トリオになる部分もあるが、やや退屈だ。アレクサンダー・ジロチはこの部分をかなりカットした改訂版を作ったらしいが、これを切ってしまったら違う曲になってしまう。多少退屈でもこの長さが必要だっただろう。
終楽章も華やかだし、いい曲だと思う。(少なくともメンデルスゾーンのつまらないピアノコンチェルトよりはるかにいい)最初のテーマが「ソラシドソ」となるのが、ちょっとベートーベンの弦楽四重奏曲第7番(ラズモフスキー)の冒頭を想起させる。
graziosoで出てくる第二テーマもスラブ風で楽しいんだけどな。コーダに入るところがちょっと唐突だけど、終わり方も見事だし。
おそらく、あの印象的な第一番がなければ、チャイコフスキーのピアノ協奏曲としてこの曲ももっと出番があったのではないかなぁ。