Mandelbrot Qartet (1996)

1996年に発表したマンデルブロ四重奏曲を、そろそろほとぼりも冷めたと思うので再掲します。今聴きなおしても、割といいんじゃないかと思っています。

楽譜はこちらにあります。

【 演奏時間 】2分48秒

FMIDICLA MES 5 No. 407 に、マンデルブロ集合で音楽が出来ないものかと書込んだところ、窪田 洋さん・神野遊夢さんという強力なお二人がまんまと引っ掛かってってくださり、ついにマンデルブロ音楽を聴くことができるようになりましたのはまことに痛快至極ともうせましょう.

マンデルブロ集合から音楽を作り出すやり方はいろいろ考えられると思いますが、ここでは窪田 洋さん作のCAL(Cakewalk付属のマクロ言語)プログラムを使って下記のような考え方でマンデルブロ集合を音に変換しています.

マンデルブロ集合は平面上で原点を取り囲み「左にこぶのついたとげとげの丸」といった形をしていますが、この曲では弦楽四重奏が集合のへりを平行線を描きながら切り取っていきます.各楽器のスタート地点は下記のように適当に決めました.0.7480というのはたまたまこの辺が変化が多いというだけで他にも面白い場所は文字どおり無限にあるはずです.

Violin I x = 0.7480 y = -0.1648

Violin II x = 0.7482 y = -0.1648

Viola x = 0.7484 y = -0.1648

Violoncello x = 0.7486 y = -0.1648

で、ここから Y軸方向・上に向かって(すなわちマンデルブロ集合本体に向かって 0.0001 を16分音符ひとつに割り当てながら各楽器は平行に 848 step すすみ(y=0.8まで)、4分の4拍子で53小節分を演奏します.

マンデルブロの繰返し計算は200回を限度として何回目に「飛び出た」かを各楽器の音域にあてはめて音を決めています.各楽器の音域は:

Violin I C5 から3オクターブ

Violin II G4 から3オクターブ

Viola C4 から3オクターブ

Violoncello C3 から3オクターブ

と、これは恣意的に決めました.したがって四つの楽器がこの音程関係でなっているときはマンデルブロの飛び出し回数が一致している事を示します.(下からオクターブ、5度、4度、という完全協和が多いのはマンデルブロのせいではなく、私が勝手に選んだ音域の設定のためです.これをもっとウェーベルンにきめることも可能です)

音の強さは窪田さんのプログラムとは異なるロジックで決めています.

マンデルブロの飛びだし回数に基づいていますが単に mod を取っただけなのでランダムといっても構わないようにおもいます.全部同じ強さだとあまりに面白くないので味付け程度、またmodulationもまったく恣意的に味付けとしてつけています.

この曲ではマンデルブロからとにかく音が出たということで、マンデルブロ集合の性質がストレートに出るようにしてあまり手を加えませんでした.

マンデルブロ空間は広大ですのでこの曲などはそれにほんのちょこっとさわったに過ぎませんので、窪田・神野おふた方のプログラムを使っていろいろ探索して見ていただくのも一興かとおもいます.

最後になりましたがお付き合いいただいた窪田さん・神野さんにお礼申し上げます.

1996.11.23.

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