口が開いちゃう問題
昔よく親から「口があいてるよ」と注意された。
無言で口を強制的に閉じられる時もあれば口頭注意もあった。
割と根気よく注意されたけれど、残念ながら今でもうっかりあいている時がある。
夢中になっている時によくありがちだ。
面白いドラマや映画を見ている時、本を読んでいる時に多い。
自覚はないので指摘されてようやく気付く。
全開な訳ではないのだが、少しあいている。
本当にまぬけな顔だと自分でも思う。
ここ数年、マスクで隠れていたせいで余計に加速した気がする。
家の中でも外にいてもふと気づくとあいている。
誰も気付いていないけれどこっそり恥ずかしい。
しれっと口を閉じてなかったことにする。
そういうことがしょっちゅうある。
夏の間、あまりの暑さに屋外でマスクを外していたことがある。
私は空を見るのが好きで、歩きながらぼけーっと空を見ることが多い。
お察しの通り大分間抜けな姿である。
その間抜けな私の口めがけて虫が入ってきたことがある。
いくらぼーっとしていても、口に虫がダイブしてきたら分かる。
慌てて口を閉じるものの、そうしたら虫は出ていけない。
真っ先に確認したのは目撃者の有無。
何も悪いことはしていないが、虫が口に入って慌てている姿は、どこの誰にも見られたくない。
虫が口に入った驚きよりも、虫が嫌いだという性質よりも、恥じらいが勝った。
興味深い結果ではあるけれど、だからなんだという感想しか出てこない。
世界で最も無益な経験値である。
幸い誰にも見られておらず、未知なる世界へ飛び込んだ勇敢な虫さんには即座にお引き取りいただき事なきを得た。
何の被害もなかったけれど、私の心と虫さんの心が傷付いた。
もう二度とあんな悲劇は繰り返したくない。
私の口さえ開いていなければ起こらなかった事件である。
分かってはいる。
でも間抜けな私はすぐにぼーっとしてしまい、そして口が開いてしまうのだ。
流石に虫事件以来、羽音が聞こえたり花の傍を通ったりするときは口を閉じるようになった。
でもそういう問題じゃないことは、私が一番よく分かっている。
生き物としてまずいのでそろそろこの悪い癖を全力で直したい。
顔の筋肉が足りないのだろうか。
みんな当たり前に出来ていて羨ましい。
今後の課題である。
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