恥かしかった思い出って、ふと蘇ることがあるよね

全然関係ないときに、ふと昔の思い出が頭をよぎることがある。

しかもその思い出って、大体一生封印しておきたいことだったりする。

私がよく思い出すのは、昔々、多分三歳くらいの思い出。
前後の思い出は曖昧なんだけど、多分そのとき、私は祖父母に「秘密のアッコちゃん」の変身コンパクトを買ってもらったばっかりだった。
変身コンパクトを買ってもらったからには、変身したかった。
「テクマクマヤコン」したくて、ずっとそわそわしていた。

だけど、私は祖父母にとって初孫で、それはそれは可愛がられていたため、一人になるタイミングがなかった。
私の定位置は祖父の膝の上で、そんな場所で「テクマクマヤコン」出来るわけない。

どの魔法少女もこっそり変身するのだという常識は、三歳の私もきちんと知っていた。
だから居間で、みんなが見ている前で変身するわけにはいかなかった。
ずっとコンパクトパカパカして、変身するタイミングをうかがっていた。

どういうきっかけだったかは覚えていないが、そのときが来たと判断した私は、祖父の膝の上から立ち上がり、居間から出て、きちんと障子を閉めて、仏壇の前でこっそり「テクマクマヤコン」した。
何に変身したかは全然覚えていない。
覚えているのは、せっかく小声で「テクマクマヤコン」したにも関わらず、障子の隙間からみんなが見ていたこと。
父も母も、父の兄弟も祖父母も、みんな見ていた。
すっごい笑顔で。

その、恥かしかった瞬間を思い出すのである。

こう、きゅーっとなるよね。
そわそわというか、こそばゆいというか、顔を覆って隠れたい。
穴があったら入りたいって本当にぴったりな言葉だと思う。
「誰も私のことを見ないで!」って感じ。

毎度毎度この瞬間を思い出すの、本当にやめて欲しい。
だって私、アッコちゃんのエピソードもなにも全然覚えてないんだよ?
好きだから買ってもらったはずなのに。

多分これはあまりの恥ずかしさに記憶を抹消したんだと思うね。
幼心に傷を負った私が、なんの罪もないアッコちゃんを封印したんだと思う。
実際、これを書くにあたってアッコちゃん検索したけど、見ただけで心臓きゅってなったもんね。
ごめんなさいアッコちゃん。
あなたに罪はないのだけれど。

今思うと、仏壇の前だからご先祖様も見てたかもしれないよ。
余計に恥ずかしいよ。
遺影の前で「テクマクマヤコン」なんて、どの魔法少女に聞いてもひかれるよ。
「え? いや、そこで変身はしないでしょ」の苦笑いだよきっと。
ああああああああ。
恥かしい。

毎回思い出しては身もだえしているから、いっそネタにしようとここに書いてみた。
きちんと記憶と向かい合う作業をしてみたけれど、結局恥ずかしい。
「くううううう」って心境で一部始終を書きました。
いっそ笑ってやって欲しい。

ということで今日は私の過去の恥をお届けしてみた次第です。
最後まで読んでいただいてありがとうございます。
次回以降もお付き合いいただけると嬉しいです。
それではー。


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