[fgo考察] ビースト予想後編


前編にて、私は『ビースト=煩悩』と考察した。後編ではこの考察と既存の考察や開示情報とを掛け合わせて、存在するかも定かではないビーストⅤ/Lの正体を予想する。


ビースト、クリフォト対応説

まずは、界隈で有名なこの説から。
クリフォト、ユダヤの神秘主義カバラにおける思想の一つ。これがビーストのナンバリングと対応しているとする説であり、私はこの説を支持している。
クリフォトは10個の球体からなり、その一つ一つに悪魔と悪徳が対応している。この悪徳と言うのがビーストと相関していると考えられる。ただし、本来の割り振られた番号通りではなく、上から(クリフォト的には地表から虚無に向かって)1段目、2段目……という順に当てはめるのがポイントである。即ち、
ビーストⅠ 物質主義
ビーストⅡ 不安定
ビーストⅢ 色欲/貪欲
ビーストⅣ 醜悪
ビーストⅤ 無感動/残酷
ビーストⅥ 愚鈍/拒絶
ビーストⅦ 無神論
となる。

例えばビーストⅣ。終局特異点にてマシュへ運命力の譲渡を行うシーンでは、彼は人間社会にいればたいてい『醜悪』な姿に変わってしまうという。
また、今回予想するビーストⅤに関しては、オリュンポス第8節にて自身のあり方を『残虐』であるとタユンスカポンは語っており、彼女がRであると考えるのが妥当だろう。すると、残りのLは必然的に『無感動』である。

スキル

スキルとは、Fate作品を読み解く上で重要なファクターである。サーヴァントと同じく、ビーストもまた霊基を持って顕現する。である以上、『クラススキル』という共通項が浮かび上がる。

が、正直ビースト予想に限っては重要視する必要のない項目だとも考える。
そもそも『クラススキル』で見えて来るのはそのクラスにおける共通項、コンセプトに過ぎない。剣士ならば剣を扱い馬を駆け魔を祓う。魔術師なら工房に籠り怪しげな薬や道具を扱うといった具合だ。
それで言えばビーストのコンセプトなど『癌のようなもの』だろう。好き勝手に増えるわ拡がるわ栄養を奪うわ、正に星に巣食う癌のようなものである。

しかし、共通するスキルという点ではビーストにはもう一点気になるものがある。そう、固有スキルだ。
ビースト達はみな、『ネガ・○○』といったスキルを有する。ネガ、ネガティブ。否定的であるとか、フィルムで言えば色や明暗が反転したものを言う。代替を意味するオルタナティブではない、“反転”である。
反転した結果がビースト、煩悩である。では、何が反転しているのか。

人類悪で人類愛

人類を滅ぼす様々な災害にして、人理を守ろうとする願いそのもの。
そこに反転して煩悩となるもの、とくれば、それは『欲』である。

ところで、欲には段階があるとした学説をご存知だろうか。「マズローの欲求段階説」という。
広く一般的なのは5段階のもので、生理的欲求、安全欲求、社会的欲求、承認欲求、自己実現欲求と書かれたピラミッド型の階層図を見たことのある方もいるだろう。実はこの自己実現欲求の前に認知欲求と審美的欲求を足した7段階とする説がある。そう、この欲求7段階説、現在判明しているビースト達にピタリと当てはまるのだ。

試しにビーストⅡに当て嵌めてみよう。彼女は2番目の欲求、安全欲求が変じて回帰の理を持つ獣となった。マテリアルを確認してほしい、彼女の行動は『現人類を駆除しないと自分が殺される』という身を守るためのものであった事が確認できる。
さらにビーストⅢ。彼女らは社会的欲求が変じて愛欲の獣へと成り果てた。社会的欲求とは愛と所属の欲求とも呼ばれ、他者との関係や受け入れられたいという欲求を指す。その欲求が反転した結果、愛されたい/愛したいとする執着へと変じたのだ。

さて、いよいよビーストⅤである。
クリフォト対応説とも組み合わせてまとめてみよう。即ちビーストⅤとは、『認知欲求がネガって無感動/残酷となった愛玩の理を持つ獣』である。
Rと目されるコミンスキャー。彼女はなぜ残酷なのか、それは知りたいからではないだろうか。実験体として利用される者をモルモットと比喩する事があるだろう、彼女にとっての愛玩の本質とはここにあるのではないか。

※8月8日追記
先日実装された『光のコヤンスカヤ』マテリアルにて、彼女は“分からせたい”側である事が判明。そしてビーストⅣ候補とのこと。……まじで?


そしてビーストⅤ/L。この条件に当てはまる人物を、私たちは知っているはずだ。

ビーストⅤ/L

「汝に資格あり。望みを口にせよ。願うものを与えよう」枕元に現れた神より告げられ、ただ知恵のみを求めたひとりの王がいた。
ソロモン。古代イスラエルを最も栄えさせた偉大な王。マテリアルに堂々と『無感動』であると書かれた男。
彼こそがビーストⅤ/Lの正体であると予想した。

勿体ぶって書いてみたが、すでにその生まれ変わりの姿で単独顕現かましてくれているので、ビーストであることに異論はないとは思うが、そもそもなぜ終局特異点で消滅した彼が存在しているのか?そこを考察してこの予想を終わろうと思う。

ロマニ・アーキマンはただの人間である。
生まれ変わる前が古代イスラエルの王であること以外、魔術回路も無くなり、まして全知全能と言っていい千里眼すらも人間になった瞬間失ったと語っている。
では、その人間が、どうやってあの場へ向かえたのか。聖杯への願いを捨て去ったから?それでもう一度サーヴァントに成れるというのだろうか。

あの時、ただの人間がかの特異点へ侵入する方法、それはレイシフトをおいて他にない。
そもそも終局特異点に現れたロマニ・アーキマンを、人間ではなく霊基を持った存在だとゲーティアが看破している。

カルデアで行われるレイシフトはコフィン内の人間を霊子化し、異なる時間や位相に送り込む技術である。転写されるのは霊子化されたデータであり、肉体はコフィン内で分解されているらしい。では、レイシフト先で魂が消滅すれば、肉体はどうなるのだろうか。コフィンされ無事ならば、肉体は生きているか死んでいるか分からないままなのではないか。
そうして残された肉体こそが『カルデアの者』であると考えた。ソロモンの霊基と遺体、ロマニ・アーキマンの魂、ついでにゲーティアは終局特異点にて消滅している。しかし、ロマニ・アーキマンの肉体は残っている。アトランティスで邂逅を果たした時、マンドリカルドは彼がサーヴァントかそうでないのか判断がつかない様子だった。加えて、彼の腕の傷である。仮初の肉体の霊基に、あんな傷が生まれるのだろうか。

さらに『カルデアの者』の目だ。
肉体こそロマニ・アーキマンのものだが、瞳の色はソロモンのものであった。であるならば、それは千里眼ではないだろうか。
事実、宮本武蔵に対して千里眼で未来を見たかのような台詞もある。しかし、千里眼といえど魔眼、それは肉体に備わった独立した魔術回路のようなものである。もちろんロマニ・アーキマンには持ち得ず、ゲーティアですら遺体に巣食っていたから持ち得たものである。他に持ち得る可能性があるとすれば、英霊としてのソロモンぐらいのものである。

そう、『カルデアの者』とは、ロマニ・アーキマンの肉体に、ソロモンという英霊を降ろしたデミ・サーヴァントだったのだ!

……どんどん陰謀論じみて来た、ついでにもう一つだけ妄想しておこう。
終局特異点にてロマニ・アーキマンは、ソロモンがオルタ化してもさして変化がないだろうと語っていた。何も望まず、無であったからだ、と。
オルタナティブとは別側面、もう一つの可能性のようなもの。可能性とは“ありうる、出来うる”とする在り方だ。ならば自我の無かったソロモンには可能性も無かった、ということだろう。
だが待ってほしい。一度だけ、彼が生前自らの意思で選択した逸話があるではないか。

即ちビーストⅤ/Lソロモンとは。
指輪を天に還さなかったifのソロモン王である。

最後に

ここまで読んでくださった貴方に感謝を。
綺羅星の如き先人に習って考察などと謳ってみたが、ご覧の通りの有り様である。

せめて誰かの暇つぶし程度になる事を祈って。

いいなと思ったら応援しよう!