けんけつちゃん

血を抜きたいと言いながらnoteを書いていたら感動の結末が待っていた

「血を抜きたい」

日々の生活の中でふとこのように思うことも多いだろう。しかし、いくら血抜きへの欲求が強くても、私達が合法的に血を抜く手段は限られている。

まずは外傷を負うこと。嫌だよ。痛そうじゃん。それに外傷は、「自分自身で出血量をコントロールできない」という致命的な欠点がある。たとえ血抜きへの欲望が高まって自らを外傷を負う状況に置いたとして、その傷により出血多量で死んでしまっては意味がない。死んでしまったらもう血を抜くことができなくなってしまうのだ。

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バカな話しか続かないのでたまにかわいい写真でお茶を濁す。これは鹿。

人は短時間に血液が20%失われると出血性ショックに、30%無くなると生命の危険に陥ると言われている。人の総血液量は体重の約8%、体重50キロの人だとまあ大体4リットルだ。その30%は1.2リットル、私達に許されている猶予は意外とそんなものなのだ。身体は血液を作り出す最強の造血機関だ。造血に関する研究は日々進歩しているが、未だに人体を越える効率で造血を行える手段は無いのではないか。(あったら教えてくれ。)そんな身体を失えば、もう血液を抜くことはできなくなるのだ。そのリスク、考えただけでも恐ろしい。

それでは死なないように軽度の怪我を負えば良いという方もいるかもしれない。しかし、落ち着いて考えて欲しい、そんな少量の血を抜いたくらいで、あなたは満足できますか?蚊に刺されて喜ぶ人間などいないだろう。蚊の抜く血があまりに少量で私達は血抜きによる快楽を得られないのだ。どうせなら、クラっとくるくらいの血を抜いちゃいたいだろう?

そんなことない、血を抜くなんてまっぴらごめんだよと怒りに満ちた目でこっちを見ているそちらのあなた。冷静に。頭に血が上っているようですね。そんなあなたにオススメなのが、「献血」です。


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献血ちゃんの好きな言葉は「ちょっとチクッとしますよ。」

献血、そうそれは私たちに許された合法で、かつ安全な血を抜く手段だ。献血は献血ルームで行われている。献血ルームには医師も常駐しており、万が一の時も安心。飲み物が飲み放題だったりアイスがもらえたり漫画が読み放題だったりとあの手この手で私たちをもてなしてくれる。吉祥寺の献血ルームで『めぞん一刻』を読んだ時の心の高まりは忘れることができない。そんな出会いが、献血ルームにはある。

献血ルームはたくさんの福利厚生を与えてくれる。しかし勿論皆の関心はそんなところにはないだろう。あくまでもお菓子や漫画は副次的なものであり、最大の目標はただ一つ、「血を抜く」、これである。献血ルームでは、各々の欲求に応じた血の抜き方のメニューを用意している。初心者も、玄人も、皆が楽しむことができるのだ。

まずは「全血献血」、200mlと400mlの2種類が用意されている。「全血献血」とは血をそのまますべて抜き取る献血。まさしく血を抜きたいという欲望をまるごとかなえてくれる素晴らしいメニューだ。日本赤十字社では輸血を受ける患者の負担を考慮しなるべく200mlよりも400mlの全血献血への協力を呼び掛けているが、そんなもの聞くまでもなく血を抜きたいという欲望の前には400mlしか見えないだろう。1200ml抜くと死ぬという血液を400mlも抜いている。これはヤバい。これこそ「血を抜く」ことそのものだ。もちろん200ml献血を否定するわけではない。そこから一歩足を踏み入れてごらん。楽しい世界が待っている。

しかし全血献血には欠点がある。男女によって規定は違うものの、全血献血は年間800~1200mlまでしか血を抜いてはならないというルールがあるのだ。あなたが献血ルームで400ml献血をしたのならば、献血終了の満足感に浸る至福の一時に「次回は4か月後にお願いします。」という絶望的な一言を聞かなければならない。4か月、あまりにも長い。全血献血をするものはこの献血ルームとの遠距離恋愛に打ち勝たねばならないのだ。

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はこジ郎。この笑顔にはかなわない。

そんなに待てない!と思った全国20億人の血抜きファンの皆様、献血ルームはそのようなあなたの為に「成分献血」を用意している。成分献血には「血小板成分献血」と「血漿成分献血」があり、それぞれ血液の中から血小板や血漿の成分のみを抽出する献血なのだ。そんなことができるのか?それを可能にするのが科学の力。成分献血ではまず血を抜く。そして抜いた血を遠心分離機的な専用の装置で成分ごとに分ける!そして必要な成分を抜き取り、その他の血については体内に戻す!!血を抜きながらも同時に血を戻すことで、成分献血は何と2週間のインターバルで次回の献血が可能なのだ。真の血抜キストは「一度抜いた血液を体内に戻す成分献血は本当に血を抜いたと言えるのか」と哲学的な思考に陥ったことがあるだろう。それでも私は成分献血は血を抜いていると胸を張って言いたい。理由は一つ。400ml献血も成分献血もどっちも終了後ちょっぴりクラっとくるからだ。あれ、いいよね。なお献血バスでは成分献血が行えない場合が多いので注意するべし。

以上が我々に残された血抜き、献血のメニューだ。売血なんてやめてくれよ。法律で禁止されてるし、悪い友達が増えちゃうぜ。注射ってのは針の使い回しによる感染症のリスクもあるから、献血ルームに任せるのが一番安全なのだ。

そう、献血ルームは安全のためにきちんとした基準を設けている。麻薬や覚せい剤使用後6か月は献血しちゃダメ。また不特定の異性または新たな異性との性的接触があってから6か月以内も献血しちゃダメ。なんだか応援したくなるぞ日本赤十字。しかしかくいう私も現在献血を封じられているのだ。このノートは血を抜きたくても抜けなくて鬱々と沈んでいく心によって生まれてしまった。なんでか献血できないかって、ふふふ。たしか海外渡航から6か月以内の人もダメだったはず。ちなみに写真は今年の2月にマレーシアで撮った猫。

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、と。やっと書き終えた。オチもこんな感じでいいだろう。一応確認はしとくか。えっと、献血をご遠慮いただく場合…、なるほど、

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ん、んんん???

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あーーー、ね、うん、あれだわ…。明日血抜いてこよ。


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