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橋、波、森、道、市場

2023年5月26日、橋本絵莉子波多野裕文が森、道、市場にまさかの降臨。
後世伝説として語られるであろう40分間を目撃した人間による大讃美文です。

リハーサル

前組Lucky Kilimanjaroのお客さんがはけてすぐ、ステージ前で待機。

チャットや橋本絵莉子バンドでいつもお見かけするスタッフさん方が、本日は「yabai o jisan」Tシャツをご着用されている。
ステージに鍵盤とドラムセットが置かれていく。
6年越しの初ライブ、あの作り込まれたアルバム音源をどんなふうに演奏するんだろうとわくわくなセッティング時間。

チャットモンチーファンにはお馴染みのヨッシーさん(スタッフさん)が、ドラムセットを確認しながら「もしかしたら練習したいかもね〜」的なことをおっしゃっているのが聞こえた。これはもしや。

と思っていたらえっちゃんがステージにご登場!!!👏
だいぶ前の時間から待機している強火ガチファンたちの視線を浴びて、だいぶ照れていらっしゃいました笑(当然)
照れながらも笑顔で手を振ってくれたり優しい…
ドラムでフレーズを叩きながらスタッフさんといろいろ確認される姿、とても貴重な光景でした。

途中からサラッと波多野さんもご登場。このふたりが揃っている時間と空間はんぱない…まだリハーサルだというのに豪華すぎて酔う。

波多野さんもギターを確認したり、おふたりでマイクの確認したり、もうこれだけでお金払いたい気持ちになるリハーサルが終了し、そのころにはすでに大勢集まっていたオーディエンスに手を振ってはけていかれました。いよいよ!!!

本編

このセットリストは本当にちょっとやばくて、何がやばいかというとまず1曲目がやばい。

脳内のセトリ予想屋は「1曲目は作り方か飛翔かトークトーク」って言ってたんですけどハズしましたね。
1曲目なんと、
「君サイドから」!!!!
大穴すぎる!!!
一番やる可能性低いと思っていた、そして一番聴きたかった曲!!!!

そうだった橋本絵莉子さんというおひとは、こういう容赦ない一撃を繰り出してくるひとなのだった…

チャットモンチーとして自分で作曲して歌うには「自分に近すぎる」という歌詞を波多野さんに渡し制作していったアルバム『橋本絵莉子波多野裕文』を象徴するようなこの曲から歌い始めるのは、ある意味必然とも言える。(このあたりは、公式のインタビューがあるので是非ご本人の言葉で…!)

こういう、あとになって考えるとわかる真理みたいなものを、スパーン!と見いだしてやってのけてしまうのが、えっちゃんの凄みだよな、と、いちファンとして思うのです。

アルバム音源とは違う、波多野さんのアコースティックギターの伴奏に、じっくりとなぞるように歌うえっちゃんの声。1曲目からもう感情が宇宙の彼方に飛んでいく…

「君サイドから」の波多野さんによるアコギアウトロから流れ着くようにして、えっちゃんの鍵盤が入り、2曲目「作り方」。(この繋ぎ方もの凄く良い!!!)
これもまた、橋本絵莉子波多野裕文の象徴的な曲。ゆったりとした時間にマッチしすぎてくらくらしてしまう…

3曲目「トークトーク」は、6年前アルバムリリース時のアウトストアライブを思い出した。あのときも、波多野さんのアコギの横でえっちゃんが歌うスタイルだったなと思いながら、6年の時を経てそれが再び目の前に現れた奇跡。

「ノウハウ」アルバム音源で印象的なピアノ伴奏が、アコギで奏でられるのが新鮮。えっちゃんの声の魅力がめちゃくちゃ詰まっている曲。夕暮れの海に伸びていく歌声が最高すぎる。

アコギ伴奏とボーカル、というこのスタイル、波多野さんによる繊細なメロディとえっちゃんの唯一無二な歌声をじっくりと味わうことができるシンプルかつベストなライブ演奏形態で、ほんとうに、このおふたりというのは、全知全能の神なのか。

えっちゃんがドラムセットに移動。
波多野さんもエレキにもちかえ。

はい来ましたみんな大好き「飛翔」〜!ザリガニ釣りにいきたい!!!!

えっちゃんソロの弾き語りなどでも何度か演奏されてきたけれど、ついにこの名曲を橋本絵莉子波多野裕文で聴けた!!!
「飛翔〜♪」で絡み合っていくおふたりのハモり、まさに天に向かって昇っていきそうな高揚感。
2番は波多野さん歌唱。当たり前ながらもさすが作曲者ご本人!って感じで、めちゃくちゃメロディと声がマッチしている。

「幸男」も最高。言わずもがな波多野さんいい声。とても朗らかな表情で歌われていて幸せな気持ちになった。えっちゃんのドラムもまっすぐな響きをしていて心に刺さる。

と、ここまで濃縮された最高の過剰摂取で若干意識が朦朧としているなか、波多野さんがマスキングテープを高く掲げ、テープを長めに伸ばし、指で切る。そしてその切ったテープを、縦にビーッと2つに割いていく。
のんびりと行われるこの一部始終を黙って見つめるえっちゃん&オーディエンス。なんかほんとに夢の中みたいな時間だった笑

テープを鍵盤に貼り付けて椅子に固定。テープが貼られたところの一音が鳴りつづける。マジシャンのような波多野さんの一連の動きに、静かに「おお…」となる会場。(特に不思議なことはしていない)

船の汽笛のような一音が鳴り響くなか、始まったのは「アメリカンヴィンテージ」!
この森道ライブが発表されてからずっと、この場所でこれが聴けるのを夢見てきた!!

夕暮れの浜辺にぴったりの導入から、最後のスパークまで、魔法にかけられたような時間。波多野さんによる手動ブリキノイズすごかった!
盛り上がっていくサビでの波多野さんボーカル「不思議じゃないよ」「君が言えばね」のところを、恐らく声を張るためにオクターブ上げて歌っていたのもエモーショナルでとてもよかった。

ラスト「臨時ダイヤ」でハッピーに大団円。最高としか言えない!!!体内の全細胞がスタンディングオベーションしてた。

最後のMCでは、「6年前にアルバムを出して気づいたらいま、目の前に海が広がっている」「なんでこうなったのかわからない」「つぎはまた6年後かもね、えっちゃんは何歳まで生きますか?」「40代のうちにもう一回できるね」と、飄々と語っておられる気まぐれな神様みたいなおふたりがいました。

これだけの最高を見せつけておきながらゆるっとしたテンションで去っていくおふたりが憎い(大好き)


ライブ開始時はまだ薄明るかった蒲郡の海も、終わる頃にはすっかり暗くなっていました。
雲が多めのお天気だったからか、いわゆる夕焼け的な暮れ方ではなく、紺色の絵の具がだんだん濃くなっていくような夕暮れで、これまた橋本絵莉子波多野裕文の音楽にぴったりな完璧すぎるサンセットビーチ。

橋本絵莉子波多野裕文というデュオの奇跡が詰まりまくった40分、本当に伝説と呼ぶにふさわしいひとときでした。
アルバム曲で唯一披露されなかった「流行語大賞」もいつかおふたりの生演奏で聴きたい…
その日までなんとしても元気に生き続けようと決意するとても健康的な夜となりました。

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