『アバター2』初見レビュー
※こちらは筆者個人の主観・感想に基づいた、個人的な備忘録です。閲覧の際はじゅうぶんご注意ください。
※ネタバレあり。これから見る人は要注意。
筆者情報
筆者:学生/22歳/︎︎ ♀。普段映画は見ない。事前情報は友人の感想のみ。
見た日時:12/22(木)
見た場所:丸の内ピカデリー(ドルビーシネマ)
吹き替えor字幕版: 字幕版
見に行くことになった経緯 : 「この作品について語れる相手が欲しい」という友人の要望で
感想
個人的にはあまり好みではなかった。確かに素晴らしい点は多々あったが不快な描写も多く、監督のエゴがなかなかのクソ映画ぶりを露呈していた。
ストーリーのお粗末さや伏線の回収忘れも目立ち、とても気持ちよく見られる代物ではなかった。
(制作・声優陣、関係者、それからファンの方にはとても申し訳ないが)
私は人の金で見たのでまだ許せるが、それでも正直なところ、時間の無駄でしかなかった。
内容はあまりに薄く説教くさく、ただでさえ長い上映時間が余計に長く感じた。素晴らしい点もたくさんあるのにもったいない。
注目ポイント・感動した点
第一に映像。思わず声を上げそうになったくらい綺麗。透明感よ。
とてもクリア。水や生き物の質感まで伝わってきそうなほど。海の中のシーンは最高。海洋生物の造形もいい。そこはとても感動した。惚れ惚れとさえした。ファンタスティックビーストの哺乳類的なかわいさもポイント高い。
見ている最中、いますぐにダイビング、無理なら沖縄の海に薄着で飛び込みたくなった。
勧めてくれた友人が言ってた通り、圧倒的枚数の多さ。絵が小気味よくぬるぬる動く。映画は通常1秒間24枚だが、この映画はシーンによっては48枚だとか。
アクションシーンので迫力にも感嘆した。まるでゲームのグラフィック。途中、私は今ゲーム画面を見ているのか?と錯覚したほど。海のシーンと並んでそこだけは見ていられた。とてもスリリング!!
ナヴィが人間を撃ち殺していく様は爽快ささえ感じるほど。 また、メカの造形にも興味をそそられた。
3D、ドルビーシネマ版ならではの視聴覚の迫力にもとにかく震えた。間違いなく目と耳は喜んでいた。
そして、キリとツィレヤのキャラ立ち。かわいさ。
キリがとても良く印象に残った。キャラとしての立ち位置も絶妙。兄弟のトゥクも笑顔が可愛い。
演じているのが70代女性とは信じられない。まだ成長の過渡期の声にしか聞こえなかったし、怒り方や周囲へ態度が完璧に未熟なティーンのそれである。鬼才すぎる。
ツィレヤは見てるうちに好きになれた。とにかく顔立ちが人間寄りでかわいらしい。
個人的にはネテヤムに感情移入して見ていた。出来の良い兄ロアクと比較され、彼の為に振り回されて死ぬというあまりの不遇さ。グッときた。
キャラクターの表情は声優の表情に寄せていると聞き、そこにも着目して見ていた。(途中から自分で顔芸で再現していた)
ストーリーは…気に食わない点も多々あったが…国や家族、文化等を侵略者から守ろうと一丸となって戦うその姿、絆は非常に美しかった。
また、主人公のジェイク・ネイティリ夫婦が「古い価値観に固執する人」として描写され、難民問題などもうまく組み込まれていて、監督は思ったより社会派なんだなという印象を受けた。
理解できなかった点
それ以外。冗談抜きでいただけない。不快。
説教くささには終始辟易させられたし、ストーリーも腑に落ちない点ばかり。
また、驚くほど内容が薄い。それなのに上映時間があまりにも長い。展開もセリフも冗長すぎる。社会問題と家族愛の描き方もテンプレート通りでしかなかった。予告編で感じた崇高さは、開始数十分で消えうせた。
画を魅せるために用意されたシンプルなストーリーと言ってしまえば聞こえは良いが……。
通常、大抵の作品は、どこかで観客の期待を裏切るようなどんでん返し・要は見せ場が用意されている。
しかし、この作品は全てが予想の範疇。だからイマイチ盛り上がりに欠け、セリフも能書きのように思えてしまう。
まぁ、私は心臓が悪いので助かったといえばそうなのだが……。
また、監督の価値観の古さに戦慄した。作中で描かれる色濃い家父長制や、捕鯨についての考証等。映像技術は2022年なのに、中身は1960年のお話ではないか。作品の世界観を差し引いても、時代錯誤な作品という印象を世に与えるのは間違いない。
私は映画監督でも声優でも、映画やプロデュースに関わる職に就いているわけでもない。見ての通り、御託しか生み出せない一般人である。だからこそ作品に敬意を持ちたいと考えているが、それを差し引いてもこの映画の粗悪ぶりにはたまげた。個人的には、声優と技術以外無振りな映画という印象でしかない。
また、よくこの作品を日本で公開したな…ともはや感心した(捕鯨のシーンetc。捕鯨チームにアジア人らしき人物がいる、モリに漢字が彫ってあるのはさすがに露骨すぎる)。
作者の、日本に対する偏見がよくうかがえる。私には愛国心の欠片もないが、とても不愉快だった。かつて鯨の油だけとって捨てていた白人へのアンチテーゼだとしても、日本への偏見を隠しもしない描写はお門違いではなかろうか。
あまり差別的な表現はしたくないが、いかにも白人様()の作った映画すぎて口に合わなかった。監督の自慰行為、いやもはや事後ティッシュにもほどがある。
特に、クジラとお子達の交流が捕鯨問題のメッセージの踏み台にされているのが腹立たしくてしょうが無かった。 なんのつもりでこの作品を作ったのか、それなら書かない方がマシだとさえ思った。
また、伏線の未回収や設定の綻びも目立つ。特に登場人物(主にジェイク)の言動の辻褄の合わなさが気になった。
長いことこの土地で暮らしているような口ぶりなのに他種族のことを知らない、先住民族の言語(ナヴィ語)を母国語呼ばわり、妊婦を戦場で戦わせる、…etc。
また、弓矢だけでヘリコプターを墜落させる、高度な科学技術を持つ民族のはずなのに戦闘があまりに原始的など、ご都合主義な描写も引っかかった。それもイマイチ世界観に浸れなかった原因の一つのように思う。
友人が興奮していた光云々(ただ画面に光が写ってるだけではなく、本当に発光してるように見えたらしい)はあまり感じなかった。3Dで見ているという贔屓目のせいか。
とにかく……キャメロン監督、時間返して。それから、できれば友人に私の分のチケット代返してあげて。
気になった点
・指の数、人間と混血は5本で、先住民が4本。見ているうちに気づいた。
・なぜ、ネテヤムを海に埋葬するのか理解不能。親の都合で連れてこられ、散々巻き込まれた被害者なのだからせめて故郷に返してあげて。「もうお前は海の子だ…(要約)」というセリフに、思わず「は?」と言ってしまった。上映中なのに。
・最後に勝てば許されるという、典型的なアメリカ映画みたい……と思ったら、よく考えなくてもこの作品はアメリカ映画だった。失敬。
総評&これから見る人へ
・楽しみたいなら前作の予習は必須。初見だと前作からの流れがイマイチわからない。
・字幕&ドルビーシネマ対象の映画館で見るのがおすすめ。
・上映時間が長いので覚悟&お手洗いは済ませておくが吉
・映像は綺麗。存分に楽しんで。
・アクションシーンを始めキャラの動きが神。
・ストーリーの内容が薄い、若干の不快描写あり、展開がグダグダ、設定の綻びが目立つ。
p.sに代えて
先程も述べたが、この作品は全体的に粗悪という訳ではない。むしろ素晴らしさもよくきわだっているゆえに、落胆する点も多かった。そういった意味では、冒頭に述べた「クソ映画」という発言は撤回すべきか。
その事を話すと、友人は「監督はダイバーでもあるから、あの映画では『海はいいぞ』と言いたいのかもね」と話してくれた。
…それを聞いて、悔しいが納得してしまった。
確かに不快だが、愛ある描き方だったように思う。
【公式サイト】
【予告編】
【取材協力・スポンサー】
神井早馬 (前出、「友人」)
※見出し画像は作品と全く関係ありません。
何故か画像フォルダに残っていた、東京ガーデンシアター(コンサートホール)の外エスカレーターです。