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失楽園ぼっち
孤独に対する人間の最初の叛逆と、また、あの禁断の行為について。
昨日大学を卒業した。来月から私は社会人だ。
来週から東京での生活が始まる。
京都で生まれ育った私にとって、京都以外の土地で生活するのは初めての経験であり、とても不安がある。
会社に馴染めるかな、電車はすごく混むらしいけど潰されないかな、変な人に声をかけられたらどうしよう。
不安が浮かんでは消える。
そんな様々な不安の中で一等私を苛むのは孤独に対する不安だ。
東京にはお父さんもお母さんも弟もいない。
中学からずっと一緒だった優も奈菜も美沙紀もみんな関西で就職してしまった。
2回生の頃から付き合っていた彼氏とは先月別れてしまったし、共に罰を受けた明宏は一流商社の誘いを断って地元の愛知に帰るらしい。
全て自分の行いの結果とは言え、たった1か月で快適だった生活が崩壊するとは思わなかった。
入社式でいい感じの男の子を見つけよう。
明宏から送られてきた無花果を食べながらそう思った。(410字)
※筆者注:私の実体験をもとにしましたが、中盤以降は完全にフィクションです。
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