第二次世界大戦後のポーランド地下独立組織[映画 地獄の中の戦場−ワルシャワ蜂起1944 感想,批評,レビュー,あらすじ]
第二次世界大戦後のポーランド
第二次世界大戦のポーランドといえばナチスドイツに攻め入られ、国内にユダヤ人やロマ族を収容する強制収容所が作られ、戦争に振り回されているイメージがある。地獄の中の戦場−ワルシャワ蜂起1944は、第二次世界大戦後の話である。タイトルからしてワルシャワ蜂起についての映画に思えるが、そうではない
主人公はなぜ国内で逃げ回っているのか。戦争が終わりポーランドは共産主義国であるロシアの後ろ盾を得たが、主人公の属するポーランド地下独立組織は共産主義をよく思っていないグループだからである
ナチスドイツから解放された後はソビエト連邦の手中に収まったポーランドである。国民からすれば気が収まる暇がない。おめおめ従うものばかりではないということだ
時代が起こさせた拷問
映画の冒頭あたりで裁判のシーンがあり、公安として働いていたものが過去の拷問にいて問われている、そこで裁判官に苦しい言い訳をする。物語最期あたりで、その時代に生きたものしかわからないうんぬんという、自己弁護を繰り広げている
たしかにそうかもしれないが、裁判にかけられたものは実際に拷問しているわけである。誰しも戦争に人生を狂わされたということになる
主人公にできた子供のみが希望
主人公は昔の仲間を信じられず手にかけ、仲間を減らし、食べ物も着るものも少ない逃亡生活もうんざりだっただろう。最初から最後まで一貫して暗い話で、観ていてよい気分になることはない
その暗さの中の希望が、主人公と妻の間にできた子供である。どの国にも悲劇的な過去を語り継ぎ、同じ過ちを繰り返さないために、伝承する者が必要だという暗喩がこの映画に込められているのかもしれない