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キラキラした年末年始が、しんどかった

2024年も残すところ1か月。街へ出ると、クリスマスやお正月に向けての賑やかなムードを感じることも多くなってきました。

その雰囲気にわくわくしつつも、過去のわたしはどこか「しんどさ」「ざわざわ」を感じやすい時期でもありました。理由のひとつは年末年始も仕事に忙殺されていたから。もうひとつはホリデーシーズン特有のキラキラしたムードがなんだか苦手だったから……。

そんなわたしの過去を振り返りつつ、その後、心の声に耳を傾け、自分と向き合っていくことで徐々に「しんどさ」がやわらいでいったプロセスを綴ってみます。


小さじ一杯の「ちょっとの違和感」に蓋をする

編集者として働いていた頃は、忙しなく日々を駆け抜けていました。

とくに12月は年末進行もあり、さらに慌ただしくなる時期。クリスマスイベントは完全にスルーして仕事に没頭したり、年末年始休暇中に仕事が入ることもあったので、一人暮らしの部屋でひとり静かに年越しすることもありました。気付いたら“大掃除キャンセル”をして、新年に突入していたことも……。

土日や年末年始も関係なく働いていても、大好きな編集の仕事ができて楽しかったし、幸せでした。もちろんその気持ち自体に嘘はないのだけど、10年くらい続けた頃から、小さじ一杯分くらいの小さな違和感を覚えるようになりました。強い違和感ではないので我慢はできる。でも、心の奥底にこんな小さな声があったように思います。

「本当に、このままでいいのかな……?」

当時はそんな小さくてか細い声に、丁寧に耳を傾けることができませんでした。もしかしたら、無意識的に自ら忙しさに溺れて小さな声に蓋をしていたのかもしれません。

ホリデーシーズン、ふいに訪れる孤独感

クリスマスにお正月。街のキラキラしたムード、賑やかでハッピーな雰囲気にわくわくする気持ちもありつつも、どこか心がチクリと痛くなったり、ざわざわしたり……。昔は年末年始特有のムードがちょっと苦手でした。

「クリスマスは恋人と楽しく過ごす」「お正月は家族みんなでおせちを囲む」などの“ホリデーシーズンは恋人や家族と幸せな時間を過ごすもの”という言説やムードはいたるところから感じとれました。

時代的な背景もあっただろうし、そのような言動をする人やそう打ち出す側(広告など)の意図もあったと思うのでそれ自体に良し悪しはありませんが、昔はそんな雰囲気がもっと強かったように感じます。

そういった過ごし方ができていないとき、あるいは過去のことを思い出したとき、なんだか社会の多数派に入っていない感覚があり、はじき出されているような疎外感、寂しさ、孤独感がふいに訪れました。

「わたしだけ、ひとりぼっち?」

その感覚にどっぷり飲みこまれると憂鬱でしんどいので、どこかに追いやって見て見ぬふりをしていました。それは「しんどさ」を感じすぎないための、自分なりの生存戦略でもありました。仕事に没頭することで一時的に忘れられたり、薄まったりすることはあっても対症療法でスッキリと消え去ることはありませんでした。

ざわざわの奥に大切な「価値観」「願い」がある

現在はコーチングを提供するライフコーチとなり、そういった「しんどさ」「ざわざわ」の奥には、自分が大切にしたい「価値観」や「願い」があることを学びました。「ざわざわ」などの感覚は、それらを知らせてくれる無意識からの大切なサインとも言えるのです。

そんなサインをどのように受け取っていくか。簡略的に説明すると「ざわざわ」などの感覚に蓋をしたり、なかったことにしたりはせず、そこから発せられている小さな声に留まり、じっくり耳を傾けてみるのです。

「普通は」「社会的に」などの外側の声はいったんオフにして、また「組織での自分」「リーダー」「責任者」などのロール(役割)もいったん取っ払ってみます。自分が感じていることを評価・判断せずに、ただありのままに感じていくのです。

そこにどんな感覚、感情があるのか?
そのもっと奥には、どんな「願い」や大切にしたい「価値観」があるのか?

そんなふうに心の奥底にあるものをじっくりと見つめ、感じていきます。

※心身が健康なときに苦しくなりすぎない範囲でおこないます。また、ひとりで深く向き合うのは難しい場合もあるので、コーチングやカウンセリングなどの支援を受けることをおすすめします。

思考から離れ、感情をじっくり味わってみましょう

まぁまぁ満足。「ただ」「でも」に続く小さな声

あらためて過去のわたしの話に戻ります。

年末年始もゴリゴリ働いていた頃の「本当に、このままでいいの……?」という小さな声。そこに何年も向き合えなかった結果、しんどさがどんどん強くなってしまいました。小さじ一杯くらいの小さな違和感は、大きな鉛(なまり)の塊のようにずっしりと心を重たくさせていました。

「やっぱり、このままではよくない……!」

そこでようやく自分の本当の声を丁寧に聴くことができました。感じていることや湧いてくるものはざっくりまとめて捉えず、細かく分けて見つめていきました。

例えば、仕事内容は好きだし、仲間にも恵まれている。お給料もまぁ不満はない。……と、ここまでくると「まぁまぁ満足してるからいいじゃん!」と丸をつけてまとめたくなるのですが、そこで遮断せず「ただ、」「でも、」「けど、」などで続く小さな声もしっかり聴いていくのです。そこに大切にしたい価値観、実現したいこと、叶えたい願いなどが詰まっている場合もあります。

【わたしの場合
いまの仕事にはおおむね満足してる。ただ、年末年始や土日が十分に休めない「働き方」は心から望んでいる形ではなくなってきた。昔は大丈夫だった。けど、いまは違う。この先ずっとこの働き方はしたくないかも。

「このままでいいの?」という小さな声が訴えたかったことはこれでした。昔は大丈夫だったけど、年齢を重ね心身の健康も大切にしながら持続可能な「働き方」を叶えたいという願いに気付いたのです。

「それはそれ」と分けて声を聴き、願いに気付く

また、願いに気付く上で大切なのは「仕事が好き」「仲間に恵まれている」「給料はまぁまぁ満足している」「責任を持ってやりたい」などの気持ちと、「働き方にあまり満足していない」はそれぞれ分けて考えてみることです。

「それはそれ、これはこれ」と箱に分けていくような感じでそれぞれ見つめていきます。例えば「働き方」について見つめていくときに、仕事が好きなことや、責任感を持ってやりたい気持ちはいったん横で待機していてもらいます。働き方についてだけ、「何が不満なんだろう?」「どうなったら最高なんだろう?」と、自分の気持ちを存分に感じていきます。

「仕事が好きだし、責任感を持ってやりたいのに、こんなこと思っちゃダメだよね」などの罪悪感も持たなくてもいいのです。他の声に引っ張られず、まずは自分の願いにありのまま気付くことが大切です。

大きい声も小さい声も分けて聴いてあげよう

願いが明らかになっていくと「その上でわたしは何を選択する?」⇒「どうやって実現していくか?」 という選択と行動のフェーズに入っていくことができます。

【わたしの場合
やっぱり働き方を改善したい。
⇒業務の効率化、メンバーの配置変更、外部発注などで改善できる場合もあるかもしれない。もし調整がつかなくても、無理をせずに働ける他のポジションや部署、職場はきっとあるはず。転職活動をしたっていい。何もしないで可能性を閉ざすのはもったいない。やれるだけやってみよう!

そんなふうに具体的に考えていくことができました。詳細は省きますが、自分にとって無理のない働き方を叶えるために一歩一歩行動し、試行錯誤しながら働き方を変えていくことができたのです。

「わたしはわたし」過ごしたいように過ごせばいいよね

また、キラキラした年末年始に感じていた「しんどさ」は、これまで身を置いた環境や関わってきた人、外側からの影響を大きく受けていたことに気付きました。

だから周りが悪い、そういったものを遮断すればいいという話ではなく、過去の経験によってしんどく受け取りやすい自分の反応、狭くなっていた視野、繰り返される思考癖に気付けたのです。周りを変えようとするのではなく、自分を変えていこうと考え、情報の受け取り方、認知を変えていく練習を積み重ねていったのです。

今ではこう思います。
「ホリデーシーズンは家族や恋人と幸せな時間を過ごすもの」というムードは誰もがフィットする価値観ではない。そういったムードを「それが普通」「そのほうがいい」「そうじゃない自分は孤独だ」などと変換して受け取らなくてもいい。

もし、社会の多数派意見や良しとされる風潮に当てはまらなくても「わたしはわたし」。周りがどうであれ、年末年始でもいつでもどこでも、自分が過ごしたいように過ごせればいいよね、と。

クリスマスイブにサウナへ。サウナが好きなので♨️

奥底にあった「豊かなつながりを感じたい」という願い

また、継続的にコーチングを受け、自己探求をするなかで徐々に気付いたのは、わたしの心の奥底に「豊かなつながりを感じたい」という願いがあること。

それは「クリスマスは恋人と過ごす」などのフォーマットに沿ったものではなく、安心安全のなかで「豊かなつながり」を感じたい、というものでした。それが満たされなくて「ざわざわ」という形でサインが出ていたように思います。

では、自分にとっての「豊かなつながり」とは何だろう?

家族や恋人ももちろん大切だけど、友達、地域の方、大好きな推し、空に旅立った人とのつながりかもしれない。もしかしたら人だけでなく、自然や動物、場所、外側ではなく自分の内側にある大切なもの、自分自身とのつながりなのかもしれない。

ホリデーシーズンを誰かと一緒に過ごすことさえできていれば満たされるかというと違う。わたしの内的な感覚ですが、物理的にひとりで過ごしているときでも「豊かなつながり」はもうすでに自分のなかに確かにあって、いつでもあたたかく感じられると思っています。

その感覚に気づいてからは、ホリデーシーズンだけでなく周りのキラキラした雰囲気や楽しそうな様子にあまり反応しなくなり、「わたしはわたし」とフラットでいられるようになってきました。

そして、周りや社会の価値観ではなく、自分の内側にある大切な「価値観」や「願い」を指針として生きていこうと決めたのです。

このようなプロセスを経て、年末年始に感じていた「しんどさ」は徐々にやわらいでいきました。

豊かなつながりを感じられる、近所の公園

無駄な気持ち、意味のない感情なんてひとつもない

とはいえ、生きていればこれからも何かで「しんどさ」や「ざわざわ」などを感じることもあるでしょう。

でもそんなときに、過去のように蓋をしてなかったことにはしたくない。どんな感情もないがしろにはしたくない。

ちょっとした違和感や小さな声も「あっていいもの」として大切に扱い、丁寧に耳を傾けてあげたいなと思います。

なぜなら、どの感情にも上下はなく等しく大切なもの。無駄な気持ち、意味のない感情・感覚なんてひとつもないのだから。

そういった内側からのサインは、よりよく生きるための大事なきっかけになるかもしれないのだから。

どの感情もいてくれてありがとう!

年末年始、あなたの心の奥底にある小さな声をじっくり聴いてみませんか?




▼この記事を書いた人
はとだ
出版社・IT企業・広告会社で編集者を約19年経験し、コーチングを提供するライフコーチへ。複数メディアの編集長やグループマネージャーを経験。音楽雑誌やWebメディアでのべ1,000人に取材し、対話や傾聴・心の領域に興味を持つ。2022年よりコーチング探究の道へと歩み出し、2023年にTHE COACH ICP™︎ インテグレーションコース6期修了。
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