バンドを始めるか。【F.T.D.E青雲立志編】
2020年10月、俺は焦っていた。
何故だが分からないがとにかく焦っていた。それは蔓延するウィルスや日に200km以上の運転を強いる仕事が理由なのか或いは他に理由があるのかは分からない。
そしてとにかくマッチングアプリを左右にフリックしていた。誰かに認められたかったのだろう。そしてマッチング。どうやらバンドをやっている女らしい。一度見に来てくれないかと言われた俺は、ホイホイライブを見に行った。
会場は2021年現在にはもう存在しないハコで、ジャンルは俗にいうシティポップだった。会場にまばらにいる客は皆柄シャツをスキニーにインしているマッシュヘアの男か、ヒッピーファッションの女だったことが印象的だ。
女のバンドの演奏が始まる。演奏は悪くない。ポップだ。メンバー皆で歌ってる。ダンエレクトロのギターを男が弾いてる。湘南の浜辺でフカしたタバコがどうのこうのみたいな歌詞だったことは覚えている。MCで女が言う「今日が皆にとって良い日になりますように。」
その瞬間に何かが俺の中でハジけた。こんな所にいてはならない。良い日かどうかは俺が決めなければならない。気づけば俺はハコを抜け出し、知らない立呑屋で浴びるようにハイボールを飲んでいた(当時緊急事態の合間で飲み屋が営業していたのだ。)
そして電話を一本かける。「ヘィ」気の抜けた返事を返すこの男こそ、現在sezyoにて声を張る3Dアートで喰って生きている変人、巨匠ことシカワである。
「俺がバンドやるってなったら歌ってくんない?」
※この文章は実際の出来事を大幅に脚色したものである。
https://youtu.be/BZphhWPUskc
バンドのデモテープが↑で聴けます。よければ聞いてね。
@Sezyo_band
↑バンドのTwitterで活動についてアナウンスしてます。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?