バンドを始めるか。2【憂士を集う】
「あー、いっすよ。」
シカワは空返事で了解した。10年前から知っているがこの男はこういう男なのだ。文章にすればそれこそ短編小説が書けるだろうほどエピソードがある。そうかありがとう。俺は返し、ドラマーを探すことにした。ドラマーは重要である。ロックバンドの演奏の8割はビートで決まる。後の2割はボーカルの顔だ。
ドラマーを探すに当たり、俺には心当たりがあった。学生時代、F.T.D.Eの先輩に当たる男フルサワである。彼はInstagramにてドラムを叩く動画やコピーバンドでイベントに出ている様をあげていたのだ。俺は思っていた、これだけの男をコピーバンドで腐らせるのは惜しいと。
正直学生時代には殆ど話したことはなかったがいきなり連絡し、バンドをやりたい旨を伝える。「いいよ~」また二つ返事である。ジャンルも伝えてないのに。やったぜ。
後はリードギター。これまた大事なパートだ。しかしツテがない。仕方がない、広大なネットの海を泳ぐことにしよう。俺はメンバー募集サイト、俗にいうメン募で記事を出した。メンバーの条件は以下の3つだった。
生活の軸がしっかりしている、多額の借金や犯罪歴が無い、重度の精神病患者ではないこと(メンヘラではないこと)
こうしたサービスを利用したことのある諸兄ならば分かるだろうが、バンドマンはとにかく約束を守らないし文章を読まない。メン募でメッセージが来たと思ったらすぐ音信不通になったり、やりたいものがミスチルみたいな音楽の男から連絡が来たり(当時俺はCowpers、ブッチャーズの様な北海道ハードコアやAndProtectorの様なバンドを目指していた。)そんなことから難航を喫していた折に一通の連絡があった。
「興味あります。曲もあります。」送られたURLを開くと俺が書いた曲の100倍かっこいい音が流れる。最高だぜ。早速スタジオに行く約束を取り付ける。頼むから初回位は来てください。そう思っていた。
約束の日、スタジオに現れたのは精悍な顔つきをした男であった。ルイと名乗る彼はテレキャスターから衝撃波を出した。テレキャスターは通常あまり火力のあるギターではない、とされるギターであるが彼の弾くそれは衝撃としか言えない程の音だった。素晴らしい。バンドを組みましょう。
俺達は集まり、CBDオイルの入ったビールをたらふく喰らったのだった。
※この文章は事実を元に大幅な改変、脚色をしたフィクションです。
https://youtu.be/BZphhWPUskc
↑曲聴けるので聴いてみてね。
@Sezyo_band
↑バンドのTwitterで活動についてアナウンスしてます。
@Hatononakami
↑俺の個人Twitter
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