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見つけてくれてありがとう

今日が締切のオリジナルライナーノーツ企画。
Xで1番最初の投稿募集を見た時から「書きたい」と思って、思いついた言葉の欠片をiPhoneのメモに書き留めてたのに、いざくっつけようとすると上手くいかなくて、綺麗にならなくて。
もういいかな、ちっとも素敵にならないし、尾崎さんが伝えたかったことを上手く拾えずに、自分なりの解釈を伝えて不快な思いにさせるのも怖い。
色んな言い訳を考えて逃げてしまおうとしたけど、昨日の通勤途中に改めてアルバムを聴いてたら、アルバムに入っている15曲全てに、自分の生活とリンクした思い出があることに気がついた。
「あぁ私、ずっとクリープハイプと生きてたんだ」って思って、それがすごく嬉しかった。今日なら上手く書けるような気がしたから、夜0時を回って布団に入って、もう一度ちゃんと向き合ってみることにする
思い出話ばかりで、15曲全てを素敵に紹介できてる訳じゃないし、ライナーノーツとは言えないかもしれないけど、私からクリープハイプへ、初めてのお手紙、最後まで読んでくださったら嬉しいです。


ままごと

アルバムの1番初めに収録されている曲。
特典のボイス付きキーホルダーの詳細が出てからすぐ店舗受取で予約したのに、お店への到着日が12月4日だったからフラゲができなかった。
私がクリープハイプを好きになって初めて出るアルバムだから、届いたら丁寧に開封して、ディスクをCDプレーヤーにそっとセットして、1曲目から大切に大切に聴こうと思っていたのに、XのTLに沢山流れてくるフラゲしたファンの方のアルバムの感想を見て、結局我慢できず12月4日の0時ぴったりに、スマホに入っている音楽配信サービスのボタンひとつで簡単に聴いてしまった。
普段からスマホのサブスクで聴く事が多い癖に、初めてのアルバムだからってもっと手間をかけて聞かなきゃなんて、サブスクに見捨てられても仕方ない様なことを思いながら、再生ボタンをタップする。
イントロ無しでいきなり耳に飛び込んでくる尾崎さんの歌声、「クリープハイプだ…!」そりゃクリープハイプのアルバムを聴いているんだからイヤホンから流れてくる音がクリープハイプな事なんて当たり前なのに、遂に楽しみにしていた新曲が聴ける!嬉しさのあまり思わず気の抜けた声が漏れて、同じ部屋にいた母に「は?」と聞き返されてしまった。
『おかえりご飯にする?お風呂にする?それともわたし』
元ネタがわからなくなるほど昔からある有名なセリフ、確か昔放送されていたお笑い番組のコントのセリフ。この後すぐ『って言うかたわし わからない?綺麗にしてるのいつも』
という歌詞が続くのが、よく耳にするセリフをお仕事から帰ってきた彼に言ってはみたものの、やっぱり恥ずかしくなってしまって、つい小言を言って空回りしてしまう。そんな光景が頭に浮かんで、尾崎さんの作る曲に出てくる女の子は、不器用でいじらしい女の子が多いけど、この子も例外ではないんだろうなぁと思った。
大人になればあんな事もこんな事もなんでもできるけど、大人になってこの生活がままごとじゃ無くなれば、目を背け続けられない事もきっとどんどん多くなる。あなたのすぐ手を抜こうとする悪い癖も、だらしないところも、わたしの少し怒りっぽいところも、「ままごと」じゃ無くなれば、上手く目を背けられなくなる日が来てしまう気がして、だからもう少しこのまま、ままごとの、子供のままでいさせて欲しい
POPで明るめの曲調で、「おままごと」という子供の遊びを題材にしているから一瞬、純粋で可愛らしい恋愛の曲なのかな…?と思ったけど、そんな純粋な気持ちの中に、大人になる事への不安や切ない想いも感じ取れる気がする

人と人と人と人

8月から始まったFM802×大阪ステーションシティとクリープハイプのコラボ企画から生まれた楽曲。FM802 ROCK KIDS 802の期間限定コーナーや、大阪ステーションシティに設置されたQRコードから飛べる特設ページで、新曲のインストver.をリスナーに視聴してもらい、そこからリスナーが想像したキーワードやメッセージをFM802に送ると、その言葉が新曲の歌詞になるかもしれないという企画
ラジオで初めてインストver.を聴いた時は、イントロのギターリフが特徴的で疾走感のある只管かっこいい曲。という印象だったけど、歌詞と尾崎さんの柔らかい歌声が入ることで少しの寂しさを感じる曲になったな〜と思った。
『夜と帰る22時 寂しい寂しい寂しい寂しい
だから誰かの声に気づく わかる同じ気持ち』
私が勝手に人生の糧にしている大好きなバンドのライブ、終演後すっかり暗くなった空に浮かんだ月を連れて帰る22時。幸せな時間が終わって、ライブでの出来事を1つずつ思い出しながら、あぁもう終わってしまったんだって、現実を飲み込まなきゃいけないのに、さっきまで目の前のステージにいた4人はもういなくて、私はひとりぼっちで。寂しい気持ちが溢れ出してどうしようもなかったけど、そうやっておなじ寂しい気持ちを抱えた人の声に気づいて、共感して、輪が広がって人と出会う。私にとっての桜の橋は、きっとクリープハイプなのだとおもう

青梅

2023年4月に、国内最大級の恋活.婚活マッチングアプリ「Pairs」のCMに書き下ろされた。真夏の甘酸っぱい恋模様を、ありがちなレモンやいちごではなく、まだ熟れていない青梅と、真っ赤に熟れた梅干しに例えた可愛らしい1曲
以前尾崎さんが出演されていたラジオで「アルバムに入ることを意識せずに作った曲」と仰っていて、確かに、曲としても食べ物としても、この後に鎮座してる曲名から異様な雰囲気をまとった「生レバ」との差が激しくて、でもその差が愛おしい
この曲がデジタルリリースされた頃の私は、クリープハイプにのめり込みすぎてテレビを見る機会がガクッと減っていて、青梅が使われているCM自体は1~2回しか見れなかったけど、車通勤の姉がよく「今朝信号待ちの時カーテレビ見てたらCMで世界観の曲流れてたよ」と伝えてくれるのが凄く嬉しくて、お姉ちゃんの車に乗せてもらった時は必ず青梅を流してもらった。
サビのリズムが頭に残りやすいのか、曲の好みが全く違っていて、今まで私がおすすめした曲を全くと言っていい程聴いてくれなかったお姉ちゃんが、「恋はうめぼし🎶赤いうめぼし🎶」と歌詞を間違えながらでも歌ってくれるのが嬉しかった。
そんな陽気な姉から「そういえば世界観のCMのアプリ入れたんだけど彼氏出来たんだ〜」と聞かされるのはまた別のお話。

生レバ

9月8日クリープハイプの日にて、観客を愛おしそうな目で見つめる尾崎さんが、12月にアルバムが出ることと、そのアルバムのタイトルを教えてくれた。会場全体を包み込むような長い拍手と歓声が湧いた日から、約1ヶ月後の10月17日。滅多に動かないXの尾崎さんのアカウントから通知が来て、アルバムに収録される全15曲の曲名のお披露目会が始まる
上から順番に、嬉しくて飛び跳ねてしまいそうなのを抑えながら、小声で曲名を呟く。
「ままごと…人と人と人と人…青梅…生レバ………なまれば…???」
ズラっと並ぶ曲名の中で、一際目を引く生レバ
Xのタイムラインでは「なまれば じゃなくて いきればじゃない?」と次々に生レバの考察が飛び交う。「dmrks」や「別に有名人でもないのに」等、気になる曲名はいくつかあるのに、只管生レバが何なのか気になって仕方がない、その後クリープハイプ公式Xで、生レバがDMMTVオリジナルドラマ「外道の歌」の主題歌であることが明かされ、11月16日に横浜Kアリーナで開催された現メンバー15周年記念ライブ「2024年11月16日」ではアルバムの最後の収録曲「天の声」と共に生レバが初披露された。
記念公演に足を運ぶことが出来なかったから、実際私が初めて生レバを聴いたのは、12月2日にクリープハイプ公式YouTubeに投稿された全曲トレーラーで、ラスサビらしきメロディが流れているのに歌詞を聴きとる事ができないのがもどかしくて仕方なかったけど、結局その後尾崎さん本人が歌詞に意味はなくて、サビの歌詞が無いとおっしゃっていて少しほっとした。
「クリープハイプは歌詞がいい」って、とりあえず歌詞を褒めればいいと思ってる人がいる。
以前出演したラジオでそんな事を仰っていたから、そういう一部の層への挑戦状みたいな曲でもあるのかな…?
『アカペラにしてまでこんなタラレバ言いたくないけれど』で急に楽器の音が止んで、尾崎さんの歌声だけが聴こえるところでいつも息が止まりそうになる。MVでもこの歌詞入るタイミングで画面がパッと切り替わり、尾崎さんが真っ直ぐこちらを見つめてくる演出になっているのがゾクッとして好き。
記念公演に足を運ぶことが出来なかったから未だに生で聴くことができていないけど、いつか生で「生レバ」を聴けるのが楽しみ
歌詞がないからなんて歌うか迷うと仰られていたので、個人的な推し「ダレ」をおすすめしてみます。

I

パチパチ…という火の粉が飛ぶ音と共にイントロが始まる「I」前の曲であれだけ生レバを食べたいと歌っていたのに、その後すぐ火を連想させる様な曲を入れるところが、故意なのか無意識なのか分からないけど粋な計らいで好き。
一足先にラジオでこの曲を聴いた時、2020年にHIPHOPアーティストの空音さんとのコラボ曲としてリリースされた「どうせ、愛だ」で、あの時ぽっかり空いた穴をこの新曲で埋めてくれるような気が一瞬したけど、結局最後まで「君」の好きな人にはなれなくて、願うだけで終わってしまうのが現実的で苦しい。
何年か前に、SNSで知り合って仲良くなった女の子のことを好きになってしまったことがある。「なってしまった」と少し後ろめたい言い方をするのは、私自身の性別がそのこと同じ「女の子」だったから。
ある日、どう言った話の流れからそう言われたのか今はもう覚えていないけど、その子から「鳩ちゃんのことが恋愛的に好きかも」と返信が来たことがあった。同じ気持ちだった嬉しさでどうにかなりそうで、今すぐにでも「私も」と答えたかったはずなのに私は何故か「気のせいじゃない?」だなんて素っ気ない返事をしてしまった。今でこそニュースやSNSでよくLGBTの話を聞くけど、当時の私は同性愛事に対してまだ少し抵抗があったように思う。気持ち悪いとかじゃなくて、ただ「本当にそんなことがあっていいの?」みたいな感じで、相手の気持ちと、自分の新しい感情を上手く受け入れられなかった
もし、あの時上手く埋めることが出来なかったあの子との穴を、ちゃんとIで埋められていたら…時々そんな風に思い出すけれど、この曲の登場人物が結局「君」との穴を埋めることが出来なかったように、私のこのぽっかり空いた穴も、もう二度と埋まることは無い

インタビュー

Iに続いて、少し静かで、でも何処かに情熱のような物も感じる曲
『燃え尽きて消え尽きたのにでもまだある
ダサいから隠すけど 君にだけバレたい』
この「まだあるなにか」は、完全に私の妄想だけど、演者さんの影での努力や涙だと思っている。スポーツ選手に限らず、バンドも、アイドルも、俳優さんも、表に立って光を浴びるお仕事をしている人は、裏で長い時間をかけて並大抵ならぬ努力をして、私達ファンに感動や熱狂を届けてくれる。
インタビューでは語られることの少ない、血のにじむ様な努力のお話。プロと言っても、私達インタビューを読む側の人間とおなじで、上手くできない日だってきっと沢山ある。何故できないのか、自分への怒りで自分を殴りたくなるくらい悔しい思いを何とかこらえて頑張り続けて、素敵な時間をファンへ。努力は隠しておくものかもしれないけど、私達ファンには好きな人の努力を見つけて、応援できる力があると思う
かっこ悪いと思われるかもしれないけど、君にならバレたい、バレてもらえるんじゃないか?ファンに対してそんな期待をしてくれていたら嬉しいなと思う

べつに有名人でもないのに

べつに有名人でもないのに、なんて皮肉めいた曲名を見て、社会の窓や身も蓋もない水槽みたいな激しめの曲かと思っていたから、優しいピアノのイントロから始まって少し拍子抜けした。曲調が好きで、何気に今回のアルバムで1番沢山聴いている曲かもしれない。
『次から次へ出てくるのはどれもろくなものじゃないから』という歌詞の通り、この曲の主人公は過去に沢山ほろ苦い恋愛をしてきた女の子なのだろう。そんなろくてもない日々の中でも、可愛い家に2人で住むことや、赤いお花に囲まれて2人で笑う理想の未来を見ることができた時間は確かにあって、でも現実はそう上手くいかなくて、やっぱり今はもう離れ離れ。
この曲は、過去の曲に出てきた壊れた心でアンタを待ってた「アタシ」や、あの時通り雨に濡らされて泣いていた「あたし」の数十年後の曲なんじゃないかなと思う。ろくでもない恋をして泣いていたあたしが、長い長い時を経て、「バレちゃう前に、活動自粛でもしようか」なんて冗談を混じえて、あの頃を愛おしみながら、私達に思い出話をしてくれてるような、そんな曲。
この子の過去が、活動自粛をしなければいけない程のヤバイ過去だと言われてしまうなら、私は今すぐ引退宣言をしなければいけないなぁ。

星にでも願ってろ

フジテレビNEXTで10月から放送が開始されたぽちゃーズ。なにかの弾みで「ぽちゃ化」してしまった生き物たちが、まんまるでころころした可愛いフォルムで自由気ままに生きている姿を描いたゆる可愛いアニメ。サビではこの「星にでも願ってろ」のサビと共に、真ん丸なぽちゃーズ達が手を挙げたりおしりをふってみたり、可愛らしいダンスを披露してくれる
まだアニメで曲のサビしか聴く事が出来なかった時は、上手く歌詞を聞き取るとが出来なくて「片思いしているあの娘の幸せを流れ星に願う、アニメにあった純粋で可愛い曲なのかな〜」というような感想だったので、初めて歌詞を見た時は片思いの愛の重さと、この歌詞に共感を得てしまう自分に少しゾッとした
本人が望むもので満たされていますように、暖かい場所でゆっくり眠れていますように、美味しいご飯を食べられていますように。
でも、どうか毎夜を孤独に明かしていますように、私と同じように、あなたの事を想っている人が近くにいませんように。
好きが大きくなりすぎて、あの人の幸せを願う気持ちが行き過ぎると、「自分があの人を幸せにしたい、自分だけがあの人のそばに居たい」なんて醜い欲が出てきて、もうこの感情が愛なのかなんなのか分からなくなって、どうしたらいいかわからなくなる。
あの子の幸せを願ったそばから、でも孤独に寝ていて欲しいだなんて、「こいつはほんとうに「あの娘」の幸せを願っているのか」って星もきっと戸惑って困っているだろうけど、どうかこの相反している2つの願いが叶いますように。

dmrks

「生レバ」に引き続き意味の無い曲を作りたかったけど、つい中身のある曲がてきてしまった。
地方のラジオに出演された尾崎さんが、そう笑いながら紹介していたdmrks
機械音のようなイントロから、グッとクリープハイプの世界に引き込まれる感覚が心地よい
結局私はべつに有名人でもないので、活動自粛も引退もしないけれど、エゴサが趣味だと公言している尾崎さんの影響からか、寝る前によく「パブサ」をするようになった。
SNSの検索窓に好きなバンドマンの名前を、どうかあの人が傷つくような書き込みがありませんようにという願いを込めて打ち込む。夜中になるまでだらだらとスクロールして、ファンの素敵な呟きにハートを押し、どうしようもないクズの書き込みにひたすらイライラするだけ、尾崎さんのようにネガティブな感情を創作活動にぶつけて、何かを作れるわけでもなく、何もできることなんかなくて、ただ怒りをゴミ箱に捨てるだけなのに、私はパブサが辞められない。
一番のAメロの歌詞が、どうしようもないクズの呟きを見て「こんなことならエゴサなんてしなきゃ良かった」と嘆いている姿を描いた歌詞なら、二番の「こんなことなら来なきゃ良かったよ」「こんなことなら居なきゃ良かったよ」という歌詞はどこにいたを後悔しているのか…何となくこのことかもって頭に思い浮かぶものはあるけど、本当にそうだったらと思うと、怖くてここに書き出すことが出来ない。どうかこの考察が見当違いなものでありますように…

喉仏

言葉遊びの宝箱みたいな曲
幸慈さんの痛快なギターリフに続く『当たり障りのない涙まるでハズレまみれのあみだ』という歌詞の語呂の良さと耳に残るメロディで、聴く度に気がつくと体が横揺れしている。
伝えたい言葉があるのに、「相手を傷つけたくない」とか「自分が傷つくのが怖い」とか、色々な理由で言葉を飲み込む場面を、「言葉が逃げる」って表現できるなんて、やっぱり私は尾崎さんの頭の中も1度でいいから覗いてみたい。
4月に投稿された喉仏のMVは、ライブ中、熱狂的な盛り上がりを見せる観客の中に1人だけ、無表情でステージを見つめる女の子を見つけたメンバーが、それぞれ力を合わせて女の子を喜ばせようとするという遊び心のあるもので、普段から色んな場所で「そこに居てくれる事に意味があるから、ライブの楽しみ方は人それぞれで大丈夫。盛り上がっても棒立ちでも、好きなように見て欲しい」と言ってくれているクリープハイプからは想像できなくて新鮮だった。
2番のAメロで、どう頑張っても喜んでくれない女の子を険しい顔で見つめる尾崎さんを映すシーンがある。尾崎さんの視点で女の子を映した時、砂嵐の様に画面に少しモヤがかかっているのを見て、以前視力が悪いと仰ってたのを思い出して、はっきりと見えてる訳じゃないけど、そこにいてくれるのはわかってるって改めて伝えてくれたような気がしてすごく嬉しかった。
このMVが公開されてから、クリープハイプのライブに行った際無理に手をあげることがなくなって、改めて自分なりにクリープハイプの音楽をを精一杯楽しめるようになった

本屋の

『宗教思想哲学挟んで児童書の周りは人もまばらだから ここなら今ならって思う君と2人きり』
HE IS MINEやキケンナアソビとは違って直接的な性の描写は全く無いのに、何故かこの一節が艶っぽく聴こえるような気がしてつい惹かれてしまう。曲名は「本屋の」なのに、初めて聴いた時私の頭に浮かんだ風景は図書館だった
『ぶら下げた1冊は 夜道を照らして光る』
本屋で長い時間をかけて選んだ1冊を書袋に入れてもらい、それをぶら下げて帰る帰り道。袋の中には家に帰ったあとの楽しみが詰まってて、キラキラと宝物のように光ってる。初めて尾崎さんのエッセイ「泣きたくなるほど嬉しい日々に」を書店で購入して帰った日の事を思い出した。

センチメンタルママ

最近好きになったとあるバンドのライブに足を運んだ翌々日、私はインフルエンザにかかり39℃の高熱を叩き出した。
「わーセンチメンタルママの歌詞通りの症状が出てるー」なんて能天気に思っていたら症状がどんどん悪化して、センチメンタルママを聴くことすら出来なくなる程体調が悪くなって、ついに12月22日にマリンメッセ福岡で開催されるクリープハイプとback numberの対バンの日が来てしまい、ライブのチケットを手放さなきゃいけなくなったのが先先週の話。
熱は下がったのに喉を痛めて上手く喋れない、そんな私の変わりに、スマホの中の尾崎さんが「あーくそっ」て言ってくれたけど、「あーくそっ」所じゃなかった、今にも叫び出しそうなくらい悔しかった。
私が行ったライブの数日前に出演していたテレビ番組で、「自分の曲以外聴いて欲しくない」と共演していたアーティストの女の子と話しているのを見たばっかりだったのに、別のバンドのライブなんか行ったからバチが当たったんだ…って一瞬思いそうになったけど、普通にマスクをせず人が大勢いる所に行った自分が悪いくせに、気持ち的に少しでも楽になりたいからそうやって思うことで逃げてるだけだってことに気がついてやめた。
ライブいきたかったなぁ…このままじゃ2024年に取り残されてしまいそう…

もうおしまいだよさようなら

『たった一駅分の優しさで愛せてるとでも思ってた?』
一見、少し冷たく突き放されたような気持ちになるけれど、その後すぐ『泣かないてわらってくれ 寂しくなったらまたおいで』って、優しさで包み込んでくれるのが大好き。
なんとなく、今から丁度10年前の2014年にリリースされた「一つになれないならせめて二つだけでいよう」に収録されている「大丈夫」を思い出す曲。クリープハイプに「会いたくなったらまたおいで」なんて言われたら、「もう来ないでくれ」ってハッキリ言われるまで何度も会いに行ってしまいそう。

あと5秒

各SNSで不定期に投稿される新曲を5秒だけ切りとった動画、それを集めてパズルのピースみたいに繋げていくと、新曲が聴けるというプロモーションの仕方が宝探しみたいで好きだった。今思い返してみると、アルバムのタイトルに沿って「見つける」という行為をファンに楽しんでみて欲しかったのかもしれない
泡のようにすぐ消えてしまう5秒、このたった5秒の選択が、「あたし」を本編ではなく広告にしてしまったのだろう。
私は今まで何度も選択を誤って後悔ばかりしていたけど、あの5秒を間違えていなかったら、きっと今このアルバムのライナーノーツを書くこともなかったと思うから、あの時、世間的に間違えたと思った選択は、私にとっての正解だったのかもしれない

天の声

15曲目、アルバムの最後の曲
ライナーノーツももうそろそろおしまい。いざ向き合ってみると意外と上手にできたのでは?と思ったけど、誤字脱字がないか読み返して、曲数を重ねるにつれ文章が短くなっていることに気がついた。どの曲も全部大切なのに、「この曲の文章短いな、好きじゃなかったのかな」なんて思われたらどうしよう。そもそも何年もかけて作られたアルバムに一日で向き合おうとしたのが馬鹿だった。
最近よく思うけど、好きなことに向き合うのは凄く疲れる、嫌いならパッと突き放してしまえばたった5秒程度でおしまいにできるけど、好きなものはできるだけ丁寧に扱いたいし、その対象が実際に私の言葉を見て聞いてくれる人なら尚更、その人を傷つけないように、不快にさせないように大切に大切に向き合いたい。私は私の出来る限り、クリープハイプを大切にしたい。

私が初めてクリープハイプに出会ったのは、2023年の3月下旬のこと。あの頃は持病の治療が上手くいかなくて入退院を何度も繰り返していて、1人で外出する事もままならないせいで引きこもりがちになり、昼夜逆転して、死にたい夜をずっと1人で過ごす。そんな時、YouTubeに突然流れてきたHE IS MINEのMVで一目惚れしたのがvocalの尾崎さん、そこからどんどんクリープハイプを好きになった。
毎晩のようにMVや過去のインタビュー、尾崎さんが出演してるラジオを聞き漁って、すきなひとで満たされたまま眠るのが凄く幸せで
今回のアルバムのタイトル通り、「この人達に出会うために生きてたんだ、やっと見つけた」って思ったのを今でもよく覚えてる。
あの時、私がクリープハイプを見つけたんだってずっと思ってたけど、もしかしたらクリープハイプが私を見つけてくれたのかな〜なんて、天の声を聴きながら思った。
この曲をラジオで紹介する際、「一人でいることを好きになってもらうために作った曲」だって尾崎さんが仰ってた。
今の私は1人の時間が好き、息を潜めて泣くのも、悲しい気持ちが涙になって体から出ていってしまえば少しはスッキリするし、1人で、行きたい場所に自由気ままに出かけるのも好き。でもそれは、クリープハイプっていう存在が当たり前のようにそこに居てくれるからであって、もし今クリープハイプが居なくなったら、私は今まで通り生きていける自信が無い。
尾崎さんの願いを叶えられなくて申し訳ないけど、どうかもう暫く、叶うならこれから15年後も、クリープハイプがくれた生きる力を、自分の足で立ち上がるための私自身の力にできるように頑張るから、それまて『君は一人だけど 俺も一人だよ』って、歌を歌い続けて欲しいし、音を奏で続けて欲しいです。
わがままでごめんなさい

最後はアルバムのタイトルを回収しておしまい
こんなところに居たのか やっと見つけたよ
あの時、1人で何となく死にたい夜を過ごしていた私たちを見つけてくれて、ライブ会場へ連れて行ってくれてありがとう。クリープハイプに出会ってからも何となく死にたい夜はあるけど、イヤホンから聴こえてくる大好きな人の俺も一人だよって歌声に救われて、踏みとどまれています。
改めて、現メンバー15周年おめでとうございます
4人がこれからも変わらずにふざけ散らしていてくれるなら、それを見てずっと笑っていさせてください

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