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木漏れ日の絵本カフェ【2022.07.23】

2022年6月末、旧居から車で20分のところへ引っ越した。荷ほどきやら手続きに忙殺され、前から気になっていた近くの絵本カフェに行けたのは、数週間もたってからだった。

カフェは、緑道の脇のマンションの1階にある。私は出勤時にいつもその前を通る。緑の木立の中からのぞくエメラルドグリーンの壁の色が目印。手作り風の木製のボードには1階がカフェ、2階がワークショップスペース、3階がギャラリーの案内図やら、開催中の個展の紹介が載っている。いつも楽しげな雰囲気が醸し出されていて、「いつでもおいでよ」と誘われているような気がしていた。

物怖じしない私でも、初めての場所に行くのは、小さな勇気がいる。絵本が好きな家人を誘い、土曜日の昼下がり、意を決して訪ねてみた。エントランスの前でおじさんがギターをいじっていて、ちょっと拍子抜け。「今どくからね、ごめんね」。

ランチセットを注文して席につくと、足が何かとぶつかった。よく見ると、アンティーク足踏みミシンの脚を使ったリメイクテーブルだった。興味津々で店内を見渡すと、大きな本棚には絵本がぎっしり。手作りかばんや絵はがきも。

窓から差し込む木漏れ日が、そこらじゅうの壁や床に差し込んでいた。風に吹かれてゆらめくさまは、まるで影絵芝居のよう。ほお~としていると、声を掛けられた。

「いま、絵本おみくじをやっているので、良かったらひいてみてください」

渡されたおみくじには、「吉 」。「雨が降っても 雪が降っても それなりに良いことがある 大丈夫」。おすすめの絵本も紹介されてあった。

It’s OK.

最近、この言葉がお気に入り。魔法のように繰り返している。いろいろあるけど、大丈夫。そう思うようにしている。

隣のテーブルでは、絵本を開いて3人の女性がおしゃべり。電車の絵本がテーマで「撮り鉄」がどうの、こうの。途切れ途切れに聞こえてくる。

帰り間際に3階のギャラリーのことを聞いてみたら、お店の人が案内してくれた。「大人のための絵本をご紹介しています」とのこと。今はコロナ禍のご時世なので常時オープンは難しいみたいだけれど。

新しい街が好きになれそうだな…。

すっかりほっこりした気持ちになって、弾んだ足取りへ家へ帰った。



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