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夜廻三 考察 思い出の中の少女

 今回は夜廻三のヒロイン(?)、思い出の中の少女として紹介されるお姉ちゃんについて考察したいと思います。ネタバレ沢山あるのでご注意ください。

プレイして分かること

お姉ちゃんが人面鳥に
  • お姉ちゃんが街に来た主目的は1年ほど前に行方不明になった母親を探すこと。またユズのことも探していた。

  • ユズが小さい頃は一緒に過ごすことが多かった。

  • ユズが正しい思い出を思い出さない限り、屋上から飛び降りて死に続ける。

  • 母親は「森」の中で死亡していることを確認した。

  • 呪いが進行すると「コトリ」と呼ばれる人面鳥と似た姿になる。

  • お姉ちゃんの呪いは鈴を返しても解けなかった。

 エンディングまでプレイして確実に分かるのはこのあたりでしょうか。これらの情報を元にしてお姉ちゃん周りを考察していきたいと思います。

ととのった字のメモ、丸文字のメモ

お姉ちゃんのメモ

 ととのった字はお姉ちゃんの母、丸文字はお姉ちゃんの残したメモだと推察されます。ととのった字のメモ②では屋上で空を見たことの後悔が書かれています。この物語の始まりはお姉ちゃんの母が屋上で写真を撮ってしまったことなので、恐らくそれについての後悔であり、母親の言葉だろうという予想です。…ただ母親の他にも似たようなことをしてしまった人がいてその人のメモかもしれないので確定ではないですが、多分そうなんだろうな~という程度です。
 丸文字=お姉ちゃんは色々根拠があります。メモ⑤「あの子にはみえないものがみえている」はユズに何故か見えているムギのこと、メモ⑦「空の写真は本当だった」は母の写真のこと。メモ⑧「森へ行ったことを後悔してない。あんな母だけど、わたしはどうしても会いたかった」なんて書けるのはお姉ちゃんしかいないですね。森で亡くなっていたのはお姉ちゃんの母と確定してますので。

主人公との関係性

 恐らく実の姉妹、かな?ぐらいです。そう考えるとしっくりくる描写はあるのですが、確信まではいかないかなぁという感じです。しっくりくる点は以下2つ。

1.ユズは父と、姉は母と暮らしている

 冒頭でユズは「お父さんを起こさないように」等と言ってますが、母のことは全く出てきていません。恐らく父子の二人暮らしだと分かります。対してお姉ちゃんも父の話は一切しません。母が1年近く行方不明なんていう緊急事態にも関わらずです。これは親が離婚してユズは父と元の家に残り、お姉ちゃんは母と別の街に行ったということではないでしょうか。また丸文字のメモ③「自分の家をすぐに思い出せなかった」は、お姉ちゃんが廃ビル屋上で会ったユズを家に送るときの心情と思われます。そして丸文字のメモ⑧で「あんな母」呼ばわりしてますので、恐らく離婚の原因は母側にあったのではと考えられます。

2.小さい頃、一緒に居すぎ

 思い出では常にお姉ちゃんと一緒。いくら近所に仲の良いお姉ちゃんがいるからといって、四六時中一緒にいて街のあっちこっちに行ってる、というのは考えづらいです。実の姉妹であれば納得行きます。

 くらいですかね。というかこの姉妹説は意図的に色々ぼかしたのかなと考えてます。今作から主人公のキャラメイクができるようになったため、プレイヤーによって「実の姉」でも「近所のめっちゃ仲良いお姉ちゃん」でも通るようにしたかったのかな、というのが理由です。ですのでここは各プレイヤーがそうあって欲しい関係性が事実、ということでいいんじゃないかと思います(考察とは…?)。

エンディング後のお姉ちゃん

お姉ちゃんは呪われたまま…

 鈴を返してもお姉ちゃんの呪いは解けなかった、というのは事実です。解けていないということは、全てを忘れて人面鳥になった、ということです。ここで問題なのは、作中に現れた人面鳥「コトリ」は、お姉ちゃんと同一個体か否か、ということです。そして私は同一個体であると考えます。その根拠は、

1.人面鳥は全ての時間を観測する

 そもそも人面鳥ははるか昔から存在して人々が盗みをしないように空から見張っていると伝えられています。なのに現代のお姉ちゃんがコトリなのはおかしい…とはなりません。何故なら人面鳥は「全ての時間を観測する」能力を持つからです。現代でお姉ちゃんがコトリ化しても、コトリは過去を観測できます。観測中のコトリが目撃されて伝承となった、という流れなら筋が通ります。またお姉ちゃん自身、ユズの「本当の思い出」でも語っていましたが「もし過去にもどれたらってよくかんがえるよ・・・」とユズに漏らしています。このことから全時間観測能力は呪いによって与えられる、というよりはお姉ちゃんの願望が神の力によって具現化したものではないかと考えられます。

2.同じ名前

 丸文字のメモ⑥でわかるように、お姉ちゃんの名前もコトリです。メモでは偶然なんて書かれてますが、同じ個体なんですから必然です。すべてを忘れてしまったコトリですが、ふと何かの拍子に自分の名を思い出すようなことがあり、それが伝わったのでしょう。

3.人面鳥の挙動

夜廻三公式サイトより。

 画像は公式サイトより。逆説的に考えると、「記憶があるエリアであれば通してあげる」ということになります。つまり、思い出すきっかけになる道具がないと「ここはまだだよ」って伝えているということで、ユズの味方ムーブですね。

4.デザイン

夜廻三公式サイトより。

 この画像も公式サイトより。よく見ると緑成分多めですね。お姉ちゃんの髪色です。そして「誰か」はユズのことでしょうね。

 ということで、コトリお姉ちゃん=人面鳥「コトリ」でまず間違いないと思います。そして考えれば考えるほど、お姉ちゃん復活エンドはないんだなぁって寂しくなります…
 ただお姉ちゃんは死んだとか消えてしまったとかではなく、神の使いという高次の存在になって、現在も過去も未来も、人々を空から見守るまさに天使となったのです。そう考えると少し救われる気がします。

まぶたの裏で、君が死ぬ

死に続けるお姉ちゃん

 本作キャッチコピーですね。これは「ユズが全てを思い出さない限りお姉ちゃんが死に続ける」ことを意味していたんですね。ただ、普通にプレイしていても何で死に続ける必要があるのか、全然わからなかったです。呪いはあくまでも記憶喪失と鳥化であって、屋上から投身し続ける呪いはないですからね。そこでほぼ妄想ですが、死に続ける理由を考えてみました。以下、「お姉ちゃんが自殺すると何が起きるか?」です。

  1. お姉ちゃんが自殺する

  2. そのまま死ぬと人面鳥が誕生しなくなる

  3. 神さまにとってそれは困る(人面鳥は過去にも既にいて確定事項なので、パラドックスが起きてしまう)

  4. 神さまが時間を巻き戻してお姉ちゃんを復活させる

 となるのかなと。そしてお姉ちゃんが何故自殺するかというと、それはユズが「本当の思い出を思い出さなかった時」です。そして上述のようにお姉ちゃんが自殺するのは呪いとは無関係のため、自分の意思です。お姉ちゃんの目的は、「ユズの呪いを解くこと」です。呪いを解くのは「朝の6時まで」と時間制限があります。これらのことから導き出せる結論は…

お姉ちゃんは自分が死なせてもらえず、時間が巻き戻ることを理解した上で、ユズが呪いを解くまでの時間稼ぎをするために、ユズが本当の思い出を思いだすまで自ら死に続けている。

 です。また今作ではイベントをこなしたときにだけメニュー画面の時計が進みますが、アレはゲーム的な都合ではなく、「ユズをずっと観測しているお姉ちゃんが、ユズが思い出に近付いた時だけ死ぬのをやめて時間を進めている」という演出だったのです。

………お姉ちゃん、ありがとう…………………………

終わりに

 考察は以上になります。読んでいただきありがとうございました。お姉ちゃん、いいですよね。すごい魅力的なキャラクターだと思います。また小説版が出てもっと深いあれこれや考察ができますように…
 最近アレンジした夜廻三オープニングテーマの曲を貼って終わりたいと思います。


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