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ポエトリーマガジン

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写真と言葉で伝えるポエトリーをご紹介していきます。
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#ローカルメディア

私は自然の一部にはなりたくなかった

ここから遠く、存在が小さくなるまで。 離れてしまえば、無感動で 離れてしまえば、気配さえもなかった。 静寂の世界で、誰にもじゃまされず 心を動かすこともない。 きっと、もう傷付きたくはなかったのだ。 ・ だけど離れた場所で、ただ傍観していると 遠くに見える世界は、止まってみえた。 街の喧騒も、誰かの笑い声も 無意味なおしゃべりと、 それを繋ぎ止める相づちも。 ・ 何も聞こえない無音の今を、 ここで、ただじっと見つめている。 気がつけば身体の輪郭は巨大に広がって、 やがて透明に

深淵の光のライン

体はここにいながら 考えては消えて 考えては中断し 結局は、曖昧なままで 結論には至らない。 目には見えず カタチにもならず それならそれは ないも同じと言いながら。 やがて積もった思考の残像は 抽象的な線を描き 行くべき方向へと続いていく。 それは目にはみえず 暗闇の中でこそ光ると知る。 深淵に潜る思考の中に 光のラインが浮かび上がる その時を待つ。 photo by @takahiro_bessho text by Miho Kameguchi

いないものと、いるもの

かつてそこにあった気配が いまでもそこに残っている。 いないものと、いるものが、 同じ場所で生きている。 目に見えないものは、 ゼロではない。それは、 気づかぬところでなぐさめて、 気づかぬところで励まして、 いないものと、いるものが いつも味方でいてくれた。 わたしが決めたことは、 わたしだけが決めたのではない。 顔を上げて見渡すと、 いないものと、いるものが わたしの前と後ろに広がっていた。 わたしはふりこのように、 その真ん中に立って、 わたしが決めた!と叫んでい