マガジンのカバー画像

ポエトリーマガジン

5
写真と言葉で伝えるポエトリーをご紹介していきます。
運営しているクリエイター

#写真

アから始まる

視線を変えて、 広い場所に心を向けて。 いまにいながら、旅をする。 かたちを持たないイメージは、 泡のように消えていくけれど。 わたしがそれを「ア」と名づければ、 ここにカタチが生まれていく。 text&photo  by Miho Kameguchi

私は自然の一部にはなりたくなかった

ここから遠く、存在が小さくなるまで。 離れてしまえば、無感動で 離れてしまえば、気配さえもなかった。 静寂の世界で、誰にもじゃまされず 心を動かすこともない。 きっと、もう傷付きたくはなかったのだ。 ・ だけど離れた場所で、ただ傍観していると 遠くに見える世界は、止まってみえた。 街の喧騒も、誰かの笑い声も 無意味なおしゃべりと、 それを繋ぎ止める相づちも。 ・ 何も聞こえない無音の今を、 ここで、ただじっと見つめている。 気がつけば身体の輪郭は巨大に広がって、 やがて透明に

深淵の光のライン

体はここにいながら 考えては消えて 考えては中断し 結局は、曖昧なままで 結論には至らない。 目には見えず カタチにもならず それならそれは ないも同じと言いながら。 やがて積もった思考の残像は 抽象的な線を描き 行くべき方向へと続いていく。 それは目にはみえず 暗闇の中でこそ光ると知る。 深淵に潜る思考の中に 光のラインが浮かび上がる その時を待つ。 photo by @takahiro_bessho text by Miho Kameguchi

いないものと、いるもの

かつてそこにあった気配が いまでもそこに残っている。 いないものと、いるものが、 同じ場所で生きている。 目に見えないものは、 ゼロではない。それは、 気づかぬところでなぐさめて、 気づかぬところで励まして、 いないものと、いるものが いつも味方でいてくれた。 わたしが決めたことは、 わたしだけが決めたのではない。 顔を上げて見渡すと、 いないものと、いるものが わたしの前と後ろに広がっていた。 わたしはふりこのように、 その真ん中に立って、 わたしが決めた!と叫んでい

孔雀の見つめる先

つくられたものではなく、 そのままで美しい。 生きている緊張感を みなぎらせているから。 何かに集中している姿って、 体ぜんぶに「意志」がみなぎっている時。 完成させる、負けない、やり遂げる、失敗したくない。 いろんなモヤモヤをぜんぶ取っ払った先に、 きっと何かがみえるのかな? まずは、モヤモヤを消し去るためにも、 何度も何度も積み重ねていって、 もう自動的に体が動いてしまうぐらいになったら、 こんどは新しい世界が待っていたりするのかも。 photo by Michiko