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主語がデカいのは受け手のせい
主語がデカい(大きい)とは、「本来は自分だけの意見であるはずのことを、さも大勢が主張しているように言い換えるさま」(goo辞書参照)のことを指すスラングである。
主語がデカいと、偏った意見が捻じ曲げられて意図せず拡散される危険性があり、たびたび炎上の元となっている。
辞書的な意味からしても、主語がデカくなってしまうのは発言者の責任であると考えられているようである。しかし、必ずしも発言者が悪いわけではなく、むしろ受け手の問題である可能性が高いと、私は思っている。
「男はバカだ」という一文を例にとって考えてみよう。これは一般的に主語のデカい文だと捉えられる。なぜなら「全ての男性」を主語に置いているように見えるからだ。しかし、そこに日本語の曖昧さとも言うべき落とし穴がある。
1.平均的な視点を考慮しているか
「男はバカだ」とツイートしたときに返ってくるクソリプに「バカな女もたくさんいますよ」みたいなのが来るはずだ。そんなのわかっとるわい!男性にもバカもいれば頭いい人もいる。もちろん女性にもバカもいれば頭いい人もいる。「(平均的に考えて)男はバカだ」という意味である可能性を考慮しよう。
2.帰納的な視点を考慮しているか
SNSでは自分の意見を自由に表明できる。だから経験則に基づく意見を言うことは何も問題はない。逆に言えば論文などのソースを示さない限り経験則による個人の帰納的な意見だと思っていいだろう。「(帰納的に考えて)男はバカだ」という意味である可能性を考慮しよう。
3.例外的な視点を考慮しているか
「例外のない規則はない」と言うように、多くのものには例外がある。ということは意見についても多くの例外が存在するということだ。「(例外を除いて)男はバカだ」という意味である可能性を考慮しよう。
4.誇張を考慮しているか
少し過激なことを言って面白くする誇張という表現がある。全てではなくても全てと言ったり、一場面を指していつもと言ったりすることがある。「(一部の)男はバカだ」という意味である可能性を考慮しよう。
5.文末の省略を考慮しているか
日本語は曖昧な言語であり、文章のあらゆる単語が欠落しやすい。「男はバカだ」という文末が断定系であっても、「〜と思う」が省略されている場合や、「〜かもしれない」が省略されている場合だってある。一般論でない可能性を考慮しよう。
6.見えない文脈を考慮しているか
SNSでは文脈がなくても投稿することができる。そのため、「男はバカだ」と言ったときに、もしかしたら「クラスの男」かもしれないし「彼氏」かもしれない。それは文脈がないため判断のしようがない。これについても一般論でない可能性を考慮しよう。
7.隠れた感情を考慮しているか
「男はバカだ」と言ったときそれは本心だろうか冗談だろうかわからないことがある。文脈からわかる場合もあればわからない場合もある。主語がデカいときは間に受けない方が賢明だ。
8.文字数制限を考慮しているか
1〜7までの内容を踏まえて「男はバカだ」を具体的に例示すると「例外はあるが、帰納的に考えてクラスの男の一部は平均的にバカだと思う(笑)」となる。これでは冗長であり逆に何が言いたいのか伝わらない。また前後に文がある場合、文字数制限から文をスリムにする必要がある。主語がデカい文が増えてきたのにはこうした文字数制限の影響もあるのかもしれない。
主語がデカいのはもちろん、極端なことを言う発言者の問題のときも大いにある。だからといって受け手に問題がないわけでなく、文をそのままの状態で受け取り、文意を真面目に考えない人たちもいることを忘れてはいけない。
最後になるが、ここまで読んできて「主語がデカいのは受け手のせい」というタイトルをそのままの意味で捉える読者はいないはずだ。「主語がデカいのは受け手のせい(の場合もあるはずだと思う)」と受け取ってくれれば炎上することもないだろう。