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自動運転と月極駐車場の未来!-後編-

株式会社ハッチ・ワークの代表取締役社長、増田です。

前回の記事では、自動運転の歴史や現状をまとめました。後編はさらに深堀してみたいと思います。


交通弱者救済における自動運転の価値

自動運転が一般化することの社会的な意義について、もう少し掘り下げます。交通弱者の救済についてです。

高齢ドライバーの運転免許証自主返納件数は、2019年に60.1万件でピークを迎えた後、減少を続けているようです。おそらく、2020年の新型コロナウイルスの流行により外出機会が減ったことが、返納意識の低下に影響していると考えられています。そのため、警察庁は返納後に取得できる運転経歴証明書の利点をPRし、返納を促しています。

この運転経歴証明書とは、「運転免許の申請取消し(全部)を行った日又は運転免許の有効が切れた日から、過去5年間の運転経歴を証明するもの」で、公的な身分証明書として利用できるほか、提示することで料金の割引などの支援措置を受けられるそうです。

運転はできませんが、免許証に代わる証明書を交付することで、高齢者に少しでも納得してもらいやすくする狙いでしょう。

しかし、高齢者が運転する乗用車がショッピングセンターに突っ込む事故や、軽乗用車で甲府市役所庁舎に衝突する事故なども起きており、アクセルとブレーキの踏み間違い事故は後を絶ちません

交通インフラの整っていないエリアでは、免許証を返納してしまうと移動が著しく困難になることは言うまでもありません。結果的に返納が遅れてしまう一因になっていると推察します。

そういったこともあって、事故の軽減に期待を寄せられているのが自動運転です。レベル5まで到達すれば、誤操作による事故などの問題は一気に解決されるでしょう。

<引用>産経新聞 「右肩下がり」が続く運転免許証返納 コロナ禍の影響と事故報道の〝慣れ〟への危機感(2024/3/21)

運転手不足の問題も自動運転で解決?

前回も少し触れましたが、公共交通機関における運転手不足の問題は世界的に深刻化しており、ここでも自動運転が注目されています。繰り返しですが、自動運転タクシーはアメリカのウェイモ、そして中国のバイドゥが先行しています。日本はというと、直近ではトヨタとソフトバンクの共同出資で設立した「MONET Technologies」が、2024年後半にトヨタ車両を使用した公道実証を行うと発表しましたが、それ以外に目立った動きはありません。

しかし、日本は自動運転バスに対する取り組みが盛んです。これにはいくつか理由がありますが、主に「バスが持つ輸送力がタクシーに比較して大きく、かつ地方の対策に最適なこと」と、「技術的な導入のしやすさ」が挙げられます。

地方は都市部に比べ、一層運転手の確保が困難な状況に陥っています。さらに利用者の減少も問題になっており、減便や路線の廃止もやむなしというバス会社も少なくありません。自動運転によって、運行コストを抑えながら地域のインフラとしての役割を維持することが期待されています。

また、バスは決まったルートやスケジュールで運行されるため、タクシーに比較すると商業運航が簡単だとされています。ルートが固定されていることで交通状況が予測しやすいほか、データ収集も効率的に行うことができるため、早期に安定した運行を実現できる期待値が高いということですね。

ここ最近もバス会社や自治体でさまざまな動きが出てきています。参考記事は以下でご覧ください。

自動配送ロボット

また、人間が乗り込む以外の自動運転車にも注目です。例えば自動配送ロボット。配送業者の労働力不足解消や買い物難民の救済につながる、こちらも社会的な意義の大きい取り組みです。

2021年頃から少しずつ実証実験が始まっています。簡単に利用イメージをまとめると、

1.利用者が欲しい商品をアプリなどを通じて購入
2.店舗で注文を確認し配送準備
3.自動配送ロボットが出発
4.利用者に通知が届く
5.自動配送ロボットのロックを解除して商品を受け取る
6.自動配送ロボットが帰還

といった流れです。オペレーターが遠隔で監視、制御するシステムによって異常時にもすぐに対応できるようにしています。

2022年末にはENEOS・ZMP・エニキャリの3社で、特定のエリアで飲食店や小売店を巻き込んだ、4カ月にわたる自動配送ロボットの長期実証も行われていました。

こちらも引き続き注目です。

自動運転時代の月極駐車場が担う役割

さて、ここからは構想段階ではありますが、私たちは以前から自動運転が普及した場合、月極駐車場が重要な役割を担うと考えてきました。

そう、乗り降り場所や待機場所です。

まさか走行中の自動運転車に飛び乗るわけにはいきませんから、どこか安全な場所に駐停車するはずです。また、空車の状態で移動し続けることもあるとは思いますが、効率的に待機する場所も必要ですし、当然夜間などの運行時間外は駐車場が車庫になるでしょう。

また、自動配送ロボットが一般に普及していくことを考えると、効率的に商品をピックアップして配送するためには、多くの設置場所が必要になるはずです。そう考えると、月極駐車場の空き区画やデッドスペースが活用される可能性も大いにあると思います。

いずれにしても、月極駐車場が車庫以外の新たな役割を担うことは、私たちが提唱する「ファーストワンマイルステーション構想」に直結します。

さぁ、想像してみましょう。

「スマホから近くの駐車場を指定して、自動運転車を呼び出す」

なんだか夢がありますよね。

自動運転車でくつろぐイメージ

「月極駐車場が未来の社会で重要な役割を担う」その時に向けて、コツコツとデジタル化を進めていきます。ではまた。