「HatchEduだからこそ、当事者理解を深めながら爆速でプロジェクトを立ち上げることができました」ー吉川 洋佳さん(大学生)
今回は、教育プロジェクト立ち上げコース(当時)に参加した、吉川洋佳さんにお話を伺いました。
医学生が教育課題に出会うまで
吉川洋佳さんは、小児科医をめざす医学部の6年生です。福島県で育ち、両親ともに医療従事者という環境で育つ中で、自然と医師をめざすようになったとのこと。その一方で、言語の神経基盤や子どもの言語獲得の研究に関心をもち、さらに、課外活動として参加していた学生団体「瀧本ゼミ」で政策立案についても学ぶ中で、「ワードギャップ」といわれる、生育環境に起因する子どもの言語運用力の差という社会課題に出会いました。
ちょうどこの問題と出会った頃、吉川さんが医師としてどう生きたいかというビジョンを考えるきっかけとなる別の出来事がありました。
自分のめざしたい方向性がみえてきた吉川さんは、さっそく米国の小児科領域の研究者が書いた「ワードギャップ」に関する論文を大量に読み、課題に関する理解を深めていきます。同時に、日本でこの問題に取り組もうとしたとき、日本の医療の世界ではこの課題に共感や関心を示してくれる人が意外に少ないことに気づき始めました。
そのタイミングでHatchEduの第一期生募集の案内をフェイスブックで見かけ、「医療や公衆衛生の課題としてではなく、教育の課題としてこの問題に取り組んでみるのもよいかもしれない」と思った吉川さんは、HatchEduのAコース(教育分野での起業をめざすコース)に応募しました。
ユーザーが本当に必要としているものをつくる
しかし、HatchEduに参加してしばらくは、試行錯誤を繰り返すことになりました。実は、吉川さんは、HatchEduに参加する以前、当事者である要支援家庭の子どもや保護者とはほぼ接点がなく、当事者の生活実態などについて具体的なイメージがなかったため、当初はどうしても研究者目線になっていたそうです。
人生のビジョンを変えてくれた3ヶ月
この過程の中で、HatchEduのメンターからの支援は吉川さんにとって大きな支えになりました。
また、メンターのアドバイスや伴走に加えて、HatchEduのコミュニティで得られた研修機会や仲間とのつながりも吉川さんにとって大きな意味がありました。
HatchEduでのプロジェクト立ち上げ経験は、吉川さんの「小児科医としてどう生きるか」というキャリアビジョンにも大きな影響を与えました。
医師国家試験を控える時期にHatchEduに参加し、両立できるか不安はあったものの、3ヶ月で驚くほどプロジェクトを前に進めることができ、達成感が得られたという吉川さん。「やってみたいことがあれば、先延ばしにせずぜひ参加してみてほしい」と言います。
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メンターからのメッセージ:
当初、吉川さんは、強い課題意識をもちつつも、「他の参加者の皆さんみたいに、教育や、事業、起業というものにも関わったことがないですし、この先も医師になる予定なので、一体私はどうこの課題に取り組めるのだろう…。」とおっしゃっていましたね。教育x起業というフィールドにおいては、新しいことや馴染みのないことの連続で、不安や戸惑い、迷いも抱えてらっしゃたと思いますが、吉川さんの最大の強みは、「目的のためならば自分をいくらでも変えていける力」だと感じました。また、エゴのない、純粋な、「子ども達の力になりたい」という動機も、周囲を惹きつけるビジョンの源になったのだと思います。応援されるリーダーとなる資質を存分に磨いて、自分らしい社会課題への関わり方を見つけ出すというドラマチックな現場に立ち会うことができ、毎回こちらが刺激を受けるような3ヶ月でした。この先の吉川さんのチャレンジも心から応援しております!
(メンター:Chelsey Maki Lin)
※こちらの記事は HatchEdu からの転載です。