シンプルと機能美の頂点。
スマートフォンでの電子決済などに慣れ、財布を使うシーンはだいぶ減った。現に、会社のみの平日は財布を持っていかず、土日も免許証を入れているから一応持っていく程度である。
そこで、所謂コンパクト財布を探すことにした。
必須要件は、1,2回の会計で出たお釣りを入れられること(過度な小銭については、募金箱に入れる等で対処する)。
財布に求める機能
会計2回のおつり程度の小銭収納力
現金決済=少額決済になると思うので、多少入れたい。紙幣の取り出しやすさ
紙幣は数万円程度を安心の為に入れたい。5枚前後のカード収納
保険証、免許証、クレジット一枚程度は必須。
これまでの財布の問題点
現在使用中の財布は、携帯用のL字ウォレットと、持ち物のミニマル化に合わせて出番の減った長財布である。
今回は、携帯用のL字ウォレットの置き換えが主目的となっている。この財布の問題点はいくつかある。
まずは、紙幣の扱いづらさである。L字ウォレットなので、もちろん2つ折にする必要がある。また、重ねると一番外側のしか取り出せなくなるので、1枚ずつ分ける必要がある。つまり、財布を開くと、紙幣の枚数分ひだができる。また、L字のファスナーの無い2辺は内側に皮を巻き込んで、縫製している。ここが紙幣の入れづらさに繋がっている。紙幣がしっかりと入っていない場合、ファスナー部分に紙幣の角が干渉し、破けていく。
2つ目は、過剰な収納力である。コンパクト財布として、用意したわけではあるが、購入時からキャッシュレスが進んだ現状では、収納量に余剰分が生まれてしまっている。加えて、L字ウォレットは、ファスナーへの干渉防止や縫製の都合上、空間に余裕がある。つまり、収納力を上げるために厚さ方向の余裕、使いやすさと使用の都合上で平面方向の余裕の2つの余裕が設けられている。
現在のL字ウォレットの問題点は上記の2点である。今後も保管は続けるが、長財布の問題もまとめる。
一つは、単純に大きいことである。厚さを嫌い平面方向に収納力が拡大されている長財布を選んだが、結局使うカードなんかは片手で数える程度でしかなかった。小銭ポケットなんかはたくさん入れられる分、熱くなっていることに気がついたときには、大量の小銭が入っていた(その度にレジで現金を処理するイベントを個人的に開催し、会計に時間がかかっていた笑)。大きいということは、収納箇所の制約も生じるわけで、持ち運び時にも障害になることが多く、ストレスの原因となっていた。
コンパクト財布探し
今回、財布に平面・厚さ両方向のコンパクトさを求めたため、自然と一般的な財布とは異なる構造のものが候補に上がった。嫌だった訳では無いが、コンパクトさを追求した製品が少ないのか、所謂ブランド品は候補に上がらなかった。
m+
とにかくコンパクト財布としては、ここのが多く検索に引っかかった。確かに手のひらサイズやシンプルながら、どこか優しい可愛さのあるデザインは多少惹かれた。しかし、これは収納力を下げずにできる限り小さくする設計であり、面積では手のひらサイズながら、厚さ方向が自分の理想に適していなかった。。(一応、でかけた先で実物を見ようとしたが、お店がやっていなかった。まあ、年末でしたし、しょうがない。)lemma
独特な構造のコンパクト財布が欲しくなったきっかけとも言える財布。YouTubeでのレビュー・紹介動画で知った。和紙を思わせる表面の見た目に、ある程度コンパクトそうなデザインに惹かれた。abrAsus
コンパクト財布、ミニ財布の代名詞、ハシリともいうような財布。有名どころはそれだけ、ものがいいという保証でもあり、安心して買えると思った。しかし、どこかコンパクトさのためにデザイン性が損なわれている感じや、勝手ながらせっかくだし人と容易にかぶるのは嫌だということで、候補からは外れた。
その他、諸々、コンパクト財布、コンパクトウォレット、ミニウォレット、思いつく限りの関連ワードで探し、数少ないレビューを見た結果、HITOEが第一候補となった。
SYRINX HITOE FOLD Aria -Foschia-
畳んだ状態を見ると、一見ただの2つ折り財布で、ブランドロゴ等も無い、極めてシンプルな財布である。しかし、この財布は開き方、カードの保管方法、諸々のアイディアが詰め込まれた、機能美が極まった作品だと感じた。財布の収納自体は、紙幣ポケット、硬貨ポケット、カードポケットのシンプルな構成。前述の要件を満たす収納力になっている。この財布の面白いところはまずが財布の開き方である。ボタンのような金具はないが、ただ開こうとしては開かない。というのも、財布を開いたときの短辺には片側がカード、もう片方には皮の引っ掛けが配置されている。この引掛けをカードの角に引っ掛けることで閉じられる。これによって、勝手に開かないのである。同時に、カードの落下防止にも役立っている。どうやって、この引掛けを外して、財布を開くかというと、カードポケットのある面を谷折りにするような形で折り曲げるのだ。こんな財布は他には無い。
このカードポケット、引掛けを外してもカードが落ちない仕組みになっている。この財布を知らない人からしたら、落ちないのが不思議でならないであろう。このカードポケットの見えない部分に秘密があるのである。ポケット内側がなめらかではない皮になっているのである。これが強力な摩擦力を生み出し、落ちにくくしている。数枚は入れないと、接触面が減り、落ちやすくなるが、使用シーンを想定したら、数枚は入れるので、問題はない。硬貨ポケットも金具はないものの、落ちにくさとアクセスのしやすさの両立された工夫がされている。ポケットに被さる形で皮のポケットが設けられているのである。これが硬貨の落下防止でもあり、金具はないので、容易に硬貨が取り出せる。ポケットは硬貨一枚分かわずかに頭を出す程度なので、視認性も悪くない。
長ったらしくなったが、この財布は機能美が極められた作品でありつつ、デザインもミニマルさが好みであった。そして、この財布を第一候補に選んだ理由が"どこでもショールーム"というサービスがあったことである。ちょこっと述べたが、実物を見ようとしたものの見れない財布があった。また、この手の財布の多くは小さな工房で作られるている事が多く、実物を見に行くのは難しい。一方、SYRINXでは、各財布をレンタルのような形で、試すことができるのである。
実物サンプルを試せる安心感
私は、商品ページの説明だけでも、惹かれる点が多かったため、どこでもショールームを利用し、"HITOE FOLD Aria -Foschia-"を取り寄せた。
さすがに数万ともなると、公式の情報ばかりでは買う決心がしづらい。自分の使い方では、なにかがストレスになるかも。。などの不安を解消するためにも、このサンプルを試せるサービスはとてもありがたかった。送料だけなので、納得のいくサービスだと感じた。
実物を試すと、更に気づきがあった。この財布はカードポケットのある面を折り曲げることで開くのだが、この折り曲げのために硬貨ポケットとカードポケットの間に余白が設けられているのだ。そして、この余白が過剰でも、不足気味でもないのである。これによって、適度な折り曲げやすさが実現されていたのである。もし、余白が過剰であれば、この財布が平面方向におおきくなるか、硬貨ポケットが浅くなるか、なにかしらのデメリットが生じていたであろう。逆に余白が不足していたら、財布が折り曲げづらく、開きにくいものになっていたであろう。
このようにストレスの無い使いやすさと、こういった財布にユーザーが求めるコンパクトさを両立させるデザインが、静かに配置されている。
結論
私は、SYEINXの"HITOE FOLD Aria -Foschia-"を買うことに決めた。(この記事の執筆は、サンプルの返送直前、商品の決済直後)
財布を持っていても使うかわからない今日に、持ち歩くためには、持ち歩きたくなるデザインがまず欲しいわけだが、この財布のミニマルデザインと主張しすぎない皮の見た目は自分的に一番であった。
そして、最低限の収納力を最小の体積に実現したこの財布は、実用上の自分の必須要件を満たすものであった。
サンプルも試し、私はこの財布を買った。今後、この財布に慣れる期間は多少必要であると思うが、コンパクト財布の生活を楽しんでいきたいと思う。
おまけ
結局買ったが、理想を100%を満たしているわけではなかった。
まずは、素材である。レザーが好きではない。扱いづらさなどがイメージにあるからである。また、多種多様な材料が出てきている今なら、新しい材料でもっといいものがあるのではないかと、期待感があるからである。また、調べる中でプエブロレザーという種類を知り、和紙を思わせる見た目はもっとも好みであった。今回、購入した製品にはプエブロレザーがなかったが、ちょっと気になる。。
そして、余裕のない収納である。しっかり入れれば、はみ出しがなく、きれいである。しかし、ちょっと気を抜くと、はみ出す。。収納物のサイズ≒収納部のサイズであるから、コンパクトさのためにしょうがないわけではあるが、今後の使い慣れに期待である。ちなみに、財布を使う頻度が減ったからこそ、こういう財布を求めるわけで、2週間のテスト期間では財布を使う回数が少ないので、使い慣れるには至らなかった。しょうがないわけではあるが、独特な問題が生まれたなぁと思った。まあ、サンプルでテストできないよりかはマシである。どうか他製品も見習ってほしい。
新しい財布を使うのが楽しみだし、せっかくなら"その財布なに?"ってだれかに話題にしてもらいたいな笑 あ、でもそもそも財布を出すシーンが少ないからこの財布を買ったのか。難しい笑
あとは、買ったばかりで、発送されていない今から言うのはあれだけども、電子決済が普及しつつある時代に合わせて、新しいカテゴリを生み出すような財布の誕生がたのしみだなぁ。鍵の収納とかもできたら嬉しいし、身の回りに溢れた電子機器に馴染むデザインなんかもおもしろそうだなぁー。
あと、私はシンプルが好きだけど、ただシンプルが欲しいわけじゃない。シンプル+αな製品が欲しい。マークがあるとかではなくて、線があることで機能が良くなるようなαである。この琴線に触れる製品は、おそらくこの方面にアンテナを貼らないと探せないし、不便そうに見えて、万人受けはしないだろう。だから、自分が買うものは、自分で選びたい。
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