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はたらくFUND 2023 Impact Report (1)

ご挨拶
はたらくFUNDは、少子高齢化、労働人口不足といった喫緊の社会課題に着目し、「働く人」を中心に据え、子育てや介護等の様々なライフイベントを経ながらも「働き続けられる」環境作りと人材創出につき、投資の面からサポートし促進することを目的に、2019年に設立されました。
日本ではまだ事例の少ない多様な投資家が参加する本格的なインパクト投資ファンドとして、インパクト投資の実践を通じ、社会課題の解決に寄与すること、インパクト投資のエコシステムの構築に貢献することを目指し、取り組んでまいります。
(はたらくFUND ホームページ http://hatarakufund.com/)

当ファンドでは、ファンド出資者様向けに年に1度インパクトレポートを発行しております。今回はnoteでも、2023年度のインパクトレポートの一部を公開させて頂きます。

インパクトレポート全体の目次

1. エグゼクティブサマリー(インパクトサマリー)

第一部 インパクトを巡る最新動向
2. 本ファンドによるインパクト投資のエコシステム構築への貢献

第二部 本ファンドによるIMMの実践
3. ファンド概要
4. 本ファンドが目指すインパクト(社会課題・ToC)
5. 本ファンドにおけるインパクト測定・マネジメント(IMM)
6. 本ファンドにおけるインパクト測定・マネジメント(IMM)の実践
7. 新規投資先からの声

1.エグゼクティブサマリー(インパクトサマリー)

日本インパクト投資2号投資事業有限責任組合(以下、「本ファンド」)は、日本ではまだ事例の少ない外部投資家参加型インパクト投資ファンドとして、新生インパクト投資株式会社(以下、「新生インパクト投資」)及び一般財団法人社会変革推進財団(以下、「SIIF」)を共同運営者とし、株式会社みずほ銀行(以下、「みずほ銀行」)を運営者のアドバイザーに迎え、多様なLP投資家を招聘して、2019年6月に設立された。

少子高齢化、労働人口不足といった喫緊の社会課題に着目し、「働く人」を中心に据え、子育てや介護等の様々なライフイベントを経ながらも「働き続けられる」環境作りと人材創出につき、投資の面からサポートしてい る。

また、インパクト測定モデルの構築、データ収集の実施、意思決定への活用及びレポーティングを含むインパクト測定・マネジメント(IMM)の実践を通じ、インパクト投資の先行事例となり、日本のインパクト投資エコシステムの構築に貢献することを目指 し活動している。

本年度における本ファンドの活動ハイライトを以下の通り紹介する。

第一部 インパクトを巡る最新動向

2.本ファンドによるインパクト投資のエコシステム構築への貢献

2023年は、国内外におけるインパクト投資に大きな動きが見られた一年となった。
金融庁の「インパクト投資等に関する検討会」がその報告書として「インパクト投資に関する基本的指針(案)」をとりまとめ公表した他、官民連携の「インパクトコンソーシアム」が設立発起し、これが2024年以降の国内のインパクト投資の大きな流れを作る土台となる様相である。
また、内閣官房の「インパクト投資とグローバルヘルスに係る研究会」からの提言等を踏まえ、2023年7月のG7広島サミットの首相コミュニケにて「グローバルヘルスのためのインパクト投資イニシアティブ(Impact Investment Initiative for Global Health: Triple I for Global Health)の設立が発表され、9月に正式に立ち上げられた。開発金融機関(DFIs)をはじめ、民間セクターやその他の関連機関によるグローバルヘルス分野でのインパクト投資を拡大し、持続的な資金調達や、グローバルヘルス分野の社会課題解決に貢献することを目指すものであり、日本発のグローバルな流れを作る出発点と期待される。

加えて、各論としては、GSG国内諮問委員会の下に「インパクトIPOワーキング・グループ」が立ち上がり、当ファンドが提唱してきた「インパクトIPO」につき、インパクトスタートアップ、証券会社、監査法人、上場株ファンドマネージャー等が集い、インパクト投資業界のプレイヤーに限らず広くメインストリームのプレイヤーによる協議が行われたことは特筆すべき動きであった。
その他金融庁の検討会や内閣官房の研究会等の委員として各種省庁・業界団体・プレイヤーへの知見共有を行った。また、各論においても、本ファンドを実践の場として案件ごとに積み上げてきたことを市場形成につなげるべく動いている。
詳細は以下の通りである。

(1) GSG国内諮問委員会への参画
GSG国内諮問委員会は、The Global Steering Group for Impact Investment (GSG)の日本における国内諮問委員会としてSIIFが事務局を務め、調査研究・普及啓発・ネットワーキング活動を通じて、インパクト投資市場やエコシステムの拡大を促進してきた。本ファンドからはこれまでも賛同メンバーとして参画していたが、2020年度よりジェネラルパートナーが委員として参画している。
GSG国内諮問委員会では、過去10年間の活動を通じて、日本におけるインパクト投資の主流化にある程度の進捗が見られる中、インパクト投資のエコシステム拡大からインパクトエコノミーのエコシステム構築に注力対象を広げるため、委員を始めとする関係者が中心となって2025年度以降の新しい戦略を策定し始めている。

(2) GSG国内諮問委員会「インパクトIPO ワーキング・グループ」への参画
2023年7月から11月にかけて、計5回にわたり、GSG国内諮問委員会では「インパクトIPO ワーキング・グループ」を開催した。「インパクトIPO」は本ファンドから発生した造語である。本ワーキンググループは、上場後もインパクトを追求しながら、持続的かつ高い事業成長を遂げる企業が増加することを目指し、インパクト企業の上場時における開示のガイダンスを作成している(2024年1月に「インパクト企業の資本市場における情報開示及び対話のためのガイダンス」(草案)² を公表)。本ファンドからは、ジェネラルパートナーが副座長として議論をリードし、また、SIIFが事務局を務めた。

(3) 国内金融機関による「インパクト志向金融宣言」への参画
2021年11月29日に金融機関21社(2023年12月末時点総署名機関74社)が署名する形で発足した「インパクト志向金融宣言」において、ファンドメンバーがVC分科会に参画している。

(4) 金融庁の「インパクト投資等に関する検討会」への参画
2022年10月、金融庁は2020年12月に設置したサステナブルファイナンス有識者会議の下、社会・環境課題の解決やスタートアップを含む新たな事業の創出に資するインパクト投資等の拡大を目的とし、「インパクト投資等に関する検討会」を新設した。本ファンドのジェナルパートナーが委員として参画している。2023年6月30日より本検討会としての「インパクト投資に関する基本的指針(案)」を公表し、同年10月10日まで意見募集を行った。
また、本検討会により、官民連携による「インパクトコンソーシアム」の設立が提案され、同年11月28日に設立発起された。「インパクトコンソーシアム」は、幅広い関係者が協働・対話を行う場として2024年より始動予定。

(5) 金融庁とGSG国内諮問委員会共催の「インパクト投資に関する勉強会」への参画
2020年6月より、金融市場関係者や行政関係者等によるインパクト投資に対する理解を深め、日本の金融業界の持続的な発展に資する推進の在り方について議論することを目的に、2か月に1回程度開催。SIIFが事務局を務め、ジェネラルパートナー及びGPアドバイザーが委員として参画し、日本の先端的なインパクト投資ファンドとしての投資活動を通じて得られた実務経験をもとに、日本におけるインパクト投資等の拡大に向けた方策を提案した。尚、本勉強会は2023年8月を最後に役割を終えた。

(6) 内閣官房の「インパクト投資とグローバルヘルスに係る研究会」への参画
2022年9月、民間のグローバルヘルス分野への投資拡大を促す取組として紹介できるような成果を出すことを目標、内閣官房健康・医療戦略推進本部が「インパクト投資とグローバルヘルスに係る研究会」を設置した。2023年4月に本研究会からの首相宛に報告書を手交し、2023年のG7広島サミットにて、これをベースに「グローバルヘルスのためのインパクト投資イニシアティブ(Impact Investment Initiative for Global Health: Triple I for Global Health)の設立が発表されるに至った。本ファンドのジェネラルパートナーが委員として参画し、また、新生インパクト投資・SIIF共にTriple I for Global Healthへの参加を表明している。

(7) 経済産業省の「J-Startup Impact」選定への参画
2023年10月、経済産業省では、インパクトスタートアップに対する認知向上や支援の気運醸成を目指し、潜在力の高いインパクトスタートアップに官民一体で支援を行い「J-Startup Impact」を新設し、ロールモデルとなることが期待される30社を選定した。本ファンドのジェネラルパートナーが選定委員として参画し、選定基準の策定から実際の選定に至るまでのフローに関与し、また、選定後のイベントへも積極的に参加し認知向上に協力している。

(8) その他の登壇・寄稿等
本ファンドメンバーは、日本におけるインパクト投資ファンドの先駆者として、インパクト投資の認知向上や、実践知の開発・共有のため、最先端のインパクト投資実務や学びについて、様々な場で登壇・寄稿をしている。


[1] 日本インパクト投資2号有限責任事業組合(GP)として、共同運営者である新生インパクト投資かSIIFが主催または共催をしたイベント、もしくはファンドメンバーが主体的に企画運営したイベントに限る。なお、SIIFはGSG国内諮問委員会およびインパクト志向金融宣言の事務局として、それらの団体が主催するイベントの運営にも携わっているが、ここではそれらを含めない。

[2] 「インパクト企業の資本市場における情報開示及び対話のためのガイダンス」草案 https://impactinvestment.jp/user/media/resources-pdf/Impact-IPO_word_JPN.pdf

はたらくFUND 2023 Impact Report (2) はこちら

https://note.com/preview/n3ea6db4e9f55?prev_access_key=e687b9372b55bfcec007739e4c63b1af


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