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19連勤目、仕事をやめたい気持ちとやめにくい気持ちと、
19連勤だった。明日も仕事をする。
昨日、大変に嫌な仕事をして、上司を見て「こんな人間になりたくねえ」と思ってしまった。
悲しかった。本当ならもっと尊敬をしたかった。
新卒で入った業界は、入る前から「ヤバい」と巷で話題の業界で、入ってみたら思いの外ヤバくなかった。
一昔前は噂通りのブラックな業界だったらしい。19連勤どころか半年ずっと休みなし、みたいなこともよくあったという。
今はそんなことはない。たまたまわたしが19連勤になってしまっただけで、それはわたしが仕事ができないだけなのかもしれない。
優秀であるつもりは1ミリもない。よくサボるし、よく喋るし、よくへらへらしている。
できないことも山ほどある。仕事を後回しにすることもある。
仕事ができないのはわたしのせいだ。実力不足、頭が悪すぎる、怠惰な性格と理由を上げていけばきりがない。
けれど、今の周りに聞ける人がいないという状況だけは、わたしのせいではない。
人手不足の業界だ。基本的に金がない。だから人を増やせない。
そして下っ端にどんどん仕事が積まれていく。
実働部隊はわたしと上司の二人で、上司は他の仕事も抱えていて、実質動けるのがわたししかいない。
時間のかかる作業は自然、わたしに集まってくる。
休みたい。寝たい。病院行きたい。
毎日それしか考えていない。
持病があるわけではないが、だいぶグレーゾーンの状態なので、完全に倒れる前に病院に行きたいと常々思っている状態である。
別の上司は、その状態が発覚するきっかけになった「仕事中に倒れる」というやらかしを見ているため、「病院行けてないんですよね」と愚痴ったら「それ聞いて、もっと上の人に言っといたけど、まだ休めてないのか」と言われた。
優しい上司だと思った。来月にはこの人の下に戻るけれど、それまで耐えられるのか急に不安になった。
弊社役員に、「今のお前の上司みたいにはなるな。反面教師にしろ」と言われた。
反面教師なんかいらないから尊敬できる上司が欲しいと思った。
この役員はわたしが小説を書いていることも知っていて、読んでくれて、「日本語がうまいな」と褒めてくれた。それから結構な頻度で話しかけてくれる。
わたしはこの人の弟子になりたいと思った。
けれどわたしは一年目で、役員は役員で、ここは会社だった。弟子にはなれそうにない。
かなしいかな、うまくいかないことが増えた。
仕事に集中できなくなった。やりがいが感じられなくなった。楽しくもなかった。金がたくさんもらえるわけでもなかった。何を目標に生きればいいのかわからなくなった。
食欲がなくなって、それでもまた倒れたら今度こそ死ぬと思ってやたらと食べている。
けれど、自分の身体はよくわかっている。おそらく正しい消化ができていない。
かつてストレスから胃腸がまともに働かなくなった時期を経験している。そのときと同じ感覚が腹にある。何を食べても美味しく感じられない。
こんな時代、こんな情勢で、わたしは生命を脅かされることはなく、それは幸福であるはずだ。
わかっているのに、わかっていることが苦しい。
誰もが幸せになるべきだ、その中にはわたしも含まれている。
死ぬために働いているわけじゃない。
誤解を恐れずに言うと、肉体はいつ死んでもいいと思って生きている。
ただ、精神だけは守りたい。
身体は壊れたら治す手段が昔に比べて増えた。
それなのに精神に関してだけは、壊れ方は増えているのに、治し方があまり増えていないように感じる。
それはそうだろう。目に見えないものを治すのは困難に近い。だから、壊さないことが大切なのだ。
もしかしたらもう壊れてるのかもしれない。
少し前のようには怒れなくなった。毎日毎日飽きもせず怒り続けてきたのに、何をされても烈火の如く怒っていたかつての勢いがない。
少しのことですぐ泣いていたのに、レ•ミゼラブルですら泣けなくなった。何度見ても嗚咽を漏らして泣いていたのに。
生きようと思える何かがほしい。
わたしはぜんぜん忙しくない。ただ長く働いているだけ。
それなのに苦しいのはなぜなのか。
また怒りたい。また泣きたい。
それができるようになるまで、きっと心の底から楽しい嬉しいとは思えない。
怒りだけがわたしのそばにあったのに。
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