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選挙の前に思うこと

 参議院議員選挙が7月10日と、あと10日あまり後に迫っていて、私のツイッターのタイムラインは選挙の話題でほぼ埋まっている。私自身、毎日、――ちょうど今、右足ふくらはぎが肉離れを起こして外出がままならず、ずっと家にいるので――選挙関連のツイートをしまくってる。ツイッター依存。よくはないなぁ。

 そんな中で思うことがある。今朝、こんなツイートをした。

 すると幾人かが「いいね」してくれて、幾人かが返信をくれた。

 私は自著の「選挙活動、ビラ配りからやってみた。『香川1区』密着日記」にも書いたけど、選挙のときに候補者が朝から晩まで長い選挙期間中に休みもせず、飛び回ってるのっておかしくない?と思って見ている。そりゃ、国会という場に出ることを決意した人たち。頑張ってそこへ行こうと、それこそ「必死に」なってるんだろう。それは分かる。休んでなんておられない。1秒でも長く、自分の名前を連呼し、顔を見知ってもらい、親しみを感じてもらいたい。私の思いを伝えたい!

 でも、今、この、命をも奪いかねない暑さの中、なのに「電気は足りてません」と脅かされ、「大丈夫だろうか?」とビクビクしながら電気をつけたり消したり、エアコンの設定温度も上げたりして使っている。電気代は日に日に値上がりしているのに、だ。さらに、私など、足が悪くてずっと家にいるわけで。

 なんで、どうしたって、政治家の人たちは何故あんなに元気なのだろうか? となんだか、遠い目になってしまう。

 今、私はすごく卑屈な気持ちだから、大声で、ああして朝から晩まで叫ばれれば叫ばれるほど、政治がなんだか遠くに感じられる。

 去年の夏、私は、私は日本をあきらめたくない! という気持ちで本を書いて出した。去年の今頃、ものすごい必死に書き直しとかしていた。覚えているけど、コラム部分を1章丸々小一時間で一気に書き直したりもした。

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 その気持ちに今も変わりはないし、なんとかしたい!とものすごく思ってる。思ってるけど、でも、政治は今、私たちに本当に寄り添おうとしてくれているのだろうか?と考え込んでいる。

 「私たちだって大変で、暑い中がんばってる。これ以上どうしてほしいの? これから先、あなたたちのために頑張りたいから、今、こうやって叫んでる! 分かってよ! こちらからの寄り添いだけ期待しないで、そちらからも寄り添ってよ!」と候補者の人に言われるかもしれないと思いながら、ダダをこねる。

 でも、ダダぐらいこねたくなる。あまりに、あまりに、あまりに酷い政治が続いている。ついさっきもFacebookで、作家の木村友祐さんが政府の減反政策の転換で耕作放棄地が増え、米作りする人もいなくなる事態への憂慮を書かれていた。故郷ではご親族が精米所を営んでいるそうだ。

 毎日毎日何かしら日本の問題がSNSに上がってくる。それはもう、「手遅れ」と感じさせることばっかり。生きて、日々、良くなるとか、より前へ行けるとか感じられない。ひたすら土俵を後ずさり、すでに足が徳俵にかかり、かかとは土俵の外に着きそうだ。「ビデオ判定を待ちましょう」みたいなぐらい。

 かつて、こんなに、苦しく、希望がまったくない時代を生きたことがない。私は今、56歳で、参議院議員選挙の投票日当日が誕生日だ。思っていたより長く生きている。こんな時代が来るなんて、ああ、私が25歳のとき、35歳のとき、思いもしなかった。私の生活はいつも苦しくはあったけど、周りはいつも華やいで、いつかあの場所に私も行きたいと指をくわえて見ていた。

 でも、今、そんな光景は見えない。どこの何もかも、なんだか死んでるように見える。街の風景も。新聞も。テレビも。ほんとうはみんなもう死んでいて、幻が動いているかのよう。そう思う私がもう死んでいるのかもしれない。

 とても悲しい。とても苦しい。こんな風に思うことが。思わないとおられないことが。

 こんな思いがいかにネガティヴで、意味がなく、どうしようもないもので、こんな選挙期間中に言うことじゃない、ということは分かりながらも。

 でも、言わずにおられないのです。

 そして、もしかして、私のような気持ちの人が日本のあちこちに、ぽちぽちといるんじゃないか?って思う。政治家のみなさん、そして、候補者のみなさん、朝から晩まで本当にお疲れ様です。その頑張りの先に私たちと共に歩む日々があることを、それをひたすら願ってらっしゃることを、私もすごく願っています。

 でも、その頑張りのこちら側で、なんとなく、遠い目になってる、どうしようもない、厭世観にとらわれ、政治が遠のいていく人たちがいることに、ほんの一瞬、そうですね、瞬きする瞬間だけでも、思いを致してくださるとうれしいです。

 その一瞬を持ってもらえるかもらえないか、なんだか凄く大きなことに思えるのです。どうか、どうか、よろしくお願いします。勝手なお願いです。

 猛暑と絶望の中、それでもなんとか立ち上がり、投票所に行く、そんな私たちのために、瞬きの間だけ、お願いします。


 

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サボタイ/和田靜香
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