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kintoneで子供が楽しみながら「データ活用」を学べる仕組みを作る(kintone hack2019ボツネタ再利用)

最近Qiitaで@YoshihikoTakeuchiさんの「kintone hack 2019の予選敗退ネタを供養する」や、@kentaro1sh11さんの「kintone認定試験学習用kintoneアプリを作ったけどkintone hack 2019では予選落ちだった話」などのkintone hack2019振り返り投稿を拝見する機会があり、楽しく読ませていただきました。

僕も昨年のkintone hack予選には参加&落選していたので、改めて見返してみると頑張って作ってた当時の記憶がこんこんとよみがえり、せっかく子供達にも協力してもらったコンテンツをしまい込んでおくのも勿体ない気がしてきたので、再利用してここで公開することにします。

IT教育の重要性は高まる一方

近年、子供のIT教育の重要性は高まる一方です。2020年に小学校でのプログラミング教育も必修化され、関連する文部科学省のWebサイトでも、かなり気合の入ったプログラミング教育に関するコンテンツが用意されています。

でもなんか、プログラミングばかりにスポット当たりすぎじゃない?とも思うんですよね。

プログラミングの知識はもちろん重要なんですが、さまざまなノーコードツールが登場する中で、プログラミングの知識ばかりでなく実際の業務をデータの収集・蓄積・分析に落とし込む「データ設計・活用」も大切になってきていると感じているからです。

そして、そんな「データ管理教育」を子供達に教えるためのツールとして、kintoneは最適なツールであると言えます。

kinoneには子供でも使えるほどの「分かりやすさ」があり、使いこなしていく中でデータ設計にも理解が広がっていく「深み」があり、足りない部分をプラグインで補える「拡張性」があるからです。

子供が楽しくデータ管理を学ぶために

ただ、kintoneの基本はあくまでも「業務プラットフォーム」ですから、そのままでは子供達の遊び心、触りたい欲を刺激する事は困難です。

子供達が楽しみつつ、いつの間にかデータ管理を学ぶことができる方法はないか。考えた結果生まれたのが、kintoneアプリを図鑑っぽくする「kintone図鑑化プラグイン」でした。

なぜ図鑑なのか?

「なんで図鑑なん?」「図鑑地味w」と思ったあなた。わかります。わかりますよ。でも図鑑はデータ管理教育に非常に有効なアプローチなんです。

確かに、単に子供達の興味を引くという意味で考えると、図鑑よりもゲームのようにインタラクティブ性の高いものの方が優れているでしょう。

しかし、ゲームは「イベント」とそれに対する「アクション」が主役であって、データはそれに付随する要素でしかありません。その意味で初歩のゲームプログラミングはデータ管理教育には向いていないと思うのです。

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それに対し、図鑑には次のようにデータ管理教育上のメリットがあります。

・図鑑は「データ」が中心(むしろ図とデータを愛でるもの。)
・図鑑を知らない子供はほぼいない。だから概念を説明する必要がない。
・ほぼどんな趣味や好みでも図鑑にできる汎用性がある。

昔ながらの図鑑ばかりではなく、子供達はゲームの攻略本のようなある種のデータブックにも触れる機会がたくさんありますから、親しみやすさという意味でも図鑑というアプローチは良いと考えました。

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※画像とテキストは、素晴らしい近大養殖魚図鑑から引用しています。

子供に使ってもらうために工夫したこと

kintoneのUIをそのまま使うと正直子供のモチベーションが上がらないので、プラグインを使って子供のモチベーションを高めるためのカスタマイズを行います。

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同プラグインでは、特に次のようなポイントを押さえることで、子供に楽しく触ってもらえるよう考慮しています。

いい感じのUI
見た目は重要。名前の大きさ、図の大きさ、情報の配置をいい感じにする。

いい感じのエフェクト
ページをめくる際のエフェクトを工夫して、触っているだけでもそこそこ楽しめるようにする。

レーダーチャート
これだけで子供の食いつきがだいぶ変わる”キラーコンテンツ”
図鑑にデータブック的なかっこよさを加えて子供のデータ管理欲を刺激する。

実際に子供に作ってもらう

上記のプラグインを適用したアプリで、子供に「自分の作りたい図鑑」を作ってもらいます。手伝ってくれるのは僕の二人の子供たちです。

長男はゼ○ダの伝説図鑑を作りました。しょっぱなからグラフのスケールがオーバーしてるのは僕のスケール設定と入力チェックが甘いからですが、なんか謎の勢いを感じたのでそのままにしておきました。

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※子供が自分で遊ぶ非公開の環境で使ったものですが、noteに画面ショットを公開するに辺り、出典を記載しておきます
【ゼルダBotW】「ボコブリン」の生息場所、ドロップ素材まとめ【ブレスオブザワイルド】

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より強キャラの黒ボコになると子供が入力した能力値が巨大すぎてグラフが完全に崩壊しています。

子供って親が思うよりもはるかにでかい数字が好きなんですよね。。

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下の子は絵を書くのが好きなので、自分で書いた絵を取り込んで妖怪図鑑を作りました。

下の子にはグラフが崩壊しないようにアプリに入力チェックをつけたので、グラフのスケールはいい感じでまとまってます。あとkintone全然関係ないけど葉っぱにも全部顔がある辺りとか非常に好感が持てます。

学習効果は?

実際のところ、ここで子供に学んで欲しかったのはデータの構造化です。上の例で言えばゼルダの伝説図鑑はレーダーチャート上の能力値が3種類ですが、妖怪図鑑の方は4種類になっています。

つまり、レーダーチャートの軸はkintoneのフィールドを増やし、プラグインで設定を行うことで増やすことができるようになっているのです。

また、ゼルダの伝説図鑑では水色枠のタイトルは「技、アイテム」となっていますが、妖怪図鑑では「技、その他」となっているように、図鑑によって記載する属性を変更することもできるようにしてあります。

つまり、子供達が自分の理想の図鑑をイメージし「こういう項目を増やしたい」「必殺技を書きたい」といった要望を解決する中で、自然とデータ管理の概念が身につくように考えているのです。

実際、二人とも途中でデータ項目が足りないことが分かり、僕と相談してフィールドを増やして、そこにデータを入力する事でデータ管理の概念を少しは理解できていると感じられました。

また何よりも、二人とも楽しんで図鑑を作る事ができていたので、学習に大切なモチベーションを高めることには成功したと思います。

実際に使ってみた上での課題

ただ、実際に子供達が使っているのを見ていると、いくつかの課題も見えました。

子供は文字入力が絶望的に遅い
当たり前ですが子供は文字入力が遅いです。文字入力に苦労するとデータ管理教育に辿り着く前に脱落してしまうので、入力手段には音声入力を利用するなどで、子供達のモチベーションを保つようにしたほうが良さそうです。

プラグイン設定そのものは親がやらないと厳しい
kintoneアプリのフィールド追加はちょっと教えれば子供でもできますが(それがkintoneがデータ管理教育に向いている大きな理由)プラグインそのものの設定(レーダーチャートに表示する項目の設定など)は、子供自身で行うことは困難でした。これを解決するにはプラグインの設定UIをリッチなものにするなど、何らかの工夫が必要です。

結果としてまだまだ改善の余地はあるものの、フィードバックと改善を重ねていけば、この「kintone図鑑化プラグイン」を子供達へのデータ管理教育に役立てる事は可能だと感じました。

まとめ

決勝に行けなかった時点からプラグインの開発も止まっている辺りが決勝にいけない理由を物語ってる気もしますが・・まあすいません。

昨年の参加時点からそうなるだろうと予想はしてましたが、今年からはコラボフローの成長フェイズが変り、そちらに1%も余すことなくエネルギーを集中する必要が出てきましたので、今後はkintone hackにも挑戦するのも難しい状況になってきました。

hack決勝の舞台を狙えないのは残念ではありますが、最後にkintone界隈の一大イベントにプレイヤーとして参加できた事は本当によかったと思っています。

もちろんkintoneコミュニティには今後も関わり続け、微力ながら継続して何かの貢献をしていきたいと思っています。

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