ミュージカル「この世界の片隅に」鑑賞記録 シンガーソングライター波多野菜央
「アンジェラ・アキ活動再開 」
このリリースに飛び跳ねて喜んだのは私だけじゃないはずだ。
10年前、目標のためにアメリカへ発ったアンジェラさんの曲は、それまでもそれからも、私の中で流れ続けていた。
夏休みの涼しい部屋、ソファー(今はもうない)に寝そべって永遠に聴いたアルバム「HOME」も
ギターを持ち始めて初めて弾き語りした思い出の曲「輝く人」もこの身体の大事な一部だ。
そんな大きすぎる存在が帰ってきた!
それも休止前語っていた「ミュージカルの音楽を作りたい」という目標(約束とも捉えたい)とともに
武道館でのライブを成し遂げたエピソードにしても、今回においても、どこまで有言実行の人なんだろう
歌ピアノ作曲。全ての凄まじさの奥に見える「根性の塊」に、楽曲を聴くだけで圧倒される。
「この世界の片隅に」の音楽を担当すると知った時から、絶対にこの目で、この耳で聴くのだ!と決めていたこの作品
先行配信をされた『アンジェラ・アキ sings この世界の片隅に』を聞いて予習をした気になっていたが、私の音楽体験をガバーッとまた広げてくれる、想像以上の時間だった。
役者さん達の声、感情、気迫が集結した楽曲達は、強く優しい波動となって、私の心を揺らした。
3時間の長丁場を演じ、歌い、魅せる体力と気力。ミュージカルは総合芸術。その言葉の通り、全てが相当高いレベルでぶつかるなかで生まれる美しい渦に巻き込まれたまま、3時間はあっという間に過ぎた。
それぞれのキャラクターのストーリーが、交差したり離れたりしてひとつの物語を作り上げていく。
セリフと芝居のバランスも重要になる中で、それを音楽で表現することの難しさと果てしなさは、目眩どころの騒ぎではない。
シンガーソングライターとして
自己100%の曲を作るのとは違い
原作があって、脚本があるなかでの製作。
プライドの使い方がきっと大事になるんだと思う。なんだろう、良い作品を作るため、そこにプライドを集中させるというか…
映画やドラマの主題歌ともまた違う、全編を通した曲づくりは
一曲一曲というよりも、丸っと3時間の超大作だ。コーラスもオーケストラとの絡み合いも素晴らしかった。その思いを表現できるキャストの方々も素晴らしい。
完成に4年をかけたというコメントを拝見したが、ここに来るまでの「アンジェラ・アキ」とう下地や彼女の人生があってこその大役。あっっっっぱれ!!愛してる!!!!きゃー!
個人的に、ミュージカル作品は、作品の中に聞き覚えのあるメロディーやフレーズが何度も出てくるのが好き。
この作品でもフッと芯に引き寄せられるあの感覚を何度も味わわせてくれた。
「花まつり」での、音も動きも止まるシーンが脳裏に焼き付いて仕方ない。音、舞台、演技、全てが噛み合ったあの一瞬の奇跡を、私は絶対に忘れない。
とにかく、心からのおかえりなさいを、静かに贈りたいです
多くの人があなたの作品を待っていました
より深く、濃くなった「アンジェラ・アキ100%」の作品も心待ちに生きていきます