花のれんタリーズ なんばグランド花月店
大阪に花のれんタリーズがあります、なんばグランド花月の一階です。
正式名称は花のれんタリーズコーヒーなんですけど、マクドナルドをマクドってよぶぐらいの地域だから、利用客のほとんどは花のれんってよんでいるとおもう。ちょっとせっかちな常連さんは花ってよんでるんじゃないかな。「ほな、花でレーコーのもか。」みたいな感じ。
吉本興業の女性創業者・吉本せいさんを主人公のモデルにした、山崎豊子さんの小説“花のれん”からお店の名前をとっているそうです。
都心のカフェとちがって店内は広く、ぎゅうぎゅうにテーブルやイスを設置していないうえに、男女に別れたトイレも普通のお店の2倍くらいの広さがあって、女性が考えてつくったお店という印象です。広いのでデブにも優しいカフェです。wi-fiの接続もスムーズです。
ぼくは漫才をライブで見るのが好きです。
漫才のネタはもちろんたのしいのですが、ぼくが一番好きなのは芸人さんのマイクの使い方です。マイクとの距離感と発する音声量を間違うと、お客さんは聞き取りにくくなります。
マイクとの距離感ってとても重要なのに、けっこう難しいんです。ぼくもイベントでマイクを握ると難しさに緊張して手に汗を握ります。真相は緊張じゃなくてデブだからなんだけど。
何組も出てくる芸人さんが、前の芸人さんの高さに合わせたマイクを一瞬で(1秒ぐらいで)自分たちの身長に合わせるんです。これが本当にすごい。きっと何百回、何千回と練習と本番を積み重ねた結果なんですよね。
写真家がカメラを扱うように、アスリートが道具を扱うように、料理人が包丁やフライパンを扱うような、道具を体の一部のように扱う人達の動きがぼくは好きなのですが、芸人さんたちにとってはマイクなんですよね。
芸人さんってよく頭の回転が早いなんていわれますけど、そこに適切な努力が積み重なって、人を笑わせる経験と自信まであるから、やっぱりおもしろいんですよね。
それでいて「オレすごいんやで。」とひけらかすことなく、人を笑わせるためにバカを装っていたりします。ガハガハと笑っているのですが、芸人さんを笑ってるんじゃなくて、芸人さんに笑わされてるんですよね。
ぼくは芸人さんのことをすごく尊敬しています。
そんな花のれんタリーズでネパールで撮影した写真を数点展示しています。点数少ないので大きめにプリントしています、書籍もおかせてもらってます。プロジェクターではたくさん投影しています。写真撮影もSNSアップもOKですが、くれぐれも他のお客さんの迷惑にならないようご配慮をお願いいたします。
ぼくのオススメは花のれんタリーズ限定のスイカスムージーです。ほぼスイカです、塩までふります、美味しいです。展示期間は8月ぐらいまでです。近所のたこ焼きも美味しいです。
お店に短いステートメントをだしているのですが、他にお客さんもいるので読みにくい方もいるとおもうので、ここに全文掲載しておきます。
おもしろいことを、さがしている。
花のれんタリーズの一歩外にでれば、ここは東京の人間が感じる大阪らしさで溢れている。すぐちかくでたこ焼き屋が、道をはさんで向かい合い、客を呼び込んでいる。
そんな立地のカフェは東京にはない。カフェというか、たこ焼き屋にはさまれた道がそもそもない。もしあるとしたら、たこ焼き屋じゃなくて、きっとタピオカミルクティー屋だ。
関西弁のおねえさんにブラッドオレンジジュースを注文してから、ジュースができあがるまでのあいだに、ネパールのことを思い出した。
ネパールのカフェも一歩外をでれば、日本人が感じるネパールらしさで溢れていた。土産物屋がのきをつらねて、よくわからない揚げ物の露店に道をはさまれていた。店内はぼくとおなじ観光客がおおかった。
花のれんタリーズも地元のお客さんよりも観光客がおおい。向かいにはコテコテの土産物屋まであって、どことなくネパールのカフェとにている。
みんな日常とは違う、おもしろさをもとめているのだろう。ぼくもおもしろさをもとめて、ネパールにいったのだとおもう、そしてそこで撮影した写真を難波のカフェで展示している。
おもしろさというのは誰から与えられたり、存在に気づいたり、自分で作り出すことすらできる不思議なものだ。おもしろいというのは、どんな状況にでも、たのしむ力に変えてくれる。
そんなことを考えながら、トロトロのたこ焼きで火傷した舌をブラッドオレンジジュースで冷やしつつ、新喜劇の開場を待っている。
ほぼ日のネパールでの連載もオススメです。
古賀さんと浅生鴨さんと田中ヒロノブさんと永田さんが文章を書いているのですが、すごくおもしろいです。おもしろい文章を書く人って、その人自身がおもしろいんですよね。そしてこの4人もやっぱり「オレすごいんやで。」とひけらかすことがないんです。
写真をやっている人って、プロもアマチュアもひけらかしてしまう人がすくなくないんです。写真をやる人ほど、写真以外のジャンルで活躍されている人を知った方がいいなぁとよくおもいます。いやでも謙虚になれます。