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『ゲートウェイ』はなぜ『ゲートウェー』ではないのか?
2020年に開業したJR山手線・京浜東北線の高輪ゲートウェイ駅。
(厳密に言うと「山手線の駅」ではないんですが、その話は別の機会に。)
開業に先立って駅名が発表された際には、いろんな批判がありましたが、批判の中心は「ゲートウェイ」というカタカナ(の言葉)が使われていることでした。
私もあまりいい名前だとは思わないんですが、それより気になったのは「ゲートウェイ」の「ゲート」が「ー」が使われ、「ウェイ」はなぜ「ウェー」ではないのかということでした。
(同じような言葉に、ゴルフ用品メーカーの「テーラーメイド=TaylorMade」もありますね。)
広辞苑第7版を見ると、「ゲート-ウェイ」(gateway)は「〜イ」である一方、「ハイウェー」(highway)は「ー」です。
「ハイウェー」は以前から使われている外来語であり、「ゲートウェイ」は「プロトコルの異なるシステムやネットワークを接続し、データを相互に交換できるようにする装置またはソフトウェア、プロトコル変換器の一種」という語義説明からも見て、専門用語として扱っていて、その分野での表記を採用しているのだと思われます。
このように、全般的な傾向として「古くから使われている外来語は『ー』」「最近よく使われる言葉は『イ』」となっているようです。
「メードインジャパン⇄メイドインジャパン」(made in Japan)「メーキャップ⇄メイキャップ」(make up)など例はたくさんあります。
なぜこのような変化が起きているのか、調べてみた限りでは明確な理由は見つからなかったのですが、「口調の問題」や「外国語の発音に触れる機会が増えたこと」などがあるのかな、と考えています。
「口調の問題」とは「ウェー」よりも「ウェイ」の方がなんとなく『締まって』聞こえるという程度のこと。
「外国語の発音に触れる機会が増えた」というのは、例えば"make"などのよく使われる英語の単語の発音を耳にして、「メーク」よりも「メイク」の方がしっくり来るのではないかと愚考します。
実は、平成3年(1991年)の内閣告示『外来語の表記』に、「長音は原則として長音符号「ー」を用いて書く」とあって、「ゲーム」「テーブル」などが例示されています。(×「ゲイム」×「テイブル」)
また、共同通信社「記者ハンドブック」には「原音で二重母音の『エイ、オウ』は、長音での慣用が固定している語を中心に長音符号『ー』で表し、母音で表記するのが一般的な語は『エイ、オウ』と書く」とあります。
例としては「長音で書く例」として「エージシュート」「メーデー」など、「母音で書く例」として「アンチエイジング」「メイド(お手伝い)」などが挙げられています。
要するに混在していて、「よく使われている方を採用する」という状態になっているわけですね。
「まあそうなりますよね」と思うわけですが…。
でも「ゲートウェイ」「テーラーメイド」などのように一つの単語の中に両方出て来ると、もやもやしてしまいます。