『オータニサン!』は広まるか?
アメリカ・大リーグで活躍中の大谷翔平選手。
ホームランを打ったときなどにエンゼルスの実況アナウンサーが「オータニサン!」と日本語(?)を使っているのもちょっと話題になっています。
この「〜サン」が私たち日本語話者に(ちょっと)新鮮に響くのは2つの側面があると思います。
まずは、スポーツ実況の側面。
日本では、実況の中では選手に敬称を付けないのが原則です。
「大谷さんが打った」とは言わず「大谷が打った」と言いますね。
「打った」「投げた」「走った」など野球のプレー以外について言うときは、「〜選手」とする場合もありますが、「〜さん」はあまり使いません。
実況で「〜さん」というのが、あまり耳にしない表現なわけです。
もう一つの側面は、アメリカの実況アナウンサー(アメリカ人)が日本人を呼ぶときに「『〜さん』を使うちょっとした意外性」です。
英語で男性に使われる敬称はもちろん「ミスター」("Mr.")ですが、あえて「ミスター」ではなく日本語を選択しているわけです。
以前付き合いのあった私(当noteの筆者)のアメリカ人の仕事仲間は、私のことを「◎◎◎さん」と呼んでくれました。
(それ以外の会話は英語でした。)
アメリカでは、親しくなると相手を呼ぶのに「下の名前(First Name)で呼び捨て(敬称なし)」が普通ですよね。
アメリカ発の通販サイトなどにアドレスを登録すると、頻繁にメールが届くようになりますが、多くのメールは"Hi! Txxxxxx"など、「下の名前」「敬称なし」で始まってます。
日本では、下の名前で呼ぶのは、家族同士か、かなり親しい間柄に限られますよね。
通販会社からのメールを見ると、いつも「あなたに”Txxxxxx”と下の名前で呼ばれる筋合いはない!」(笑)となんとなく落ち着かない気持ちになります。
その友人は、アジアに長年住んでいて、日本人にとって「下の名前で呼び捨て」があまり居心地がよくないことを知っていて、「◎◎◎さん」という呼び方を使っていたのだろうと思います。
「オータニサン」ときっかけに、「日本では敬称として『さん』がよく使われるのだ」ということが広まればいいな、などと思ったりしています。