『完封勝ち』か『完封リレー』か
プロ野球にまつわる言葉の話です。
先日、阪神タイガースが、巨人の戸郷投手にノーヒットノーランを喫した翌日、今度は巨人打線を零点に封じて勝ちました。
これを伝えるNスポーツのサイトです。
「完封勝ち」とあります。
一方こちらはスポーツHのサイト。
「完封リレー」となっています。
結論から申し上げると、「完封勝ち」は通常、1人の投手が投げ切って相手を無得点に封じた場合。
一方、2人以上の投手でゼロ封した場合は「完封リレー」を使います。
なので、スポーツHの方が通常の使い方に則っているということになります。
まあ、目くじらを立てるほどのことではないとは思いますが、プロ野球に詳しいはずのスポーツ紙ですから、やはり『正解』を示してほしいものです。
プロ野球を報じるに言葉には、使い方が昔から決まっているものがほかにもたくさんあります。
例えば「一発」はホームラン(本塁打)を指すのに対し、「一打」はヒット(安打)のことを言います。
「一発出れば逆転です」と言えばホームランのこと、「一打出れば逆転です」だったらヒットについての言及です。
また、「走者一掃」は満塁の場合に使うのが普通で、ランナー(走者)が2人の場合は(通常)使いません。
プロ野球は、昭和の時代には大相撲やプロレスなどと並んで、テレビ放送の重要なコンテンツとして大衆の人気を掴んでいました。
朝の通勤電車では、多くの乗客がスポーツ新聞を読んでいたものです。
そうやって培われた分かりやすくて効率的な言葉の使い方が、だんだん失われているようで、ちょっと残念ですね。