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大勝軒修行物語 見栄

駒谷さんは、何をしていたんですか?
栗原さんが聞いてきた。

厨房機器のホニゼンで所長をやってました!
独立する時は、知り合いもいますから、言ってくださいね!と俺は答えた!

へーぇ〜、ホニゼンで所長やってたんですか!
スゴいですね!
所長やってたんだって!と、
谷部さんにも話しかけていた。
へーぇ〜スゴい!と谷部さんもいう、

話を聞いていた年下の同期の高木が、突然、
その歳で修行に来るから、てっきりリストラされたんじゃないかと思ってた!といい出した。

俺は、ドキっとした!
少しでも自分を大きく見せようと、所長をやっていたと言ったが、辞める時には、所長から主任に降格されていたからだ!
まんざら、当たってないわけでもない。この見栄を張ったことは、あとあとまで尾を引いた。
3人とも20代で将来有望であり、俺は挫折して修行に来た感は拭えなかった。というか、大勝軒は、そんな人間の受け皿と言っても過言ではなかった。
修行生は、人それぞれワケありで全国からやって来た。和食や居酒屋から業態変更したい人、ヤンチャしていた人で飲食店を開きたい人、何かで失敗して第二の人生を賭ける人など、大勝軒には再起を願い夢を追いかける人が集まった。


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