”デジタルDay”から考える「石蔵秘密基地」のありたい姿
石蔵秘密基地では、隔週金曜日の夕方に"デジタルDay”という企画をしています。小学生(目安は3年生以上、低学年生も参加可)が、いつも学校で使っているタブレットを持ってきて、1時間ほど過ごす、寺子屋的なイメージの企画です。※最新情報はこちらから↓ 直近では2/4、18、開催予定
デジタルDayは「プログラミング教室」にはしない、の意味
デジタルDayは、JimoKidsの運営をサポートしてくれている近所のパパ、倉本大資さんが担当されてます。倉本さんは2008年からScratchを使った子ども向けプログラミングワークショップを実施されていて、関連書籍も多数執筆されてます。どちらのサイトを紹介したらいいのかな、と思い、amazonリンクをとりあえず、こちらに。
先日、執筆本を貸してもらったら、どさっとたくさん。海外向けにも翻訳されてるみたい。
一部は石蔵秘密基地入ってすぐのライブラリースペースにあります、どうぞお手に取てみてくださいね。ライブラリー情報はこちら↓
このデジタルDay企画、当初から、「プログラミング教室にはしない」と宣言されていて、
・「教える場」じゃない
・サポート役の大人は、見守っていてくれるだけでいい(プログラミングができなくてもいい)
蔵管理人としては当時その意味がよくわからず(いや、今も道半ば)。10月に開始して、1月末時点でDay8、なるほど、8回の開催を見続けて、私も少しわかってきました。ここに来ることも慣れてきた子たちは、場と、取り組む時間、みんなでゆるく同意したテーマをもらったら、やらされ感なく自分の世界に入っていくのですね。
いつも来てくれる書道とバスケが好きな、この子。以前はバスケのボールの動きを再現しようと何やら真剣に手を動かし、新年最初のこの時はテーマの「書初め」にこだわりまくっていました。scratchの線を徐々に太くする設定にして「はらい」を表現したり、色合いを変えたり、美しい書が描けるように、のめりこみ。ちなみに新年のリアル(?)書道の方は金賞だったとのウワサ!
ある回では、ピアノが好きという子が、音楽ツールの使い方を知って何やらひらめきを得ていたり。自由度が高いからこそ、頭の中でコラボレーションが生まれる可能性と広がりがあるのかしら。
Scratch(クリエイティブラーニング実現のための環境)の"4P”って
話が飛びますが、ある日、クリエイティブラーニングの4Pの話をしてもらったのですね。4Pと聞いたら、マーケティングのProduct(プロダクト:製品)、Price(プライス:価格)、Place(プレイス:流通)Promotion(プロモーション:販売促進)を思い起こすかもしれないけれど、今回はそれではなくてですね(笑)
Scratchは「クリエイティブラーニング実現のための環境」、つまり、「つくることによって学ぶ」「つくるなかで学ぶ」という学び環境を作るために、何が必要なのか、ということなのですが、
ある子が、自分の作品を見せることに乗り気しない!という話からの、もちろん、見せたくないなら見せなくてもいい、でも、こんな考え方もあるよ、という話の展開だったのです。そもそもScratchって何でしょう。こちらのサイトが参考になるかもしれないのですが↓
https://www.watch.impress.co.jp/kodomo_it/news/1152520.html
Scratchを開発されたミッチェル・レズニック氏によると、Scratchはコンピュータサイエンスやプログラミングスキルだけを学ぶものではない・・・・「子どもたちがAI時代に備えるために、どのように助けたらよいのか。急速に変わる時代だからこそ、その変化に適応できるような創造的な考えと行動ができることが、これまでになく重要になってきた。子どもたちの将来の幸福や成功は、クリエイティブ(創造的)であることにかかっている」
繰り返しになってしまうのですが「Scratchはまさに、創造的な学びを養うために作られたツールである」とのこと。この創造的な学びに大切なのが4つの「P」。「4P」ってなんだー?とワイワイしてから、教えてもらった4つがこちら。
・Projects(プロジェクト)
・Passion(情熱)
・Peers(仲間)
・Play(遊び)
えっ?プログラミングのイメージと違う?そうですよね、別にプログラミンじゃなくてもいいのですよ、創造的な学びであれば。
日常生活など、色んなシチュエーションで、何かを解決するためにだったり、何か楽しいことを取り入れるために「プロジェクト」を作る。「やりたい」って思いと一緒に。それを進めるには「仲間」が必要で、誰かと協力したり共有したり(ここで上述した作品を「見せ合う」ってことに意味が出てくる)、そして、いつも「遊び心」を忘れずに。確かに、Scratchには誰かのアイディアをシェアしたり、楽しめる機能が多いですよね。
これを聞いて、石蔵はこういうことがたくさん起きる場でありたい、と改めて思ったわけです。クリエイティブ(創造的)と言われるとなんだかハードルが高く聞こえてしまいますが、、そもそも「秘密基地ってどうあるべき?」ということ自体が、プロジェクト。それは遊び心と情熱を持った、ここに出入りしてくれている仲間たち(オトナ、子どもに限らず)のおかげで成り立っています。「創造的な考えと行動」が子どもたちに不可欠であるなら、親世代の自分たちもクリエイティブでありたいですよね。小さな課題を、一緒に楽しく解決していきたい、と。
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話はデジタルDayに戻りますが、ここでいうような「クリエイティブ」な子たちが、石蔵のある滝野川界隈でじわじわと増えていったらどんな楽しいことが起きるだろう、と思っています。この企画は今後も「場の提供」という形で継続していく予定です。
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参考)クリエイティブラーニング等、理解を深めるにはScratchを開発されたミッチェル・レズニック氏の著作もぜひ。こちらの本、石蔵のライブラリーにも置かれています(著者サイン入りの私物のため貸し出しは不可となっています)