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まったく多様じゃないレインボーフラッグ

先日都内で「WIFE -ワイフ-」という緊急のクラブイベントがあったそうで、その内容は

『先週の土曜日、新宿2丁目のレズビアンパーティーでトランス女性がお店側からトランスジェンダー差別を受けました。これに抗議する意味も込め急遽5/2 (木) に青山のクラブ蜂でトランスジェンダーをサポートするイベントを開催する事になりました!
Queer and femme DJ Party!!!
※このパーティーはトランスジェンダー女性に寄り添う気持ちのある方は性別に関わらずどなたでも入場して頂けます。ただし、トランス女性を含めた女性を軽視する様な行為や人種差別的な行動は直ちに退場して頂きます。ご注意下さい。
Last Saturday a trans woman was discriminated against and denied entry at a lesbian party in Shinjuku 2nd Street. In the light of this event we want to host a reaction party at Aoyama's Club Hachi on 5/2 (Thursday) - we want to protest against this kind of exclusion, disrespect and violence by creating a space of inclusion, respect, solidarity and love.
※ This party welcomes everyone who is supportive of transgender people, regardless of their own gender. However, anyone exhibiting any form of misogynist, transphobic, homophobic or racist behavior will immediately be kicked out of this party. 』

とのことでした…。

・これは私達のプライドの話です

トランスジェンダーが社会生活をするなかで、ずっとそのIDが問われてきて、その存在がワイセツであると揶揄され、そしてIDと違う性別だからと暴力を受け、投獄されてきた歴史があり、この歴史がStonewallの蜂起となり、現在のプライドシーンへと繋がっています。

一方で、NYC PRIDEの始まりである、Christopher Street Liberation Dayにおいてもトランスジェンダーが差別・排除されてきた歴史があります。今でこそプライドパレードの花であるドラァグクイーンさえも、1978年のパレードは参加が禁止されていたのですから。

しかし「あなたたちはシスジェンダーと違う変態だから、こっちにこないでくれ!」と言われて引き下がるわけに行かないのです。

アメリカで幾度となく起きた警察と対峙することとなる暴動事件は、ドラァグやトランスのIDの性別を発端としたもので、警察はそのIDと身なりが違う事を指摘し、暴力的に扱い、そして投獄してきたわけです。

「私達は女(男)なんだ!」との主張をしたら、逮捕されて投獄され、だからこそその横暴に逆らうことを先人達は選択して、そして現在のプライドシーンを中心とした、LGBTQ+のムーブメントがあるわけです。

・正義のトランスフォビアは無い

残念ながら過去には世界中でトランス排除的なイベントなどが横行していて、有名なMichigan Womyn's Music Festival(通称 ミッチフェスト)では、主催者ポリシーによりトランス女性が排除される事象が発生。

これにトランス団体、レズビアン団体などが抗議するも状況が変わらず、ミッチフェストの会場入口付近でCAMP TRANSというイベントが開始されます。トランスジェンダーやアドボケーター達のスピーチを多くの、ミッチフェスト参加者が聴くこととなり、その結果トランス女性への賛同者が増えていきます。

21世紀に入り、ついにはグラミー賞も受賞しているインディゴ・ガールズなどがトランス女性の受け入れをしないかぎり、ミッチフェストへの参加を見合わせるとボイコットを発表。その後主催者側はトランス女性の受け入れを決定するも、主催者が持つトランスフォビアを解決することは叶わず、ミッチフェスト自体を終了することを決定します。

・LGBTQシーンでIDにこだわるおろかな行為

今回の事案では「女性のID」を持っている人が「トランスジェンダーだから排除します」とされた、あきらかな差別的行為であってトランスジェンダーが活動のなか獲得してきた権利を否定する人権無視の問題です。

また、国内では現在もIDにこだわるレズビアンイベントなどが多くありますが、その行為はStonewallなどにおける「警察がやっていた行為」とまったく同じことで、プライドの否定でもあるわけです。

もっとも昨年のロンドンプライドでパレードジャックした女性グループは「Get the L Out at Pride」を掲げて、レインボーフラッグを踏みつけました。そこまれやられてしまうと「私達はあなたたちのような差別主義者と対峙するしかありません」と言うしか無くなります。

・トランスジェンダーと社会

マグヌス・ヒルシュフェルトがトランスセクシャル/トランスヴェスタイトという言葉を作って100年あまりです。私達は私達のアイデンティティを尊重し、その性別で生きられるように訴えてきて、そして現在があります。

レズビアンという看板を上げれば「社会的に女性であっても、私達は認めない差別する権利がある!」といった理屈はさすがに通りません。

また、そんなことを言っている人達が主流な状況において「同性婚を出来るようにしよう!」など、たんなるご都合主義にしか思えません。

プライドフラッグが作られて40年です。この旗は性の多様性をアピールし、個々のアイデンティティのプライドを表明するための6色の虹色の旗です。この旗を掲げるのであれば、トランス排除を「レズビアンの正義としてうたう」ということはあり得ないのです。

・ポリシーです!と胸をはって差別しないで!

今回のケースで言えば法的に「女性」である人です。合衆国が『女』として認めた人を「私は認めない」ということを「仕方ない」で済ませちゃだめです。この行為はトランスジェンダーの否定であり、一般社会が女性として扱うことがあたりまえになっている状況において「レズビアンは社会を逸脱して差別ができるカテゴリーなのです!」という訳にはいかないという話です。

それでも、どうしてもトランスジェンダーが受け入れられないと言うのであれば明確に「当店、及び、当店主催パーティは「トランスジェンダーを排除します」」と明確に記載すべきであり、いわゆる「外国人お断り」てきな表記をきちんとすべきでしょう。もちろんそういう表記があれば、あそこは差別的な店だという認知となりますが、そういう認知であることを承知でされる場合は「仕方が無い、相手は差別者なのだから」という扱いになるかと。

私達は「トランス女性は女性です」と声を上げています。そして、それを多くの人達が支持してくれていて、現在にいたっています。レインボーフラッグを掲げる人達が、これを支持してくれない状況があり、それを「ここは日本だから仕方が無い」とするのであれば、すぐにそのレインボーフラッグを降ろしてください。

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