Ubie のデザインの「今」を知りたいときに読む note (プロダクト・事業篇)
Ubie ではプロダクトデザイナーを積極募集しています!
というわけで、最近は Ubie に興味を持ってくださるデザイナーの方々とお話しする機会が増えてきました。その中で特によくご質問いただく点がどのあたりか少しずつ見えてきたので、ぶっちゃけた話を含めて簡単にお答えしてみようと思います。
少しボリュームが多くなったので、今回は「プロダクト・事業」に絞ってまとめてみます。Let's go!
Q. Ubie のデザイナーは何をデザインしているの?
Ubie というと「医療のデザイン」というカテゴリで括られることが多いです。ただ、実際には Ubie はもっと多様な文脈でデザインに向き合っているため、我々がやっていることをすべてそのカテゴリに押し込めちゃうともったいないな〜と感じる場面も多いです。
以下は一例にすぎませんが、たとえば次のようなことをデザインしています。
患者と医師のコミュニケーションのデザイン
診察室で「医師に言いたいことが言えなかった…」と思っているとき、医師もまた患者に対して「もう少し話を聞きたかった…」と思っていることはよくあります。30分の診察の最後の最後、患者が診察室を出るときにぼそっと言った「自分としては別に重要と思っていなかったこと」が、医師の診断・治療の鍵になることもよくあります。医師と患者のコミュニケーションはなぜすれちがうのか、そのメカニズムに迫るのはユビーが創業の頃から取り組み続けている問いの一つです。
行動変容のデザイン
患者にとっての「わかりやすさ・納得感」と「医学的な正確さ」はトレードオフになることが多いです。わかりやすさを重視するあまり、医学的な正確さを欠いた情報は世の中にごまんとあります。一方で、患者にとっての納得感をないがしろにした医学情報の羅列・押し付けでは、実際の患者の行動変容につながりません。「自分は大丈夫だろう」「○○病のはずがない」「こわい」という感情が先行してしまうと、早期発見早期治療の妨げになってしまいます。
Ubie は、このトレードオフになりがちな「わかりやすさ・納得感」と「医学的な正確さ」の両立を目指すことが、患者がより適切なタイミングでより適切な医療に辿り着く上での鍵を握っていると信じてデザインしています。
道具としての生成 AI のデザイン
生成 AI 自体は、ギークのためのおもちゃを超えて、既に臨床現場の日常になりつつあります。
生成 AI によって、明らかにこれまでの QCD の常識が覆りつつあります。一方で、生成 AI が道具として医師の手に馴染むようになるためには乗り越えるべき壁がいくつもあります。このへんの「道具としての生成 AI のデザイン」を突き詰め、AI をいちいち AI と言わなくてよいくらい当たり前のものにしていくのが Ubie のデザイナーの責務の一つでもあります。
アクセシブルな社会のデザイン
医療は誰もが人生のどこかでユーザーになる分野です。Satoru も以下の note で触れていましたが、年間100名以上の方にインタビューを行う中でも、一人として同じストーリーを持つ「患者」はいません。その意味で、Ubie がアクセシブルなプロダクトのデザインに会社として投資し続けているのは、社会全体で見ても相応の価値があると信じてデザインに望んでいます。
グローバルで使われるプロダクトのデザイン
私たちは生物学的には人間です。人間である以上、国ごとの人種・医療制度によってばらつきはあるものの、発症から治癒にいたるまでの基本的な Patient Journey はいくつかのパターンに収束します。
Ubie のデザインチームでは、国境を超えて、日本の知見をグローバル事業の US 事業に適用したり、逆に US で先に実験して得られた知見を日本に輸入することもやっています。最近だとUS から日本に移住してきたデザイナー・マイケルのおかげで、こうした取り組みもいっそう加速しつつあります。
ローカライゼーションとグローバライゼーションのいいかんじの塩梅をデザインするのも、グローバルスタートアップであるユビーだからできることの一つです。
未来の情報検索のデザイン
何か体調がわるいとき、あなただったらまず何を試すでしょうか?Chat GPT に聞く、グーグルに聞く、とりあえず家族に相談する、市販薬でなんとかやりすごすなど様々だと思います。
以前書いた以下記事でも触れましたが、「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすること」というミッションを持つ 検索のチャンピオン Google でさえ、21世紀の初頭からもう足掛け20年程度、ヘルスケア事業に投資し続けて試行錯誤を続けています。
生活者や医療者が自分にとってより意味のある情報にアクセスできるようにするため、デザイナーに何ができるか。このような大きな問いに取り組めることも、Ubie でデザインをする上でワクワクすることの一つです。
Q. Ubie、スタートアップとしてもう十分大きくなっていそう。今からやることあるの?
「探索」と「深化」の両立で実現する Giant Leap
両利きの経営という経営学の概念があります。これは、組織が既存の事業の「深化」(exploitation)と、新しい事業機会の「探索」(exploration)の両方を同時に追求する能力を指します。
いろんなデザイナーと話す中で、「スタートアップがある程度成長したら事業も組織も堅実になり会社としての深化としての活動が高まり、窮屈さを感じてしまう」というのはどうやらスタートアップあるあるのようです。
一方で、Ubie の場合は「確実に伸ばすべき既存事業を伸ばし (深化)、新しい種を巻き続け (探索)、これらを両立することでのみ非連続的な成長 (Giant Leap) を通じてミッションを達成できる」という共通認識を持っています。いわゆる両利きの経営が Ubie の根幹にあります。Ubie のデザイナーは、このような前提のもと探索と進化それぞれに携わっています。
探索 (0→5, 5→10フェーズ)
Ubie は創業からの7年で、医療機関1,700施設、生活者向けサービス700万 MAU と日本最大級の医療プラットフォームに成長してきました。これらのアセットによって可能になっている新規事業が、国内外で片手で数えきれないくらいにはあります。Ubie としては人が症状が起きてから治るところまで伴走し切って初めてユーザーが得たいものが得られたと捉えているので、単なる症状チェックを超えた「体験の奥行き」をどうやって実現できるかに複数のデザイナーが取り組んでいます。
深化 (5→10, 10→100フェーズ)
スタートアップというと新規事業に目が行きがちですが、PMF 後ユニコーンレベルの事業に育つまでグロース・スケールの牽引ができているデザイナーは世の中的にもまだまだ少ないです。Ubie はプロダクト群が急成長し、一気にスケーリングを求められる場面が数ヶ月おきにあります。事業・組織両面でこのへんの経験をたくさん積みたいデザイナーにとってはとてもワクワクする環境のはずです。
自分自身、デザイナーとしても一つの会社で様々な事業フェーズに携わることができるワクワクは6年経ってもあり、これが Ubie の醍醐味の一つかなと感じています。
Q. 製薬事業って何をやっているの?
生活者がかかえる病気の早期発見早期治療の支援を、製薬企業とともに取り組んでいます。この事業は年間数百%の成長率で、最近では日本最大級の製薬業界カンファレンスも自社で主催しています。
Ubie のミッションは「テクノロジーで人々を適切な医療に案内する」です。ユビーの月間700万ユーザーの中には風邪、癌、メンタル、子供の病気、100万人に1人の難病などなど、本当に多種多様なストーリーがあります。
足元の小さな兆しを元に予言をしておくと、医療は、情報のつなぎ方を変えれば「治せる病気が治る世界」がもうすぐやってくるはずです。一人でも多くの生活者がより適切な医療にたどり着けるように取り組んでいます。
製薬事業が生活者にとってどのような意味を持つのか、デザイナーがどのようにそこに関わることができるかについては、以下の記事でも触れています。ぜひ読んでみてください。
Q. 医療って法規制対応が大変そうだけど大丈夫?
Ubie のバリューの一つに Full Throttle, but Safe (フルスロットル・バット・セーフ) という行動指針があります。これは、スタートアップにおいてトレードオフになりがちな「スピード感を持って行動すること」と「守るべき資産を確実に守ること」のいいとこどりを目指すことを意味します。
いいとこどりをする上での最適なバランスは、事業フェーズや事業モデルによって異なります。なんでもかんでも新規事業の勢いでやれば良いわけではなく、なんでもかんも安全に倒せば良いわけではないのは明白です。このへんのバランス感覚は法務・セキュリティ・政策渉外・PR などで構成されるパブリックアフェアーズチームが特に明るいので、彼らに背中を預けながら日々プロダクトデザインに取り組んでいます。
ちなみに、巷よく聞かれるよくわからない理不尽・闇の力でユーザー価値が毀損されるメテオフォールは基本的にないです。職種問わずあくまでユーザー価値に立脚した議論をするので、デザイナーに対する期待も高いですがその分思い切ったプロダクトデザインができます。ぶっちゃけめちゃくちゃデザインしやすい環境と思います。
Q. グローバル事業について教えて。自分が関わる機会ある?
2024年2月現在で、Ubie のグローバル事業は US 市場に注力しています。
プロダクト・事業としては、日本と同様生活者向けの Symptom Checker 等の開発と、それを活用したグローバル製薬企業と協働しての病気の早期発見早期治療のプロジェクトに取り組んでいます。
チームとしては、インド・シンガポール・日本でプロダクト開発チームが、US (New York) で事業開発チームが活動しています。
ありうる関わり方は2種類です。
関わり方1:日本事業に携わりながら、US 事業とのナレッジシェアに積極的に参加する。Ubie の事業が日本である以上、グローバルチームは日本の知見にとても関心があり、様々な文脈で両者の橋渡しができる役割が必要です。昨年秋からはマイケルという日本在住のアメリカ人デザイナーがいる分、以前よりかなりやりやすくなっていますが、日本の事業に深く携わっているデザイナーからの push 型の情報発信の重要性も高まっています。
関わり方2:グローバルチームのメンバーとして社内異動する。Ubie には異動に関するポリシーがあり、デザイナーの場合 US ネイティブレベルの英語力が求められるので簡単ではないはずですが、機会は常に開かれています。
Q. 開発はどんなかんじ?
フェーズや事業特性によって形は異なるのですが、基本的にはスクラムでやっています。
デザイナーもスクラムに入ります。前職までのスクラムの経験にはばらつきがあるため、入社後のオンボーディングではスクラムのオンボーディングがあります。
Ubie の場合はデザイナーはもちろんスクラムに入りますし、医学ドメインが必要な場合は社内の医師も同じチームで活動します。それぞれの専門性にリスペクトを持ちながら言うことは率直に言うカルチャーなので、医師の視点から「この表現、こうしたほうがより伝わるんじゃない?」みたいな提案もあってワクワクします。
数ヶ月に1度のビッグバンリリースというより、1週間を1スプリントとしてできるだけ小さく速くユーザー価値を含む不確実性を検証するようにしています。
次回の組織篇で詳しく触れるつもりですが、医学ドメイン知識が入社時点から必要になることはないです。知識や経験は腐りやすく、マインドセットは変わりづらいという前提で、今持っている知識や経験を過剰に重視せず、その人固有の考え方や行動の傾向をもとに採用のマッチングをはかる設計になっています。気になる人は、採用資料の組織のパートを読んでみてください。
Q. ぶっちゃけたデザインの課題は?
課題だらけではあるんですが、独断と偏見で強いて挙げると以下2点かなと思います。
常にストレッチな採用
日本のプロダクトデザイナーは採用母集団が極めて小さい分、Ubie のデザイナー採用においてはここ数年「リファラルを通じた狭く深く長い keep in touch」を前提にした採用手法をとってきました。ただ、それと採用計画の相性は基本的に悪いです。スタートアップの採用計画の難しさでもあると思うのですが、非連続的な事業成長があったときに採用計画はゴミ箱行きになってしまいます。もちろん Ubie の場合も「読みやすいところ」と「読みづらいところ」のグラデーションはあるのですが、総じて常に事業成長ペースが採用ペースを上回っているため、うっかり採用の手を止めることはほぼ採用未達を意味します。
量・質量面で事業成長に伴う社内のデザイナーニーズを充足できるよう、一層の工夫が求められるようになってきていることを強く感じています (次の話に繋がります)。
デザイナーへの期待役割の変化
事業成長に伴って、デザインチームが担うべき関心領域の幅が広がってきています。さすがに250人規模で全てに当事者意識を持ち関心を払い続けるのは無理なフェーズに入ってきているので、適切な役割分担とそれらの相互接続を行うことが職種問わず求められています。
コンウェイの法則で「システムを設計する組織は、そのコミュニケーション構造をそっくりまねた構造の設計を生み出してしまう」と言われるように、これは一部組織ガバナンスの問題として取り組むべきものです。Ubie では、昨年 U-map (ユーマップ) と呼ばれる組織運営フレームワークを開発し、アサイン・採用・相互フィードバックなどに役立てる取り組みを全社的に始めています。
デザイナーにとってもいわゆるゼロイチに取り組む役割と、一定規模以上の開発をリードしていく役割では、明確に両者の期待が違います。また、プロダクトとしても体験に奥行きが出てきたことで、より各チームの取り組みを統合し一貫性のある体験としてデザインする役割 (Orchestration, 統括・調和) も重要になってきています。ここで挙げた例はごく一部にすぎませんが、いずれにせよこれまで以上にデザイナー間の、またデザイナーとデザイナー以外の同僚たちとの相互の役割期待を明確にする必要性が高まっています。
今回は Ubie のプロダクト・事業についてよくある質問を、いちデザイナーの視点からまとめてみました。次回は、組織や採用の面からよくある質問をまとめてみようと思います。
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