Google のヘルスケア事業の源流を辿って見つけたインターネットの石碑とは
これは何
Ubie は医療分野の Google を目指しています。Ubie の「人々を適切な医療に案内する」というミッションは、「世界中の情報を整理し、世界中の人がアクセスできて使えるようにする」(to organize the world’s information and make it universally accessible and useful) というミッションに近いと考えています。
先日、彼らのヘルスケア事業の歴史を遡る中で、おそらく最古・初出と思われるプレスリリースを偶然発掘しました。
2023年現在数多ある世界中のヘルステック企業の源流にあたる、ある種の「インターネットの石碑」のようなものと言えます。多くの人にとって、一読の価値があると考え、翻訳を試みています。
なお今回の翻訳は、Google が公式ヘルプにて示している Fair Use の概念に沿うものと考え、翻訳を試みています。誤訳・翻訳のありようについてご意見・ご質問等はウェルカムですので、遠慮なく DM いただければと存じます。
以下翻訳
医療情報は重要だ
2006年11月30日
投稿者: Adam Bosworth, Vice President
Googleでは、健康の分野で何をしているかという質問をよく受けます。私は、以前から医療や健康情報の問題に関心を持っていました。今ではここでのメインテーマのひとつになっており、それについて投稿を始めることにしました。この分野に取り組むようになったのは、4年間の闘病の末に癌で亡くなった母の介護を手伝った経験があるからです。母が受けた医療の質は並外れたものでしたが、介護者のサポートや異なる医療機関間のコミュニケーションにおいて、医療制度がいかに困難であるかを目の当たりにしたのです。医療制度は完全に破綻したわけではありませんが、こうした局面で苦労していました。
何が問題だったのか:典型的な症状を持つ病気を正しく特定するのに9カ月もかかりました。
誰が治療するのか:地元の優秀な医師や介護士は誰か、保険が適用されるのは誰か、どうすれば治療に同意してもらえるのか、簡単にはわかりませんでした。
一旦治療を受けても、彼女は慢性疾患であり、特に病気が再発した場合は、継続的なケア・看護・見守りが必要でした。
適切な診断がつき、適切な医師が見つかれば、彼女の治療は素晴らしいものでした。しかし、治療の前後には、重い病気にかかった人のほとんどが、こうした別の局面を経験し、同じような問題に悩まされることになるのです。彼女は家族の介護者の助けを借りようとしていたので、適切な情報を得て、適切な決断ができるようにすることは、とてつもなく困難なことでした。多くの場合、医療制度はこうした問題に対処するために十分に整っているとは言えません。私たちの業界は、このような問題の一部を解決し、他の問題を改善することができると信じています。
結局のところ、これらの問題を解決するための重要な要素のひとつは、よりよく教育された患者さんです。患者さんが自分の病気について、症状、治療法、薬剤、副作用などをよく理解すれば、治療前、治療中、治療後にかかわらず、よりよい治療を迅速に受けられる可能性が高くなります。私たちはすでに、患者さんが探している健康情報をより簡単に見つけることができるよう、ウェブ検索の改良に着手しています。 Google Co-op のプラットフォームを利用して、Googleと医療コミュニティはウェブ上のサイトやページにラベルを付け、ユーザーが健康に関する質問を絞り込み、必要な医療情報を見つけやすくしています。 Googleで糖尿病やリピトールなどの医療問題を検索すると、「症状」「治療法」など、検索結果を絞り込むための選択肢がいくつか表示されます。治療」をクリックすると、検索結果は、信頼できる健康コミュニティの貢献者によって治療に関するものであるとラベル付けされたサイトがランキングで上位になるよう絞り込まれ、並べ替えられるのです。投稿者がどの程度信頼されているか、つまり検索結果にどの程度影響を与えるかは、Googleのアルゴリズムと、ユーザーが誰を信頼するかということの両方に依存することに注意してください。たとえば、かかりつけの医師がGoogle Co-opのコントリビューターで、私がGoogleに信頼できると示した場合、私が検索すると、医師が関連性があるとラベル付けしたサイトが検索結果で上位に表示されることになります。
これは、私たちの業界ができることのほんの始まりにすぎません。人々は、世の中に溢れる医療情報を整理し、誰もがアクセスできるようにすることを必要としています。それが、たまたま私たちの使命なのです。特に、特定の患者のニーズに最も関連する情報をできるだけ簡単に見つけることができるような方法で、健康情報へのアクセスと整理がより簡単になる必要があります。
また、患者さんは自分自身の健康情報をより適切に調整し、管理できるようになる必要があります。私たちは、患者さんがご自身の健康情報を管理し、所有すべきであり、またそれを容易に行えるようにすべきであると考えています。例えば、今日、自分の健康記録にアクセスすることは、行政上の大きな障害と、それをすべて収集するために多くの場所に行かなければならないことから、あまりにも困難です。家計情報、いわば家計の「健康」を管理する様々な機関から、より多くの情報を入手できることと比べてもやはり自分の健康情報へのアクセスは困難なのです。この問題を解決するために、私たちの業界こそ貢献すべきであると考えています。
インターネットが人々のコミュニティをつなぐ役割を果たすようになった今、私たちは、同じような健康への関心、懸念、問題を持つ人々をつなぐ機会もあると考えています。今日、人々は自分と同じような人がいることすら知らず、ましてやどうやって探せばいいのかもわからないことが多いのです。そこに業界も協力すべきです。
Googleでは、このような健康関連の問題を考えています。まだ発表できる製品やサービスはなく、しばらくは発表できないかもしれませんが、ソリューションを紹介する前に、私たちが支援したいと考える問題について少し紹介しようと思います。私たちは、これらの問題を探求し、取り組みを続ける中で、私たちの取り組みについてより多くのことを共有していきたいと考えています。もちろん、この分野に情熱を持った優秀なエンジニアの方からのご協力もお待ちしています。ヘルプセンターの情報に目を通し、あなたの声をお聞かせください。
Hatake 所感
まだプロダクトがない中、このコンセプトを2006年時点で高らかに宣言しているのがまずすごい。Google Search のローンチが1998年、Google Maps が2005年、YouTube が2006年、Google Drive が2012年ですよ!?(興奮)
アプローチこそ変わっているものの、源流にある WHY は、彼らの発信を見る限り2006年当初から現在に至るまで本当に一貫しているなと強く感じます。
今回は省略したのですが、彼らは2008年にヘルスケア事業のベータ版をリリースした後、彼らはその後何度も何度も何度も撤退と再参入を繰り返しています。今も事業としてはプライバシーへの配慮、CEO の競合への引き抜き、そして昨今のレイオフなど一筋縄ではいかない様子。
このプレスリリースから20年弱経ってもなお、まだ Google でさえ解き切れていない難題であるということは本当に注目に値します。
Google のヘルスケア事業そのものは、彼らのミッション実現のために必要なピースといえるでしょう。したがって、(Google を尊敬するインターネット野郎としての願望も半分ありますが)おそらく今回のレイオフを経てもきっと諦めないでしょう。
医療アクセスに対する彼らの課題感は、Ubie それとまさに大きく重なります。適切なタイミングで、適切な医療にたどり着くことの難しさは、いつか自分や自分の周囲の大切な人が直面する課題でもあるはずです。何年かかるかわかりませんが、少しでもポジティブな影響を残せるよう引き続き頑張っていきたいという決意を新たにしたプレスリリースでした!
We Are Hiring.
Ubie では、全組織にて積極採用中です。
人生は一度きりです。
「テクノロジーで人々を適切な医療に案内する」というこれまでの医療体験を大きく変える壮大なミッション、ぜひ一緒にやってみませんか?
Ubie Discovery (プロダクト開発・事業開発組織)
QA エンジニア
ソフトウェアエンジニア (デリバリー&サクセス)
基盤開発エンジニア
SRE (Site Reliability Engineer)
プロダクト開発エンジニア
Strategic Technical Solutions Engineer
メディカルコンテンツディレクター
パートナーマネジメント・事業開発
医師
Ubie Corporate (コーポレート組織)
法務
ミドルオフィス
経営企画リード
Ubie Customer Science (医療機関事業組織)
パートナーセールス
フィールドセールス
カスタマーサクセス
事業部長・マネージャー候補
人事責任者
Ubie Pharma Innovation (製薬事業組織)
アカウントプリンシパル
アカウントマネージャー
人事責任者候補
製薬事業開発 Ops
ミドルオフィス
イベントマーケター
Ubie Global (海外事業組織)
Sales Lead (NY/NJ-based)
Lead Software Engineer (APAC-based)
Lead Product Designer (APAC-based)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?